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2024-12-13

お盆の迎え火・送り火のやり方|自宅・お墓でやる際の手順を分かりやすく紹介

毎年お盆の時期になると、神社仏閣や町会などで、賑やかなお祭りや催しが開催されます。そのような風潮もあり、お盆といえば季節のイベントを連想される方も少なくないでしょう。しかしながら、本来のお盆は、ご先祖様をご供養するための大切な期間なのです。

そこで当記事では、本来のお盆を過ごすための「迎え火」「送り火」のやり方について、分かりやすく解説していきます。

お盆の迎え火・送り火とは

お盆はお仕事や学校の休日も重なることから、楽しく自由に過ごせる期間と考える方も多いかもしれません。しかしながら、本来はご先祖様や故人様の御霊をご自宅にお迎えし、その魂を静かに供養するための大切な時期なのです。

お盆では、仏壇を清掃して、さまざまなお供え物を用意した後に迎え火を焚きます。これはご先祖様や故人様の御霊が迷わずに帰れるように、自宅の位置をお伝えするためです。

そして、お盆の期間が終わる日に送り火を焚きます。これは、オガラによる煙があの世へ届くと信じられているためです。送り火は、お越しになった御霊が無事にあの世へ戻りやすくするための気遣いでもあります。

送り火で御霊がご自宅から離れれば、お盆は終了です。つまり、送り火と迎え火は、お盆の区切りとなる由緒正しい行為なのです。

火をまたぐ理由は?

迎え火や送り火には、オガラに火をつけ、その火をまたぐという慣習があります。すべての地域で行われているものではありませんが、火をまたぐのもまた古くからの慣習として現代に受け継がれています。迎え火、送り火はまたぐことにより、「厄除け」や「無病息災」が叶うと信じられているのです。

<迎え火・送り火のまたぎ方>

1.オガラに火を灯して玄関から外側に向かって3回またぐ

2.またぐときに1年間の健康と幸せを祈る

3.ご家族が一人ずつ行う(順不同で構いません)

送り火も迎え火と同様、またぐと縁起が良いとされており、またぎ方は迎え火と同じです。しかしながら、地域によってまたぐ回数や方法が異なる場合もあります。

【自宅】お盆の迎え火・送り火のやり方

ここでは、お盆におけるご自宅前での迎え火・送り火に必要なものを解説いたします。ただし、こちらでご紹介するのは、あくまで一般的な方法にすぎません。地域に伝わる方法と異なる場合は、そちらの風習に合わせましょう。

<自宅で迎え火・送り火をするのに必要なもの>

・苧殻(オガラ)、松明(たいまつ)、白樺の皮、檜、松の根、松葉のいずれか

基本はオガラを使います。オガラとは「麻ガラ」とも呼ばれ、麻の皮を剥いて芯を乾燥させたものです。お盆の時期になると、スーパーや生花店で購入できます。いずれも用意できなかった場合は、割り箸を切ったものでも構いません。

・焙烙(ほうろく)

素焼きの平らなお皿です。ほうろく皿とも呼ばれ、この上でオガラを焚きます。ホームセンターやネット販売で購入できますが、ご自宅の平らな耐熱皿でも代用可能です。

・ライター、水を張ったバケツ

着火用のライターと消火用のバケツは、セットで用意しましょう。近年では、ターボ式ライターが100円ショップや霊園の窓口で販売されていることがあります。風に吹かれても消えにくいので、手に入れておくと着火がスムーズです。

・盆提灯、蝋燭

何らかの事情で送り火や迎え火が焚けない場合は、お盆用の提灯を使います。盆提灯は、中に火のついた蝋燭を立てて使います。蝋燭を灯すのは、ご先祖の御霊をお墓に迎えに行くとき、そしてあの世へお戻りいただくときだけです。また、LEDの盆提灯や熱がこもらないタイプの提灯など、事故が起きにくいよう配慮されているものもあります。

