2023-11-24
日本では、お正月に新年をお祝いして「おせち料理」を食べる風習があります。色鮮やかな美味しい料理を毎年楽しみにされている方も多いと思いますが、身内の方が亡くなられた喪中期間のお正月におせち料理を食べてもよいのでしょうか。
そこで今回は、喪中期間においての、お正月の代表的な料理である「おせち料理」の扱いについてご紹介します。
結論から申し上げますと、おせち料理を食さない方が良いというのが一般的な見解です。
元旦は、年に一度だけやってくる祝いの節句であり、新たに訪れた年を祝うためにいただくのがおせち料理です。日本での喪中は、ご遺族やご親族が故人様を偲び、喪に服する期間と認識されています。つまり、喪中期間は慎ましやかに過ごし、慶事にも関わるべきではないとされているのです。すなわち、喪中期間に慶事の象徴とも言えるおせち料理を食べる行為は、控えるのが好ましいでしょう。
喪中期間は、年賀状のやり取りを避けるために、喪中はがきが用いられているケースが多いです。さらに、正月飾りを控え、お祝いの言葉を使わないようにしますが、おせち料理を避ける点においても例外ではありません。
ここまで、喪中におせち料理をいただくべきではない旨をご説明しましたが、宗教や宗派によっては食べても問題がない場合があります。なぜならば、宗教によって死生観が異なるためです。
例えばキリスト教では、一般的な仏教の考え方や日本の文化とは異なり「人の死は終わりではなく、キリストが用意した素晴らしい御国へ旅立てること」という認識になっています。すなわち、キリスト教には喪中の概念自体がないため、おせち料理を食べても何ら問題はありません。
また、浄土真宗でも死生観がほかの宗派とは違い、故人様は極楽浄土で仏となり往き生まれていくと考えられていますので、喪中期間は存在しません。
喪中とは、故人様に追悼の意を表して、ご遺族やご親族が自ら行動を慎み、大切な方を亡くされた悲しみから立ち直るための期間です。
喪中期間は喪に服してお祝い事への参加は避けるべきとされているのはすでにお伝えした通りですが、これは神道で死は「穢れ」であると考えられていたことが起源となっています。古来より、喪中の期間はお祝い事(慶事)への参加を控え、社会と一定の距離を取ることで、「穢れ」が外部に漏れることを避けるようにしていたのです。
故人様が亡くなった日から四十九日の法要までの期間を「忌中(きちゅう)」と言いますが、喪中は一般的に一周忌が終わるまでの期間です。ただし、喪中期間は故人様との関係によって異なります。
一般的な喪中期間としては、故人様の配偶者・子ども・子どもの配偶者・父母・義父母で12~13ヵ月です。また、二親等に当たる兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・孫・祖父母に関しては3~6ヵ月です。なお、三親等以上は喪中期間に一般的な決まりはありませんが、喪に服すことに何ら問題はありません。
喪中となる方の範囲としては、故人様から見て二親等 までのご親族とされています。具体的は、配偶者・故人様の父母・配偶者の父母・子ども・兄弟姉妹が該当します。なお、三親等以上 の方は喪に服さなくても問題ないとされていますが、故人様と関係性が深かった方に関しては、個人の判断で喪に服しても問題はありません。
また、喪中の期間は故人様との血縁によって異なりますので注意しましょう。
・配偶者、故人様の父母、配偶者の父母:12~13ヵ月
・子ども:12~13ヵ月
・兄弟姉妹:3~6ヵ月
・祖父母:3~6ヵ月
「おせち料理」は聞いたことがあるが、「ふせち料理」とは……と思われる方も少なくないと思います。
ふせち料理は、大切な方を亡くされて迎える新しい年に、故人様との在りし日の思い出をご家族やご親族と語り合いながらご供養の心で召し上がっていただく料理になります。縁起がよいと言われている食材や料理が入っているおせち料理と異なり、縁起がよいと言われている食材や料理を除いた精進料理をベースにしています。
「ふせち料理」は、葬儀社や仕出し料理屋で予約・販売をしています。取り扱っていないところもありますので、ご希望の方は、まずは故人様のご葬儀を執り行った葬儀社に確認してみることをおすすめします。
喪中期間は、基本的にお祝い事を行わない方が無難です。祝いの意味が込められているおせち料理を控え、通常と同じ食事をするか、ふせち料理をいただきます。また、輪飾りや門松、鏡餅などの正月飾りも行いません。年越しのパーティーなど、華やかな祝いの席へ出向くことも避けた方が良いでしょう。
新年を祝う年賀状のやり取りもできませんので、前年の秋以降に喪中はがきを出しておくことも忘れないようにしましょう。なお、お年玉はお小遣いとして渡す分には問題ありません。
喪中期間でのマナーは日本人の文化でもあるため、ある程度足並みをそろえた方が無難です。しかしながら、一番肝心なのは故人様を悼み、偲ぶお気持ちに尽きます。本記事を参考に、喪中期間でも年末年始を心穏やかにお過ごしいただければ何よりです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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