2022-01-31
日本には、さまざまな仏教行事があり、身近なものだと、お盆が仏教行事にあたります。お盆は、ご先祖様の魂がご家族のもとへ帰ってくる日とされており、いつもとは違うお供物を供え、ご親族が集まってお墓参りを行い、故人様の魂を供養する期間となります。
大切な仏教行事のひとつでもあるお盆なのですが、毎年訪れるお盆の中でも、故人様が亡くなってから初めて迎える大切なお盆が「初盆」です。本記事では、初盆について、通常のお盆との違い、初盆で気をつけるべきマナーなどについて解説しています。
初盆がどういうものなのかまったくわからない方でも、本記事を最後までご覧いただくことで、初盆がどういうものなのかを理解することができます。初盆で故人様の魂をしっかりと供養できるよう、本記事をご活用ください。
初盆(はつぼん・ういぼん)とは、故人様が亡くなられてから四十九日をすぎたあとに迎える初めてのお盆のことを指します。通常は8月13日から16日の間で行われることが多いですが、地方によっては、7月13日から16日までの間で行う場合もあります。
なぜお盆の時期が地方よって異なるのかというと、明治時代に旧暦から新暦に変更した際、お盆の時期がズレてしまったことが要因となっています。
地方によっては、新盆を新盆(あらぼん・にいぼん・しんぼん)といわれる場合があります。初盆との違いは呼び方だけで、行う内容は変わりありません。西日本では初盆と呼ばれることが多く、東日本で新盆と呼ばれることが多いです。
なぜ呼び方が別れたのか、正確な理由はわかっていません。ですので、「どちらも同じ意味なんだ」と簡単に覚えておくだけで問題ありません。
例年のお盆と初盆の一番の違いは、法要を行うかどうかという点です。前項でもご説明したとおり、初盆は故人様がお亡くなりになったのち、四十九日をすぎてから初めて迎えるお盆となります。
故人様の魂が初めてご家族のもとに帰ってくる大切な日でもあるため、通常のお盆よりも手厚く供養することが多いです。そのため、例年のお盆同様、お供物や提灯を用意するのはもちろんのこと、ご親族や友人が集まり、僧侶をお招きして法要を行います。
初盆は通常のお盆とは違い、法要を執り行ったり、場合によっては会食の場を設けたりします。地方によって順番は若干異なりますが、一般的な初盆の流れは、以下のとおりです。
①仏壇・精霊棚の準備
②法要
③お墓参り
④会食
それぞれの段階で用意しなければならないものや、守らなければならないマナーなどがあります。各段階における詳細な内容は、次の項目にて解説いたします。
初盆を迎えるにあたって、用意しておかなければならないものがいくつかあります。その代表的なものは、以下のものとなります。
初盆では、仏壇の掃除はもちろんのこと、仏壇とは別に精霊棚と呼ばれる祭壇を用意します。地方によっては盆棚とも呼ばれており、故人様の魂をお迎えする際に必要な棚です。初盆の際は、普段お仏壇に置いてある位牌を精霊棚に安置し、お供物などをお供えします。
精霊棚は毎年のお盆でも使用するので、購入しておくと便利ですが、置き場所がないという方は、レンタルすることも可能です。また、初盆以降は精霊棚を設置せずに、小さなテーブルなどで代用しても問題ありません。
精霊馬とは、キュウリとナスに爪楊枝をさして作る人形のことをいいます。「迎え馬送り牛」という言葉があるように、お盆ではキュウリで作った馬とナスで作った牛を用意し、精霊棚に飾ります。なぜ馬と牛なのかというと、「家に帰ってくるときは馬に乗って早く帰って来てもらいたい、あの世へ帰るときは牛に乗って景色を見ながらゆっくり帰ってもらいたい」という意味がこめられています。
盆提灯は、毎年のお盆で使用するものです。盆提灯は、故人様の魂が迷わず家に帰ってこられるように灯す目印の意味があり対で設置するのが一般的です。盆提灯と聞くと、カラフルな絵柄のついたものを連想する方もいるかと思いますが、初盆で使用する盆提灯は「白紋天提灯(しろもんてんちょうちん)」と呼ばれる提灯を用意します。
白紋天提灯とは、白い提灯に白い模様がはいった提灯のことで、その後のお盆で使用することはありません。白紋天提灯は、ご親族から贈られてくることもあります。盆提灯に数の決まりはないので、贈っていただいた際は、そのまま飾るようにします。また、初盆以降は使用しないため、送り火で燃やすか、お寺で供養してもらうようにします。
初盆で行う法要は7月または8月13〜16日の間で行うことが多いです。法要の流れは、以下のとおりです。
1.僧侶がいらっしゃったら仏壇の前へ案内する
2.血縁関係の濃い順から前に座る
3.僧侶による読経
4.読経をしていただいている間にお焼香を回す
5.僧侶による法話をお聞きする
6.僧侶にお礼を伝え、お布施をお渡しする
