2025-04-18
ご葬儀では、参列者が香典を用意してお通夜や告別式に持参するのが一般的です。ただし、さまざまな事情によって、ご遺族から香典を辞退されるケースも増えてきています。
そこで当記事では、ご遺族が香典の辞退を希望する場合、参列者に伝える方法、香典の辞退を受けた参列者の対応方法などを解説いたします。
香典とは、故人様へお供えするお香や供花の代わりに、参列者が弔意を込めて捧げる金銭のことです。また、ご葬儀に掛かる費用を手助けするためにお金を包むといった意味も込められています。
近年では、この香典をさまざまな理由で辞退したいと考えるご家庭が増えてきました。ご遺族が香典を辞退する行為は、マナー違反には当たりません。ただし、参列者の方々にご迷惑を掛けないよう、事前に香典辞退の意思を伝えておく必要があります。
また、喪主やご遺族の意向で「香典を辞退したい」といった旨を聞いた参列者は、無理に香典を用意せず相手の方のご意向を汲み、負担を掛けないような振る舞いを心がけましょう。香典辞退を会場で知った場合は、お渡しせずにそのまま持ち帰ります。
ご遺族が香典を辞退する理由としては、簡易的なご葬儀を執り行うケースが増えたことなどが挙げられます。ここでは、香典辞退を希望される主な理由をご紹介いたします。
ご葬儀では、つらい気持ちの中でさまざまな取り決めを行わなくてはなりません。そのような中で、さらに返礼品のことまでを考えるとなると、ご遺族の負担がますます増えてしまいます。そのため、あえて香典を辞退するといった考えの方が増えているのです。
故人様が香典を受け取りたくなかった場合、ご遺族がその考えを受け継ぎ、香典を辞退される場合があります。
家族葬や直葬などのご葬儀、生前契約で支払いが済んでいる場合などは、ご遺族はあえて香典を辞退するケースがあります。
宗教が一般的な仏教と異なる場合や、香典を受け取ることに意味を感じないといった考え方である場合にも、香典を辞退されることがあります。
参列者へ負担を掛けたくないといったご遺族の配慮から、香典を辞退される場合もあります。
ご遺族が香典の辞退を決意した場合、訃報を送るタイミングでお伝えしておくとスマートです。案内状で訃報を知らせる場合は、内容に加えて香典辞退の旨を追記しましょう。
会場で香典辞退を伝えるパターンもありますが、この方法では参列者がすでに香典を用意しています。手間を掛けさせないためにも、ご葬儀前に香典辞退の旨をお伝えすることが好ましいです。
ここからは、香典を辞退する伝え方の例文をご紹介いたします。
友人や知人に香典辞退の旨をお伝えする場合、固くなりすぎず、かつ簡潔にお伝えするのが良いでしょう。最初に誰が亡くなったかを述べ、感謝の言葉、会場の詳細などを記載し、最後に香典辞退の旨をお伝えします。
〇〇です 突然のご報告失礼いたします
本日午前〇時 父が永眠しました
生前のご厚情に心より感謝申し上げます
なお以下に葬儀の日程を記載させていただきます
通夜:2025年〇月〇日 午後18時開式
告別式:翌日〇月〇日 午前〇時開式 市民〇〇斎場
葬儀式:2025年〇月〇日 午後〇時開会式
葬儀会場:市民〇〇斎場 〇〇県〇〇市 電話番号〇〇〇〇-〇〇-〇〇〇〇
また 誠に勝手ではございますが 御香典や弔電 供物 供花などのご厚志は 固くお断り申し上げます
会社に連絡する場合は、まずメールで詳細を伝えます。急いでいる場合、電話で連絡しても問題はありませんが、文章に残るメールのほうが丁寧です。最初に誰が亡くなったかを述べ、感謝の言葉、会場の詳細を記載し、最後に香典辞退の旨をお伝えします。また、忌引き休暇に関することも記載しておきましょう。
謹啓
◯◯部◯◯課所属の〇〇です
令和7年○月○日 母が他界しましたため 葬儀に参列いたします
そこで忌引き休暇を取得したく存じます
日程:〇月〇日~〇日迄
なお 必要な手続きがございましたら教えていただけると助かります
以下 葬儀の日程を記載させていただきます
通夜:2025年〇月〇日 午後18時開式
告別式:翌日〇月〇日 午前〇時開式 始 市民〇〇斎場
葬儀式:2025年〇月〇日 午後〇時開式
葬儀会場:市民〇〇斎場 〇〇県〇〇市 電話番号〇〇〇〇-〇〇-〇〇〇〇
葬儀は家族葬で執り行う予定です
また誠に恐縮ではございますが 故人の遺志により 一般参列 御香典 弔電 供物 供花などのご厚志に関しまして 固くご辞退申し上げます
恐れ入りますが何卒よろしくお願い申し上げます
また休暇中の連絡につきましては下記の番号へお願いします
電話番号:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
敬白
香典は、あくまで参列者の弔意であるため、「どうしても渡したい」言われたら受け取ったほうが良いでしょう。また、香典辞退の旨をお伝えしている場合、香典返しの義務はなくなります。それでも香典返しをすべきと考える方は、いただいた香典の半額程度の返礼品を用意すると良いでしょう。
しかし、このような常識や考えは、地域によっても異なります。不安な場合は、周囲の詳しい方へ相談してみるのも一案です。
あらかじめ香典の辞退を受けている場合、香典を持参しなくて構いません。会場に香典辞退の旨を告げる看板があった場合も、香典を渡さずに会場に入ります。ここからは、香典以外のものを辞退されたケースも含めて、参列者のマナーをご紹介いたします。
辞退されたものが香典のみであれば、事前に喪主やご遺族に確認してから、お供え物を持参すると良いでしょう。受け取ってもらえる場合、内容は個包装で日持ちのする焼き菓子、供花などがおすすめです。また、ご親族の方だけなら香典をお渡しできるといった例外もありますが、これも喪主やご遺族への確認が必要です。
香典だけではなく、供花や供物も辞退されている場合は、何もお渡ししません。ご遺族の方に挨拶する機会があれば、心を込めて簡潔にお悔やみの言葉を伝えましょう。
香典だけでなく、ご葬儀への参列も辞退されている場合は、弔電を送るのが良いでしょう。近年では電報だけでなく、ラインやメールでお悔やみを伝える方も増えてきています。弔電も辞退されている場合は、無理に送ってはいけません。
喪主やご遺族が香典を辞退するのは、参列者の方への配慮や簡易的なご葬儀が増えたことなどが理由です。香典辞退を受けた参列者は、無理に香典を渡すことはせず、ご遺族の意向に従いましょう。ご遺族の気持ちを尊重して、穏やかに故人様をお見送りすることがマナーです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。