ここからは詳しい送り火、迎え火のやり方を見ていきましょう。

<自宅で行う送り火・迎え火の手順>

1.切ったオガラを焙烙に並べる

2.ライターなどで火をつける

3.火が灯ったら手を合わせる

4.水をかけて消火する

それぞれ詳しく解説していきます。

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➀切ったオガラを焙烙に並べる

オガラは、あらかじめ焙烙に合わせて短くカットしておきます。乗せ方に明確なルールはありませんが、山の形になるように隙間を空けて組むと燃えやすくなります。燃えすぎて火が大きくなると危険が伴うため、オガラを乗せる量は少なめにしましょう。オガラの乗った焙烙は、玄関先や庭先にセットします。

➁ライターなどで火をつける

次に、積み上げたオガラに火をつけます。ご自宅にあるライターやマッチでも構いませんが、着火ライター(ターボ式)が風に強くて便利です。

③火が灯ったら手を合わせる

火が灯り、煙が上がったら合掌します。火が完全に消えるまで、静かに見守りましょう。迎え火の際はオガラのみを焚きますが、送り火の場合はオガラとともに精霊馬を一緒に燃やす地域もあります。

④水をかけて消火する

火が燃え尽きたところで、燃えかすに水をかけて消火します。鎮火が確認できたら、燃えるゴミとして処分して構いません。焙烙は、しっかりと洗ってから乾かしておきましょう。

【お墓】お盆の迎え火・送り火のやり方

地域のルールやご家庭の事情などから、自宅前ではなくお墓で迎え火・送り火を行う方もいらっしゃるでしょう。ここでは、お墓前で送り火、迎え火を行う方法をご紹介していきます。お墓前での迎え火、送り火に必要なものは以下の通りです。

<お墓での送り火・迎え火に必要なもの>

・オガラ

・焙烙

・ライター

・盆提灯、蝋燭

・お線香、お供え物、供花、

・ハサミ

・お墓を掃除するための柔らかなスポンジやタオル、ゴミ袋

行き先の墓地に桶や柄杓の用意がない場合は、折りたたみのバケツなども用意しておくと良いでしょう。ここからはお墓で行う送り火、迎え火のやり方を見ていきましょう。

➀お墓参りをする

お盆では、ご先祖様や故人様へのご挨拶としてお墓参りを行います。ただし、お墓が寺院にある場合は、始めに手水舎で手を清めて本堂へお参りし、日頃ご先祖様がお世話になっているお礼を伝えましょう。

その後に桶や柄杓をお借りして水を汲み、お墓へ進みます。到着したら墓石の前で合掌し、お掃除やお参り、送り火、迎え火を行う旨を伝えましょう。お墓を掃除して供物を飾ったらお線香を焚き、再び日頃の感謝を込めて合掌します。

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➁切ったオガラを焙烙に並べる

お墓の前で、オガラを焙烙の大きさにハサミで切り分けます。オガラは、山の形になるように隙間を空けて組むと燃えやすいです。火が大きくなりすぎてしまうと事故につながる危険性があるため、積みすぎないようにしましょう。

③ライターなどで火をつける

次に、積み上げたオガラに点火します。このとき、風の煽りで火が消えにくいターボ型の着火ライターがあると重宝するでしょう。

④火が灯ったら手を合わせる

煙が上がったら、ご先祖様や故人様への想いを馳せながら、感謝やご供養の意を込めて合掌します。

⑤火を提灯や蝋燭に分ける

オガラの火が消えないうちに、その火を蝋燭に分け、蝋燭は盆提灯の中に入れます。また、LED点灯の盆提灯を使用する場合は疑似的に火を分ける動作をしましょう。

➅オガラに水をかけて消火する

オガラの火が消えた後は、燃えかすに水をかけて消火します。鎮火したら、持参したゴミ袋に入れて持ち帰り、燃えるゴミとして処分しましょう。焙烙は割れないように持ち帰り、洗ってからよく乾かしておきます。

➆火を家に持ち帰り仏壇などに分ける

お墓から蝋燭で持ち帰った火は、ご自宅にある仏壇周りの提灯や蝋燭に分けます。その後、軽く黙祷してお墓から持ち帰った蝋燭の火を消しましょう。

送り火の際は、仏壇に灯された蝋燭の火を盆提灯用の蝋燭に移して、そのままお墓に持って行きます。仏壇の火をお墓に届けたら、その火でお線香を焚いてお墓参りを行い、送り火にもその火を灯しましょう。

お盆の迎え火・送り火はいつやる?

