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2025-03-07

浄土真宗のご葬儀の特徴とは|お悔やみの言葉など気を付けたいマナーを解説

仏教のご葬儀は、宗派によって細やかなルールに違いがあります。中でも浄土真宗は他の宗派には見られない「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の教えがあるため、他の宗派と違う点が多く見られるのが特徴です。この記事では、浄土真宗の考え方やご葬儀の流れ、参列するにあたってのマナーを解説いたします。

そもそも浄土真宗とは

浄土真宗は、法然上人(ほうねんしょうにん)に開かれた仏教宗派の一派です。浄土真宗は鎌倉時代、法然上人の弟子、親鸞聖人(しんらんしょうにん)が開いた仏教の宗派であり、現代の仏教では日本で一番信者が多いとされています。

法然上人が浄土宗として広げた「極楽浄土へ往生するには、阿弥陀如来様を敬い、ただひたすらに南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を唱えよ」といった教えをさらに進化させ、親鸞聖人が説いたといわれるのが浄土真宗の教えです。

浄土真宗では、阿弥陀如来(あみだにょらい)様を敬い信じることで故人様の魂は即救われ、往生できる「他力本願」という教えを説いています。

なお開祖の親鸞聖人亡き後、浄土真宗は門徒達の取り組みで10の宗派に発展していきました。この10派は「真宗十派(しんしゅうじっぱ)」と呼ばれ、真宗教団連合、真宗連合学会を結成し、浄土真宗の教えを伝えていくために日々精進しています。

【真宗十派(浄土真宗の十派)※順不同】
【宗派名】 【本山】 【所在地】
浄土真宗本願寺派 西本願寺 京都市下京区
真宗大谷派 東本願寺 京都市下京区
真宗興正派 興正寺 京都市下京区
真宗佛光寺派 佛光寺 京都市下京区
真宗山元派 證誠寺 福井県鯖江市
真宗出雲路派 毫摂寺 福井県越前市
真宗誠照寺派 誠照寺 福井県鯖江市
真宗三門徒派 専照寺 福井県福井市
真宗高田派 専修寺 三重県津市
真宗木辺派 錦織寺 滋賀県野州市

「死後すぐに仏になる」と考えられている

浄土真宗のご本尊は、阿弥陀如来様です。生前に阿弥陀如来様を敬い信じて、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を唱えた門徒は、阿弥陀如来様の力(他力)によって極楽浄土へ往生し、即仏になると説かれています。仏になった故人様はすぐにこの世へ戻り、阿弥陀如来様とともに子孫を見守り続けるのです。

浄土真宗のご葬儀の特徴

一般的なご葬儀は、故人様に対する手厚いご供養が主たる目的です。一方、浄土真宗のご葬儀では、故人様のご供養を目的としていません。

浄土真宗のご葬儀は、阿弥陀如来様の手により、故人様を極楽浄土に導いていただけた感謝の念をお伝えするための儀式です。成仏を果たし仏様となった故人様に対し、他の宗派のように成仏を願ったり、冥福を祈ったりする必要はありません。

ご葬儀の終盤に行われる回向(えこう)も、故人様の冥福を祈るといった意味とは異なります。浄土真宗のご葬儀では「往相回向(おうそうえこう)」と「還相回向(げんそうえこう)」の二つの回向が行われますが、これは阿弥陀如来様から及ぼされた功徳が、すべての生命に及ぶことを意味しているのです。

・往相回向…仏の祈りですべての生物が共存し極楽浄土へ生まれ変わることを願い、また極楽浄土へ往生していく様子を表す意味が含まれています。

・還相回向…極楽浄土へ往生し仏の身となった者がこの世に戻り、自分以外の方々を阿弥陀如来様の元へ導き、救済の手を差し伸べるといった意味が含まれています。

ここからは、浄土真宗のご葬儀の特徴を解説いたします。

「ご冥福をお祈りします」とは言わない

浄土真宗のご葬儀においては、故人様が既に成仏しています。そのため、参列者が「ご冥福」を使用することはありません。その他のマナーについては、以下の表をご参照ください。

【挨拶での使用を避けたい言葉】 【言い換え方】
ご冥福を祈ります お悔やみ申し上げます
草葉の陰 御仏の国、浄土
冥土 浄土
ご霊前 御仏前
天国、天に召される 浄土、お浄土にまいる
他界、永眠 浄土に往生された
御霊 故人様
戒名 法名

上記のほか、用いる単語にもご注意する必要があります。以下の言葉は、浄土真宗に限らずご葬儀全般において使用を避けるべきとされています。

・直接的(不吉)な言葉…終わり、死亡、急死、生きていた、死ぬ、死亡、次になど
 →言い換え言葉:結び、他界、永眠、生前、新たに

・忌み言葉…忙しい、浮かばれない、消える、大変、嫌い、離れる、壊れる、数字の4と9など
 →言い換え言葉:ご多用、お悔やみ、なくなる、ご尽力、得意ではない、新たな道、形が変わる

・重ね言葉…再三、重ね重ね、いよいよ、くれぐれ、またまた、くれぐれ、返す返す、重々
 →言い換え言葉:よく、加えて、一段と、もっと、さらに、振り返ると、深く

ご遺族にお言葉をかける場合は、「お悔やみ申し上げます」「謹んでお悔やみ申し上げます」「心よりお悔やみ申し上げます」などとお伝えすれば問題ありません。

戒名がない

浄土真宗では、阿弥陀如来様の力を借りれば誰もが平等に極楽浄土へ行けるといった概念があるため、弟子となって修行を積む必要がありません。弟子の証となる戒名もありませんが、その代わりとして法名(ほうみょう)が授与されます。

