過去に4回喪主を経験し、その4回とも依頼した葬儀社が違うというお客様とのエピソードです。
普通なら一度頼んだ葬儀社の方が、施行担当者や金額面でもある程度の目安が付くのがこの業界かと思います。私は打合せの際に、なぜ前に依頼をした会社に頼まず違う会社に依頼をしたのかを伺いました。これは葬祭ディレクターとしてどうしても聞いておきたかったからです。
お客様は、前に頼んだ葬儀社は金額が高ったので仮に同じ内容であったとしても前より安いところでと考えていたそうです。実際、御不幸がある数カ月前に弊社に「事前相談」にお越しになり前もって金額面も確認をしていたので安心して御依頼頂けたかと思います。
さらに私へのハードルが上がったのは葬儀社は違っても4回とも、場所は同じということ。勿論、以前に依頼した葬儀社より、金額、サービス、満足度すべてにおいて「良くなければならない」という事は当然です。
打合せはスムーズに進みましたが喪主様や御家族の希望は「結婚をしていない伯母なので、華やかに送ってあげたい。伯母の結婚式と葬儀を両方してあげたい」という希望でした。
飾る祭壇は従来ある白木祭壇では無く、生花で作成するお花の祭壇。故人様の好きだった色や花を伺い、できる限り希望に添えるようにしたいという一心でした。生花祭壇を作る中で大きく作る為には、それなりの費用が掛かります。ただ、事前にお見積りを提示している上で多額な花祭壇になっては「前に依頼をした葬儀社」と変わらない話になってしまいます。
そして迎えたお通夜当日、打合せの際はカタログでしかお客様に伝えられなかった祭壇が初めて自身の目で見て頂く瞬間です。正直、この時が一番私達担当者は緊張する瞬間でもあります。理想以上のものを、その金額の中で提供する。という事をモットーに当日まで打合せを重ね、担当者として従事してきました。
そして、告別式が終わり、お骨が御自宅に帰る際、私も一緒に伺い納骨までの後飾り段を作りに行きました。最後、喪主様に挨拶をし失礼する時に「これからは御社に全て任せるから辞めないでがんばってくれよ。今までの葬儀の中で一番良かった上に金額も安かった、何もいう事はない、本当に2日間お世話になりました」と頭を下げられました。
「伯母様の葬儀と結婚式」家族葬の中で、金額だけじゃなく、ありきたりなものでも無く、本当にオリジナルな式にするというのが、これから多くなっていく家族葬の在り方だと感じます。
ただ人を呼ばないから費用面を抑えるのではなく、すべてをこんな形で送ってあげられることが葬祭ディレクターとしてのやりがいではないかと心から感じたご葬儀でした。