2024-12-13
故人様が亡くなり忌明けした後に、初めて迎えるお盆を初盆(はつぼん)といいます。初盆は故人様の御霊が初めて家に戻られる機会であり、通常のお盆よりも手厚くご供養されるのが一般的です。
しかしながら、近年では核家族化が進んでいることもあり、ご家族だけの少人数で静かに法要を執り行いたいという想いも尊重されるようになりました。そこで当記事では、初盆をご家族だけで過ごす場合の流れ、ご供養時の服装などについて、分かりやすく解説していきます。
初盆(はつぼん・ういぼん)とは、故人様がこの世を去って四十九日が経った後に初めて迎えるお盆のことです。初盆は、成仏された故人様の魂が初めてこの世に戻ってくる貴重な機会のため、通常のお盆よりも手厚くご供養するのが一般的です。
初盆は、新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)とも呼ばれています。これは地域差によるもので、主に東日本では新盆、西日本では初盆と呼ぶ地区が多いようです。
また、忌中にお盆が重なった場合は、翌年のお盆を初盆とします。忌中の期間は、故人様の御霊が成仏できず、不安定な時期と考えられているため、お盆を行わないのが通例です。
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続きを読む初盆は、故人様の御霊が初めてこの世へ戻る時期であり、故人様をご供養する最も大切な行事の一つと考えられています。初盆は通常のお盆よりも手厚いご供養が行われるため、ご親族や故人様と縁の深かった方々、僧侶をお招きして、法事や会食を行うのが一般的です。
しかしながら、初盆に多くの方々をお招きする法要を行わなければならないといった決まりはありません。近年ではご葬儀も、ご家族だけで執り行う家族葬が増えています。お盆の法要もご家族だけで済ませて問題ありませんが、ご葬儀と同様にお盆の法要も、ご家族のみで行いたい旨を周囲の方に伝えておくと良いでしょう。
ご家族だけで過ごすとはいえ、ご先祖様や故人様を敬うための礼儀は欠かせません。ここからは、初盆のご供養方法やしきたりなど、ご先祖様や故人様に失礼のないご供養方法を詳しく解説していきます。
お盆の時期は、多くの方が法要を執り行いますので、寺院(菩提寺)や霊園が非常に混み合います。特に大切な初盆法要の場合は、遅くとも1か月ほど前には日程を押さえておくと安心です。
参列者がご家族のみである場合は、ご自宅に僧侶を招いて読経していただくことも可能です。加えて、施設の小さな個室を借りて僧侶に読経を依頼することもできます。霊園の場合は、お墓の前で僧侶が読経するだけの簡易的な法要もあるようです。
法要の在り方は施設によってさまざまですので、お問い合わせの際にご家族だけで初盆法要を執り行いたい旨を伝えた上で、内容や見積もりなどを相談されると良いでしょう。また、このとき僧侶へのお布施やお車代、会食代も併せて用意します。法要後に会食する場合はお店を予約しておき、ご自宅での法要であれば仕出し弁当を手配しておきましょう。
法事の手配が整ったら、初盆の飾りつけの準備に入りましょう。以下のものを用意し、初盆の飾りつけはお盆を迎える月の1~10日までに済ませます。
・精霊棚(しょうりょうだな)
お位牌やお盆飾りを安置するために、仏壇の前に設置する棚です。
・白提灯(しろちょうちん)
白無地の提灯のことで、白紋天提灯(しろもんてんちょうちん)とも呼ばれています。清浄無垢の白い提灯は、初盆のときに用意する特別な道具です。故人様の魂は初盆に初めてご自宅へ向かいますが、そのときに迷わず戻っていただくための目印とされています。
基本は玄関先に吊り下げますが、ご家庭の事情により、ベランダの軒先にぶら下げたり、室内の外から見える位置に飾ったりする方もいらっしゃいます。
・精霊馬(しょうりょううま)、精霊牛(しょうりょううし)
精霊馬・精霊牛は、茄子やキュウリに爪楊枝や割り箸を刺して、馬・牛に似せて作る人形です。御霊をお迎えする際は、早馬に見立てたキュウリを用います。お送りする際はゆっくりお帰りいただくため、牛に見立てた茄子を使用します。
・供花