法名は、「釋(しゃく)」から始まる3~4文字になるのが一般的です。また、故人様の御霊を宿すとされる位牌も作らず、代わりに過去帳や法名軸を用意して、故人様の生前の名前・法名・死亡年月日を記録します。

清めの塩がない

浄土真宗の教えでは、死は阿弥陀如来様へお近づきになれる機会とされています。穢れとはほど遠いものであるため、お清めの塩を配ることもしません。

死に装束を身につけない

浄土真宗では、故人様が既に成仏していると考えられており、死後の旅支度(死に装束)は必要ないとされています。ご遺体は、故人様が着用していた衣類、または白装束を着用します。

浄土真宗のご葬儀の流れ

ここからは、一般的な浄土真宗のご葬儀の流れをご紹介いたします。宗派や地域、寺院によって、流れや作法が異なる場合があります。

【浄土真宗本願寺派】

①帰三宝偈(きさんぼうげ)

ご遺族、ご親族、導師が入場した後、導師は帰三宝偈(教えの帰依を意味するお経)を唱えます。

②三奉請(さんぶじょう)

導師により三奉請(阿弥陀如来様をお招きする偈文)が唱えられたら、参列者が焼香します。

③正信偈(しょうしんげ)

正信偈(親鸞聖人の教行信証に記された偈文)が唱えられたら、参列者が焼香します。

④和讃(わさん)

和讃(仏様をお送りするお経)があげられます。

⑤回向(えこう)

導師は締めくくりに、回向文(えこうもん)を唱えます。

⑥導師退場

導師が先に退場し、閉式します。

⑦喪主の挨拶

喪主が参列者に向かって挨拶を行い、出棺の運びとなります。

【真宗大谷派】

大谷派のご葬儀は、葬儀式第一、葬儀式第二と二部門に分かれているのが特徴です。

・葬儀式第一

①棺前勤行(かんぜんごんぎょう)

ご葬儀前、導師に自宅へお越しいただき、お内仏のご本尊に「お世話になりました」とご挨拶をするお経を唱えていただきます。近年では葬儀会場で、葬儀式第二と一緒に行われるパターンが増えました。

・葬儀式第二

①総礼(そうれい/そうらい)

ご遺族、ご親族、導師が入場した後、全員で合掌します。

②勧衆偈(かんしゅうげ)、短念仏(たんねんぶつ)

導師は、勧衆偈(衆生に信心を勧める偈文)と短念仏を唱えます。

③回向

続けて、導師が回向文を唱えます。

④総礼、三匝鈴(さんそうりん)

再び全員で合掌した後、鈴を鳴らす三匝鈴が執り行われます。

⑤念仏、表白(ひょうびゃく)、三匝鈴

故人様を火葬場へ送る際、道中で念仏が唱えられます。次に導師は表白(法事の趣旨を諸仏にお伝えするお経)を唱え、再び三匝鈴を行います。

⑥導師焼香、総礼、三匝鈴

導師が焼香を行い、再び全員で合掌した後、三匝鈴を行います。

⑦正信偈

正信偈(親鸞聖人の教行信証に記された偈文)が唱えられたら、参列者が焼香します。

⑧和讃

和讃(仏様をお送りするお経)があげられます。

⑨回向

導師は回向文を唱えます。

⑩総礼

ご遺族、ご親族、導師全員で合掌します。

浄土真宗のご葬儀でのマナー

ここからは、浄土真宗のご葬儀におけるマナーについて解説していきます。

服装に関するマナー

服装に関しては、他の宗派と同様に喪主やご遺族は正喪服か準喪服を着用します。参列者は準喪服を着用し、学生は制服を着れば問題ありません。ただし、浄土真宗の門徒の方は「門徒式章(もんとしきしょう)」をかける場合もあります。

門徒式章とは、浄土真宗の門信徒が正装時に仏前で着用する布で、首から提げて使用する法具です。門徒式章が必要かどうかは寺院や地域によりますので、ご不安な場合は菩提寺に聞いておきましょう。

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香典に関するマナー

浄土真宗のご葬儀では、既に故人様は仏様となっているため、「御霊前」は使用しません。そのため、ご葬儀当日(またはお通夜)であっても、香典袋の表書きは「御仏前」または「御佛前」とします。

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焼香に関するマナー

浄土真宗では、指でつまんだ抹香を額におしいただくことはしません。焼香を行うのは喪主、ご遺族、ご親族、参列者の順です。ここでは、一般的な浄土真宗の焼香の手順をご紹介いたします。

<浄土真宗の一般的な焼香の手順>

①焼香台の手前で、導師とご遺族に一礼する

②焼香台前でご本尊に一礼する

③香盒(こうごう) に入った抹香を、右手の親指、人差し指、中指の3本でつまむ

④つまんだ抹香は、そのまま高炉内の火種にくべる

⑤合掌し「南無阿弥陀仏」と静かに唱える

⑥合掌を終えたら、前向きで2歩ほど後ろへ下がる

⑦再度ご本尊に一礼する

⑧導師とご遺族に一礼して自席に戻る

焼香の回数については、浄土真宗本願寺派では1回、真宗大谷派では2回といったように、宗派で異なります。

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数珠に関するマナー

浄土真宗のご葬儀に参列する場合、数珠は略式のもので問題ありません。左手に数珠をかけ、合掌するときは右手も数珠にくぐらせます。

まとめ

浄土真宗と他の宗派では、ご葬儀に関するマナーが異なります。浄土真宗のご葬儀に参列する機会があったときには、往生即成仏の教えに基づくマナーを念頭に置けば、相手の方々に不快な思いをさせることなく、落ち着いた対応ができるのではないでしょうか。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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