8.お墓参り
7.会食
初盆における法要において、しっかりとした決まりはありません。地方や状況によっては、多少順番が変わることもあります。
お墓参りは一般的に法要後に行いますが、会場と墓地が遠ければ法要の前に行う場合や、法要前にお墓参りを済ませる風習の地方もあります。
初盆は、ご親族や故人様と縁のある人たちが集まってお墓参りに向かうため、どうしても話に花がさいてしまったり、記念に写真を撮りたくなってしまったりする人も少なくありません。しかし、本来は故人様の供養のためのものなので、賑やかな会話は控え、静かに手を合わせるようにしましょう。
会食は法要会場から場所を移して行います。自宅で行うのであれば、喪家(そうか)が料理をふるまい、仕出し弁当を手配します。または、法要会館や飲食店に場所を移す場合もあります。
法事などの会食は精進料理を用意しますが、初盆においては、すでに喪が明けているのでお肉やお魚の料理を出しても問題はありません。
会食での流れは、以下のようになります。
1.喪家による食前の挨拶
2.会食
3.喪家による食後の挨拶
4.引き出物をお渡しする
会食と聞くと、堅苦しいイメージがありますが、法要後の会食は、食事を楽しみながら故人様の思い出話をする場となります。一般常識の範囲でマナー違反さえしなければ、特別問題はありません。この際、喪家は参列者をおもてなしする立場となるため、末席に座り、料理や飲み物の準備を行います。
初盆に参列する際、気にかけておきたいマナーが2つあります。ひとつは服装に関してのマナー、もうひとつは香典やお供物に関するマナーです。詳細な内容は、次の項目にて解説いたします。
初盆は、通常のお盆と違って法要を執り行うので、普段のカジュアルな服装で参列するのは、マナー違反となります。ご遺族様であれば喪服を着用し、参列者の場合は略礼服を着用します。
喪家の場合注意しておきたいポイントは、参列者よりも軽い服装にならないようにする、という点です。そのため、喪服を着用しておくのが、一番無難で安心できる選択肢となります。
また、参列者の場合は、略礼服を着用していくと間違いありません。お盆は夏の時期に行うので、ついつい涼しい服を選んでしまいそうになりますが、法要の場では、肩が見える服や、かがんだ際に胸元が開きすぎる服はNGとされています。できれば七部丈の略礼服を選ぶようにしましょう。
参列者として初盆を迎える場合は、香典を包む必要があります。香典の表書きは宗派によって異なるため、「御仏前」や「御供物料」と書いておくとよいでしょう。
また、お供え物を持っていく場合は、故人様の好きだったものを贈るのが一般的です。のし紙は白黒で結び切りのものを選び、表書きは「御供物」と記入します。のし紙は、基本的に外のしで用意しましょう。
初盆は、故人様が亡くなられたのち、四十九日をすぎてから初めて迎えるお盆のことを指します。通常のお盆との違いは、法要を執り行うかどうかという点です。
故人様にとってもご遺族様にとっても大切なお盆となるので、通常のお盆よりも用意しておくものや、手配するものが多くなります。当日あわてることなく、穏やかな気持ちで故人様の供養をすることができるよう、初盆では、事前準備をしっかりと行うようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
親御さんや祖父母の方などから、「お盆は海に入ってはいけない」などと忠告された経験がある方も多いのではないでしょうか。なぜそのような制約を受けなければならないのか、疑問に感じた方もいらっしゃるかと思います。 そこで当記事では、お盆に海へ入っていけないと考えられている具体的な理由を、さまざまな角度から解説していきます。
大切なご家族が亡くなった後に初めて迎えるお盆は、初盆(はつぼん)または新盆(にいぼん)と呼ばれています。初盆は、故人様が亡くなった後、魂が初めてこの世へ戻ってくる貴重な時期のため、法要を行って供養するのが一般的です。 初盆の法要には、ご家族やご親族、それに生前故人様と親しくしていた知り合いの方も参列することになるため、香典やお供え物を受け取ることになるでしょう。そこで本記事では、香典返しの必要性や用意すべきもの、お返しする場合のタイミングなどについてご紹介いたします。
お盆になると、ご先祖様や故人様の御霊を慰めるため、お供え物などを持ち寄ったご親族が大勢集まるご家庭も多いでしょう。お盆では、慰霊のためにお膳を作って祭壇へお供えし、集まった方々と共にお墓参りや食事会を行うのが一般的です。 そこで当記事では、お供え用の料理とはどのようなものを用意すべきなのか、その詳しい内容とタブー視されている食材、料理を供える時期について、詳しくご紹介していきます。