仏壇前の精霊棚に飾るためのお花を用意します。お花は故人様が好きだったものを選んで構いませんが、毒やトゲのない花、香りの強すぎない花が適しています。トゲのあるバラや毒入りの水仙、彼岸花、ドライフラワーなどは避けましょう。
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続きを読む初盆には、お菓子や果物、線香、ろうそくなどのお供え物も欠かせません。お菓子は個包装の焼き菓子やゼリーなど、長時間常温で日持ちするものを選ぶのがおすすめです。冷蔵庫や冷凍庫での保管が必要な生菓子は、仏壇にお供えするうちに傷んでしまう恐れがありますので控えましょう。
果物をお供えする場合は、なるべく日持ちのする丸いもの(りんご・メロン・みかんなど)が適しています。また、日持ちする缶詰をお供えするのもおすすめです。足の早そうな果物は、お盆期間中であっても傷む前にお供え物から外し、下げてからご家族でいただくと良いでしょう。
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続きを読む初盆の初日は、故人様の魂が迷うことなく無事に戻られるよう、目印として迎え火を焚きます。ご自宅の玄関先や庭先で焚くことが多いですが、お墓参りの際に墓前で焚く方もいらっしゃいます。
時間帯は17~19時ごろに行うケースが多いものの、地域やご家庭によっては「いち早く故人様にお越しいただけるように」といった願いを込めて、早い時間に迎え火を焚く方もいらっしゃるようです。さまざまな事情で火が使えない場合は、LED仕様の白提灯を灯し、迎え火の代用としても問題ありません。
法要と日程が被らないよう、初盆の前にお墓参りを済ませておきましょう。丁寧に掃除をして、お花やお供え物、お線香をあげて合掌します。お墓用の供物や供花は、仏壇に供えるものとは別に用意しましょう。
帰るときに供花以外のお供え物は持ち帰り、ご家族でいただきます。また、墓前に供えたお供え物を再び仏壇前に飾るのは、ご本尊に失礼にあたってしまいます。
初盆の法要は、7月または8月13~16日で行われることがほとんどですが、中でも14~15日に予約が集中します。お盆の時期には地域差がありますので、分からない場合は菩提寺や霊園に聞いてみましょう。また、ご自宅に僧侶を招き、ご家族だけで法要を行う場合は以下の流れをご参照ください。
・故人様と血縁関係の濃い順に並んで着席し、僧侶の読経に耳を傾けます。
・僧侶から合図をいただいたら、着席順にお焼香を行いましょう。
・僧侶の法話に耳を傾けます。
・僧侶にお礼をお伝えし、お布施やお車代、お食事代をお渡ししましょう。
・お墓参りを行い、会食します。
この手順はあくまで一般的なものであり、明確なルールはないため、法事の流れは僧侶に従いましょう。会場や墓前で法要を行う場合も、担当の方や僧侶の指示に従います。
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続きを読む送り火は、8月16日もしくは7月16日の日暮れ後に焚きます。これは、ご先祖様や故人様への「ゆっくりとお帰りください」といった願いが込められているためです。ただし、墓前で送り火を焚く場合は防犯の観点から、あまり暗くなりすぎないうちに行いましょう。
ご家族のみで執り行う法要では、正喪服を着用しなくても問題ありません。デニムやTシャツ、スニーカーなどといったカジュアルすぎる服装は避け、略喪服を着用しましょう。男女ともに黒や紺、ダークグレーのスーツを着て、男性は黒い靴下、女性は黒いストッキングを着用し、法事の場にふさわしい装いで参列します。
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初盆は、故人様にとって初めてのお盆です。ご家族だけであっても、ご先祖様に対する礼儀を忘れず、御霊をお迎えする準備を整え、心を込めたご供養をしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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