2024-11-08
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。
喪中とは、身内の方が亡くなった場合、故人様のご冥福を祈って静かに過ごす時期のことです。喪中は、言葉の通り喪に服して派手な行動を慎むという意味だけではなく、大切な方を失った悲しみを乗り越えるため、故人様を弔いながら心を癒やしていく役割も担っているのです。
明治時代には太政官布告(だじょうかんふこく)によって、喪中の期間は続柄ごとに定められていました。しかしながら、現代では太政官布告が廃止されているため、喪中期間に明確な決まりはありません。地域により異なりますが、喪中の期間は一年間、つまり一周忌法要までと考えるのが一般的です。
喪中ではなく、忌中(きちゅう)という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。喪中と忌中の違いは、その期間と過ごし方にあります。
忌中は、故人様が亡くなった日を一日目として、四十九日法要が終える日までの期間を指します。つまり、約一年間と考えられている喪中と重なった期間であり、特に身を慎んで過ごす時期のことです。
忌中は、喪中よりも死の穢れが強い時期と考えられているため、他のご家庭に死の穢れを移してはならないという考えに基づき、喪中以上に行動を慎むのが通例です。忌中の代表的な禁忌として、以下のような行動が挙げられます。
・結婚式、お祝いの祭典など慶事への参列
・香典返し
・神社や神棚へのお参り
忌中の時期は、ご遺族の自宅に故人様の御霊がいらっしゃるとも考えられているため、故人様の死を悼み静かに過ごすのが基本です。また、厄除けやご祈祷については、忌中でも受け付けていただける場合があります。寺院には「死は穢れ」といった概念がないため、厄祓いは通常通り行えます。
喪中期間のお正月は、通常の過ごし方と違って、さまざまな制約が課されることになります。ここからは、主にどのようにして過ごせば良いかをポイントごとに解説いたします。
喪中における新年の挨拶で気を付けなければならないのは、祝いの言葉である「おめでとうございます」を述べてはならないことです。相手の方から挨拶された場合は、年始の挨拶と分かるように「今年もよろしくお願いいたします」とだけ返します。
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続きを読む年賀状も、喪中期間には送るのを控えます。なるべく年賀状を受け取らずに済むよう、前年の11月辺りに喪中はがきを差し出しておくと良いでしょう。もしも故人様が亡くなったのが年末で喪中はがきが間に合わなかった場合は、寒中見舞いを送ります。
寒中見舞いを出す時期は、松の内から立春までが一般的です。 なお、松の内の期間は地域によって異なるため、遠くへ住んでいる方へ寒中見舞いを出す場合は、時期の確認をしておきましょう。
寒中見舞いの内容は、年賀状のお礼と近況報告、そして相手の方の健康を気遣う言葉です。なお、郵便局やネット販売では、寒中見舞いの様式が印刷された官製ハガキも購入できます。
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続きを読む喪中でのお正月では、お正月飾りを控えます。喪中では基本神様を遠ざけなければならないため、年神様をお迎えするための祝い飾りに当たる鏡餅、門松、輪飾りは全て控えましょう。なお、喪中の間であっても忌明けの場合は、年末28日までに神棚のしめ縄を新しいものと交換して構わないとされています。
喪中では、お祝い事を示すおせち料理も控えます。おせち料理にはお祝いの意味を持つ紅白のかまぼこや有頭エビ、錦卵、昆布巻きなどが入っているため、喪中には不向きです。
喪中のお正月では、「ふせち料理」を用意するご家庭もあります。ふせち料理とは、祝い事に関する食材を使わずに作る精進料理です。喪中の方は、おせち料理の代わりにふせち料理を食し、故人様を弔うような形にすると良いでしょう。
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続きを読む喪中の方は、お子様へお年玉を渡すときにも気遣いが必要になります。お年玉は「年神様からの授かりもの」といった意味が含まれているので、喪中のご家庭には不向きです。しかしながら、お正月のお年玉を楽しみにしている子どもに、何もあげないのは気が引けるかもしれません。
そこで、喪中の場合は何も書いていない袋に入れて、「お小遣い」という名目で渡すと良いでしょう。なお、喪中の方のご自宅へ子どもを連れて伺う場合は、前もって子どもに「お年玉をせがんではいけない」と説明しておきます。
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続きを読む初詣は祝い事とは違い、健康や一年間の安寧を祈るためのものです。そのため、基本的には初詣に伺っても問題ありません。
ただし、忌中期間に参拝することはマナー違反とされている神社もあります。気になる場合は、事前に問い合わせておくと良いでしょう。なお、寺院には「死は穢れ」といった概念がないため、忌中であっても初詣に出向いて問題ありません。
喪中のご家庭の場合、年末でもいくつか気を付けなければならないポイントがあります。ここからは、喪中の期間にどのような年越しの準備をすれば良いかを解説いたします。
大掃除はお祝い事ではありませんので、動ける気力や体力があれば、通常と同じようにしっかりと行って構いません。綺麗にしたご自宅で、静かにお正月を迎えると良いでしょう。
年越しそばを食べるのは、「長く健康に過ごせますように」といった願いを込めるゲン担ぎです。また、そばは切れやすいため、「今まで受けた災厄を断ち切る」という意味も込められています。お祝いの意味は含まれていませんので、喪中や忌中のご家庭が食べても問題ありません。
お歳暮とは、一年の締めくくりとして、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを込めてお渡しする贈り物です。これも祝い事ではないため、喪中であっても送って構いません。
ただし、忌中にお歳暮を贈るのはマナー違反に当たります。お歳暮の時期が忌中に当たってお送りできなかった場合は、年明けに寒中見舞いとしてお送りしましょう。
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続きを読む除夜の鐘を鳴らしに行く目的は、煩悩を払うためのものです。祝い事には当たらないため、忌中でも喪中でも行って良いものとされています。
喪中だからといって、親戚で集まってはいけないという決まりはありません。ただし、おせち料理や正月祝いのパーティーなどは控えます。その代わりとして、精進料理を食しながら思い出話などを静かに語り合い、故人様をご供養するようにしましょう。
故人様が亡くなった後の一年間では、故人様の死を悼み喪に服すことが、古くからの慣習となっています。お正月に関してもさまざまな制限が課されますが、故人様のご供養のためには大切な行いです。本記事を参考に、故人様のご供養につながるお正月をお過ごしいただければ幸いです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
ご家族に不幸があった場合、玄関に「忌中」と書かれた札が掲げられます。この札は忌中札(きちゅうふだ)といって、日本の伝統的な様式です。目立つ位置に貼ることで近所の方々へ不幸を知らせるため、そして死の穢れを周りへ移さないようにするためという心遣いでもありました。 現代でも、各地域に忌中札の風習は残っています。そこで当記事では、この忌中札の意味や書き方、掲げる時期、掲げ方などを解説いたします。
ご家族の方や2親等以内の方が亡くなった場合、命日から一年間は喪に服すのが通例です。日本における喪中期間では、故人様の死を悼み、静かに過ごすことが一般的であるため、日常生活においてある程度の制約が求められます。 そこで当記事では、喪中と厄年が重なった場合の対処法、初穂料の相場などをご紹介いたします。