お盆の迎え火と送り火は、お盆の始まりと終わりを意味します。お盆の初日には迎え火、最後の日には送り火を焚くのが基本です。

ただし、地域によってお盆の日程に違い(新盆・旧盆)があります。また、お盆より1日早く迎え火と送り火を行ったり、迎え火は前日と当日の2回に分けて行ったりなど、そのタイミングは地域の風習によってさまざまです。日程は、各地で定められた慣習に合わせましょう。

ここからは、迎え火、送り火の一般的な時期をお伝えいたします。

お盆の迎え火はいつ?

迎え火は、全国的にお盆の初日である8月13日の夕方に焚きます。7月盆を取り入れている地域の場合は、7月13日です。

適した時間帯は夕方17~19時ごろとされていますが、お墓で迎え火を焚く場合は暗くならないうちに行きましょう。足もとが見えないほど暗くなると、転倒などの事故が起こりやすくなるためです。なお、地域によってはいち早くご先祖様を迎えるため、午前中に迎え火を焚く場合もあるようです。

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お盆の送り火はいつ?

送り火は、お盆の最終日である8月16日の夕方に焚きます。7月盆を取り入れている地域の場合は、7月16日に行うのが基本です。

適した時間帯は17~19時ごろとされていますが、地域によって異なる場合があるため、分からないときは周囲の方に確認しておくと安心です。お墓で行う場合は、防犯の観点などから暗くならないうちにお参りしておきましょう。

お盆の迎え火・送り火に関する宗教ごとの違い

ここからは、お盆の迎え火と送り火に関する宗教ごとの違いについてご紹介いたします。

浄土真宗の場合

浄土真宗の教えでは、「人は亡くなった際すぐに極楽浄土へ成仏する」とされています。したがって、ご供養するために、迎え火や送り火を行う必要がありません。ご先祖様や故人様に感謝の意を込めてお供えをしたり、盆提灯をつけたり、お盆ならではの行事へ赴いたりなど、それぞれの過ごし方をすると良いでしょう。

神道の場合

神道でも、迎え火や送り火を行う慣習があります。神道に仏壇はありませんので、代わりに自宅へ祖霊舎(それいしゃ)を設置します。祖霊舎とは、ご先祖様や故人様の御霊を祀る社(やしろ)のことです。祖霊舎には、霊璽(れいし)が安置されています。霊璽とは、仏式の位牌にあたるものであり、故人様の御霊が宿っているものです。

神道では、祖霊舎から霊璽を出し、前面に設置した盆棚(精霊棚)の一番上に並べます。盆棚にはお供え物・榊(さかき)・神具・酒・塩・水・米・精霊馬(しょうりょううま)・盆提灯を飾ります。

玉串をお供えしてから、神社と同様に「二礼二拍手一礼」を行い、ご先祖様や故人様に祈りを捧げましょう。迎え火・送り火のやり方は仏教と同様ですが、神道でお線香は使用しません。

マンションなどでお盆の迎え火・送り火が出来ない場合は?

マンションで迎え火・送り火をしたい場合は、まず住居の規定を確認してみましょう。自宅前やベランダで火気を使用できない場合は、LED点灯の盆提灯を用いれば、迎え火や送り火の代わりになります。また、オガラと焙烙のみを用意して、火を焚かずに飾っておくだけでも目印になるとされています。

まとめ

お盆は迎え火から始まり、送り火で終わります。つまり、迎え火や送り火はお盆の大切な区切りといえるのです。しかしながら、地域やお住まいの環境により、オガラが焚けない方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は盆提灯などを用意し、ご先祖様に対する感謝や経緯、故人様への想いなどを込めて供養しましょう。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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