2022-07-29
香典は、通夜・ご葬儀・告別式に参列する際に用意するお金のことであり、生前お世話になった故人様や、ご遺族へのお悔やみの気持ちを込めてお渡しします。しかし、いくら「気持ち」といっても予算は限られているため、どの程度の金額を包むか悩んでしまう方も少なくありません。
そこで今回は、香典の相場を解説していきます。故人様との関係性や自身の年齢によって包む額が変わるので、お悩みの方は参考にしてみてください。
本来、「香典」は「お香」のことを指します。昔のお線香は現代のものと比べて消えやすく、消耗が早いものがほとんどでした。そのため、ご遺族の金銭的な負担を少しでも軽くしようという相互扶助の考えから、故人様にご縁のあった方や近隣住民がお悔やみの気持ちを込めて、お線香をお供えしたのが日本における香典の始まりです。
現代ではお線香の質も上がり、長時間燃焼するお線香がほとんどです。そのため、現物でお渡しするよりも金銭でお渡しするスタイルの方が主流となりました。
香典の相場は、故人様との関係性や包む方の年齢によって金額が変わってきます。基本的には関係性の深い方であればあるほど多く包むことが多いです。
また香典を包む際、「とりあえず多く包んでおけば大丈夫」という考えも失礼にあたってしまいます。香典の金額は、多すぎず少なすぎず、丁度良い金額にしなければなりません。ここからは、「関係性別・年齢別」で香典の相場を解説していきます。
まずは配偶者の両親へ香典を包む際の相場を見ていきましょう。
・20代:30,000~100,000円(50,000円前後が多い)
・30代:50,000~100,000円
・40代:50,000~100,000円
・50代:50,000~100,000円
・60代:100,000円ほど
基本的に親へ香典を包む場合は50,000~100,000円を包む方が多いです。ただし、自身が喪主の場合や、ご葬儀の費用を負担している場合は香典を包む必要はありません。また、両親に扶養されている場合も同様で、そもそも両親のご葬儀では香典を包まないといった考え方も存在します。
次に、祖父母へ香典を包む際の相場を確認してみましょう。
・20代:10,000~20,000円
・30代:10,000~30,000円
・40代:30,000~50,000円(20,000~30,000円前後が多い)
・50代:50,000円ほど(30,000円以上包む方が多い)
・60代:50,000円ほど(30,000円以上包む方が多い)
自身の祖父母であった場合、両親のときと同じように扶養されている状態であれば包まなくても問題ありません。すでに経済的に独立しているのであれば、同居しているかどうかに関係なく香典を包みます。
また、結婚して家庭を持っている場合、夫婦連名で香典を包むことが多いです。そして、配偶者の祖父母へ香典を包む場合も相場は同様です。
兄弟・姉妹へ香典を包む場合の相場は以下のとおりです。
・20代:30,000~50,000円
・30代:30,000~50,000円
・40代:30,000~50,000円
・50代:30,000~50,000円
・60代:50,000~100,000円
自身の兄弟・姉妹であっても、配偶者の兄弟・姉妹であっても香典を包む金額は同じです。他に兄弟姉妹がいる場合は、金額がバラバラにならないよう事前に打ち合わせをしておくと安心です。
叔父・叔母へ香典を包むときの相場も押さえておきましょう。
・20代:5,000~10,000円
・30代:10,000~20,000円
・40代:10,000~20,000円
・50代:20,000~30,000円
・60代:20,000~30,000円
自身の叔父・叔母、もしくは配偶者の叔父・叔母の場合は、これまでの関係性を考慮した金額を選ぶようにしましょう。深い交流がなかった場合は、年代に関係なく10,000円を包むことが多いです。
上記以外の親族に香典を包む際は、以下の金額を参考にしてみてください。
・20代:5,000~10,000円
・30代:10,000~20,000円
・40代:10,000~20,000円
・50代:10,000~20,000円
・60代:10,000~20,000円
人によって異なりますが、故人様との関係性に応じて金額を設定するのが基本です。遠方で出席できない場合は香典を送付して弔電を打つ、もしくは供花を手配するといった方法もあります。
勤務先の上司や部下、そのご家族へ香典を包む際は、以下の金額に合わせると良いでしょう。
・20代
勤務先の上司や部下:5,000円ほど
勤務先の上司や部下のご家族:5,000円ほど
・30代
勤務先の上司や部下:5,000円ほど
勤務先の上司や部下のご家族:5,000円ほど
・40代
勤務先の上司や部下:5,000円ほど
勤務先の上司や部下のご家族:5,000円
・50代
勤務先の上司や部下:5,000円ほど
勤務先の上司や部下のご家族:5,000円
・60代
勤務先の上司や部下:5,000円ほど
勤務先の上司や部下のご家族:5,000円ほど
会社関係の方へ香典を用意する際、金額を5,000円前後に設定する方が比較的多いため、困ったときはこの額を目安に包みましょう。
自社の社員ではなく、取引先の社員、またはそのご家族へ香典を包む際の相場は以下のとおりです。
・20代:5,000円ほど
・30代:5,000~10,000円
・40代:5,000~10,000円
・50代:5,000~10,000円
・60代:10,000円~
取引先の社員やご家族へ香典を包む場合、多くの方は5,000~10,000円を目安に包みます。ただし、相手が社長もしくは社長の親族であった場合、30,000円を目安に包んでおくと良いでしょう。香典を包むときは、上司よりも大きな金額にならないよう注意が必要です。
友人・知人やそのご家族へ香典を包むときの相場も覚えておきましょう。
・20代:3,000~10,000円
・30代:5,000~10,000円
・40代:5,000~10,000円
