2021-07-21
関西や西日本以外の方はあまり聞きなれないご葬儀の言葉に「満中陰志(まんちゅういんし)」があります。関東にお住まいの方はあまり聞きなれない言葉になりますが、その意味やマナーを知っておけばいざという時も安心です。
そこで今回は、「満中陰志」の意味やマナーなどの基本的な知識についてご紹介します。
満中陰志は、主に関西や西日本を中心として使用されている言葉で、無事に四十九日法要を終えたことの報告とご葬儀にご会葬いただいてお悔やみをいただいたことに対して感謝の気持ちを表すために贈る品物のことを言います。
そのため、満中陰志は四十九日法要の後にお贈りする香典返しの品物と同じ意味と考えて差し支えはありません。
なお、満中陰志の「中陰」は死後四十九日の期間を指し、「満中陰」は中陰が満ちた、つまり、四十九日の忌明けを迎えて故人様が無事に成仏したということを指します。「志」は品物やお金を贈ることで感謝の気持ちを表すことを指します。
先述したように、満中陰志は香典返しと同じ意味ですので、四十九日法要を執り行った後にお贈りします。そのため、四十九日が明ける前に満中陰をお贈りすることはできませんので、注意しましょう。また、一周忌や三回忌などの四十九日法要以外の法事・法要でも香典返しも「満中陰志」と呼ぶことはできません。
なお、最近ではご葬儀の当日に香典返しをお渡しする「当日返し(即日返し・即返し)」をされる方が増えてきました。ただし、高額な香典をいただいた方に対しては、当日返しのほかに後日満中陰志をお贈りします。満中陰志を追加でお贈りする際の目安としては、2万円以上の香典をいただいた方とするのが一般的です。
満中陰志にお贈りする品物については、香典返しと同様に使用したら形が残らない「消え物」を選ぶのが一般的です。具体的には、お茶・海苔・調味料・石けん・洗剤などがよく選ばれます。それに加えて、タオルやシーツのような消え物ではありませんが「日用品」のほか、最近では受け取った側で好きな品物を選ぶことができる「カタログギフト」をお贈りする方も増えてきました。なお、香典返しではお贈りするのがタブーとされているお酒や肉についても、カタログギフトで選ばれるようであれば問題ないとされています。
また、満中陰志にお贈りする品物の金額相場についても香典返しと同様で、半返し~3分の1が基本とされています。例えば、10,000円の香典をいただいた際は、約5,000円の品物をお送りします。もし20,000円の香典をいただいた際は、即日返しとして約2,000円の品物をお贈りしていたら、香典の半分である10,000円から2,000円を引いた約8,000円の品物をお贈りしましょう。
満中陰志は香典・供花・弔電などのようになんらかの形でご弔慰をいただいた方にお贈りするものになります。そのため、満中陰志に添える挨拶状では、まず最初にご弔慰へのお礼を述べましょう。続いて満中陰の法要(四十九日法要)を滞りなく執り行ったことを報告し、戒名が付いている場合はそちらもお伝えしましょう。
そして、直接ご挨拶に伺うべきところを書面で済ませている非礼をお詫びして一度文章を締めたら、「この品物は満中陰志であるため受け取ってほしい」という趣旨の文章を追伸として記載します。
基本的にはこの形で問題ないのですが、満中陰志の挨拶状は香典返しと同様に「頭語と結語を入れる」「季節の挨拶を入れない」「句読点を使わない」といったマナーがありますので、注意しましょう。
謹啓 御尊家ご一同様にはますますご清祥の事とお喜び申し上げます
さて過日 亡父○○ 葬儀の節にはご繁忙中にもかかわらずご懇篤なるご弔慰を賜り尚格別のご厚志に預かりご芳情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
お陰をもちまして満中陰の法要を滞りなく相済ませました
つきましては 供養のしるしとして心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒お納めいただければ幸いでございます
早速参上の上お礼申し上げるべき筈ではございますが 略儀ながら本状をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白
満中陰志に付ける掛け紙には、表書きに「満中陰志」と記載します。水引に関しては、白と黄色の結び切りが一般的ですが、地域によっては白と黒の結び切りを使うこともあるため、事前に葬儀社に確認しておくと安心です。
熨斗を付ける際は、「外のし」なのか「内のし」なのか悩まれる方も多いと思いますが、満中陰志を用いることが多い関西では、掛け紙を巻いた後に包装紙で包む「内のし」が多いようです。
関東にお住いの方はあまり聞き馴染みがない言葉だと思いますが、いざ満中陰志をお贈りすることになった際に、間違った方法でお贈りしてしまっては失礼にあたりますし、故人様も浮かばれません。満中陰志の意味やマナーをしっかり理解した上で、対応するようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
身内の方に不幸があった年は、そこから1年間が喪中となります。喪中期間中は、さまざまな慶事や祝い事に参列できなくなります。ただし、年末年始における対応は滞りなく行うことが、日本における古くからの一般的な慣習となっているのです。そこで今回は、喪中期間のマナーやはがきの書き方、例文をご案内していきます。
香典返しが届いたら、お礼の連絡が必要か迷ったことはありませんか?基本的にはお礼やお返しは必要ありませんが、お付き合いの程度によっては、返礼品が届いたことを伝えた方が良い場合もあります。 こちらでは、香典返しをいただいたときのマナーや対応、香典返しの到着を伝える際の注意点を含め、手紙やメールを送る際の例文をご紹介いたします。
「御母堂」は、故人様の死を悼むご葬儀の場でよく使用されます。ご葬儀は、人生において経験する機会の少ないフォーマルな儀式です。このような場面で、どなたかを指し示す言葉を使う場合は、お相手に最大の敬意を払う必要が出てきます。