・50代:5,000~10,000円
・60代:5,000~10,000円
友人・知人やそのご家族へ香典を包む場合は、生前どれだけ関係があったのかによって金額が変わります。
最後に、近所の方へ香典を包む場合の相場をご紹介します。
・20代:3,000~5,000円
・30代:5,000円ほど
・40代:5,000円ほど
・50代:5,000円ほど
・60代:5,000~10,000円
ご近所の方へ香典を包む際は3,000円~10,000円が目安となります。ただし、町内会で金額が決まっている場合もあるため一度確認しておくと安心です。また、自身の親族関係で以前香典をいただいた経験のある方は、その金額を目安に包むことが多いです。
香典には不祝儀袋の選び方や表書きの書き方、お渡しする際に決まったマナーが存在します。香典を用意する際に失礼がないよう、ここからは香典に関するさまざまなマナーについて解説していきます。
香典袋を選ぶ際は、相手方の宗教を把握しておく必要があります。なぜなら、宗教によって用意する香典袋が異なるからです。また包む金額も大切で、金額によって香典袋の柄が変わってきます。
金額による香典袋の違いについて、以下の表にまとめましたので参考にしてみてください。
金額 | 香典袋の種類 |
---|---|
5,000円以下 | 菊・蓮の絵や水引のある香典袋 |
10,000~20,000円 | 黒白か双銀の水引のある香典袋 水引の本数は7~10本が束ねられている香典袋 |
100,000円以下 | 双銀の水引のある香典袋 水引の本数は10本が束ねられているもの香典袋 |
100,000円以上 | 双銀の水引のある香典袋 水引の本巣は10本が束ねられているもので、ひだ折のある和紙性の香典袋 |
キリスト教の方に香典を包む際は、十字架もしくは百合の花が印刷されているキリスト教専用ののし袋を使用しましょう。どうしても用意ができなかった場合、白無地の封筒でも問題ありません。このとき、用意できなかったからといって仏式の香典袋に包むのは失礼にあたるため注意しましょう。
香典袋の表書きを書く際は、相手方の宗教によって変わってきます。宗教による表記の違いを以下の表で確認してみましょう。
宗教 | 表書き | |
---|---|---|
仏教 | 四十九日まで | ・御霊前 (浄土真宗の場合は四十九日前であってもご御霊前は用いない) |
四十九日以降 | ・御仏前 ・御佛前 ・御香典 |
|
神式 | ・御玉串料 ・御榊料 |
|
キリスト教 | カトリック | ・御花料 ・お花料 ・御ミサ料 |
プロテスタント | ・御花料 ・お花料 ・献花料 ・弔慰料 |
|
宗教が分からない場合 | ・御香料 ・御香資 |
また、表書きを記入する際は「薄墨」「毛筆」で書くのがマナーです。薄墨には「涙で墨が薄まってしまった」「急な訃報に墨をしっかりとする時間がなかった」といった意味が込められているためです。
表書きの下段には、自分の名前をフルネームで記入します。肩書きを記入する際は右側に小さく書きましょう。もしご夫婦で包む場合は夫のフルネームを書き、左横に妻の名前だけを記載するのが一般的です。
連名で記入する際は、3名までであれば名前を連ねて記入できます。その際、必ず目上の方から順に右から名前を書いていきましょう。なお、4名以上の連名の場合、代表者一名の名前を下段に書き、名前の左下に「外一同」と記載します。
中袋を記入する際は、黒のボールペンを用いても問題ありません。記入する内容は「金額」「住所」「氏名」の3つです。
また、「金額」を記入するのは表面で、記入する際は漢数字の旧字体を用います。たとえば、10,000円を包んだ場合は「金壱萬円他」と記載するのが一般的です。
そして、「住所」「氏名」は裏面に記入します。喪主が香典返しを送る際に必要な項目なので、郵便番号やマンション名もしっかりと記入しましょう。
香典を包む際は必ず使用済みのお札を用意します。新札を包んでしまうと、「不幸をあらかじめ知っていた」といった意味に捉えられてしまうため注意しましょう。逆に、使い込んでボロボロになったお札も適さないため配慮が必要です。
また、お札の向きはすべて揃えるのがマナーです。一般的には、肖像画が印刷されている方が裏となるようにして包みます。
香典を渡す際は、必ず「袱紗(ふくさ)」や「布」に包んで渡すようにしましょう。ただし、袱紗は慶事と弔事で使用して良い色が異なるため注意が必要です。
基本的に、赤や朱色などの明るい色は慶事用、藍色や鼠色などは弔事用として使用されています。紫色は慶弔どちらにも使用できるため、1枚持っておくと便利です。
包み方は、袱紗の中央からやや右寄りに香典を置き、右・下・上・左の順に包みます。余った部分に関しては、内側に折り込んでおけば問題ありません。
香典を渡すタイミングは、通夜・ご葬儀・告別式において焼香をあげる前です。通夜とご葬儀、または通夜と告別式に参列する場合はどちらかでお渡しすれば問題ありません。差し出す際は、右手に袱紗を置き、左手で開いて香典を取り出しますが、このとき相手方に名前が見えるよう向きを変えてお渡しします。
また、香典は一言添えて渡すのがマナーです。添える言葉は「このたびはご愁傷様です」「御花料としてお納めください。」「このたびは突然のことでお悔やみ申し上げます」などの簡単な言葉で問題ありません。ただし、浄土真宗においては「ご冥福」の言葉は使用できないので注意しましょう。
香典は故人様やご遺族へお悔やみの気持ちを込めて渡す金銭のことで、金額や包み方、渡し方にそれぞれ相場やマナーが存在します。お悔やみの気持ちをしっかりと届けるためにも、最低限のマナーを把握しておくのが大切です。故人様の関係性がどんなものだったのかを一度確認し、実際に渡す香典の額を決めてみてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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