2024-03-08
故人様が亡くなった日は、仏教において「命日(めいにち)」と呼ばれています。命日は、仏教の慣習の中でも故人様の御霊を祀る特別な日とされているのです。
そこで本記事では、命日にすべきことや行ってはいけないこと、さらにお供え物や服装のマナーについても詳しく解説していきます。
命日とは、故人様が逝去した月日のことで、忌日(きじつ)とも呼ばれています。命日には、祥月命日(しょうつきめいにち)と月命日(つきめいにち)の二種類があり、それぞれに異なった意味が込められているのです。
祥月命日とは、故人様が亡くなった月日のことで、一般的に命日と呼ばれているものです。祥月は、故人様の一周忌以降に訪れる死亡月を指します。つまり、故人様が10月5日に亡くなった場合、それ以降に訪れる10月5日全てが祥月命日に当たるのです。
祥月命日に行う供養方法に、特に決まり事はありません。ただし、お墓参りや卒塔婆供養、年忌法要(一周忌や三回忌など)などの追善供養を行い、故人様のご冥福を祈るのが一般的です。
故人様が亡くなった日を「月命日」といい、月忌(がっき)とも呼ばれています。祥月命日は年に1回ですが、それ以外の毎月同じ日(年に11回)が月命日です。すなわち、10月5日が祥月命日だった場合、10月を除く毎月5日が月命日となります。
月命日に行う供養にも決まり事はありませんが、お仏壇の清掃をして、お供え物やお線香をあげるのが一般的な慣習となっています。地域によっては、月参りの供養を行うところもあるようです。
祥月命日や月命日で行うべきことは、特に決まっていません。ただし、行ってはいけないことや守るべきマナーについては、いくつか覚えておく必要があります。ここより詳しくご紹介していきますので、ご参照ください。
命日に、肉や魚をお供えする行為はNGとされています。仏教では、殺生を連想させる食べ物はお供えするべきでないという教えがあるのです。
また、酒もお供え物にはふさわしくないとされています。多くの宗派では飲酒をきつく戒めている(飲酒戒)があるため、お供えにお酒を選ぶのは避けた方が無難です。例外として、生前お酒が好きだった方には、お酒をお供えしても構わないという意見もあります。ただし、ご遺族がお酒を飲まない場合、扱いに困ることもあるので注意が必要です。
お供え物に生菓子を用いるのも避けましょう。生菓子の多くは、冷蔵が必要になる上に傷みやすいため、お供えするとご遺族に負担を掛けてしまいかねません。
大きいものや重たいものをお供えすることも、避けるべきでしょう。食べきれないほどの量のお供え物は、ご遺族に対する配慮が欠けているといった印象を与えてしまいます。
お花は、故人様が好きだったものをお供えするのが良いとされています。ただし、香りがきつい種類やとげの付いたバラ、また根付くという意味を含む鉢植えのお花は、お供え物にふさわしくないといわれています。
祥月命日や月命日に、喪服を着用する必要はありません。ただし、派手な色や華やかな服、カジュアルすぎる服、強い香水の使用は控えるようにしましょう。
故人様を偲ぶ場では、基本的に控えめで地味な服装を選ぶと良いでしょう。また、年忌法要の場合、ご遺族は準礼装、参列者は略礼装を着用します。
お供え物で一番喜ばれるものは、故人様の好きだったお菓子でしょう。ただし、常温で保存できて、個包装になっていて日持ちのするお菓子を選びます。例えばマドレーヌやフィナンシェ、クッキーなどの焼き菓子、饅頭、ゼリーなどが無難です。また、旬の果物のお供えも喜ばれるようです。冷蔵の必要がなく、傷みにくいものを選びましょう。
お花をお供えする場合は、日持ちのする花が無難です。和花でしたら菊・トルコキキョウリンドウ・キンセンカ・蘭・グラジオラス・シャクヤクがおすすめです。洋花でしたらカーネーション・ガーベラ・アジサイ・デンファレ・リシアンサスが良いでしょう。
ユリをお供えしたい場合は、花粉が処理されたものを使います。ただし、種類によっては香りが強いものもありますので、注意が必要です。
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続きを読む祥月命日では、故人様を偲んでさまざまな追善供養が執り行われるのが通例です。ここからは、主たる供養方法についてご説明していきます。
祥月命日にお墓参りをするご遺族は、非常に多いです。命日が平日に当たった場合、お墓参りのタイミングをご親族が集まりやすい週末にずらしても問題ありません。
なお、お墓参りをしなければならないという決まりはありません。しかしながら、年忌法要がない年にもお墓参りをすることで、故人様のご供養と残されたご遺族の心の安寧に繋げることができます。
祥月命日では、決まった間隔の年数で年忌法要(一周忌、三回忌、七回忌など)が執り行われます。僧侶に読経をあげてもらい、故人様をご供養するのです。特に一周忌は、故人様がこの世を去ってから日が浅いため、年忌法要の中でも重要な法事とされています。
ご家庭によっては、祥月命日に卒塔婆供養が行われます。卒塔婆(そとば)とは、故人様を供養するためにお墓へ立てられる木の板のことです。梵字・戒名・経文・亡くなった日付・供養した日付などが、墨で記されています。
卒塔婆供養を行う場合は、寺院もしくは霊園へ事前に依頼し、卒塔婆を作成してもらうようにしましょう。
命日の供養では、服装や持ち物のほかにも気を付けるべきマナーがあります。ここからは、ご遺族に掛ける言葉やお供え物の金額相場、渡し方についても解説していきます。
お供え物の金額相場は、故人様との関係性によって変わってきます。一般的な相場でしたら3,000~5,000円程度、故人様が身内の場合は10,000~30,000円の品が選ばれることが多いようです。
命日のお供え物は、年忌法要を執り行う日程に合わせてご遺族へ送るようにしましょう。お供え物は、配送中にのしが傷んでしまわないよう、内のしで包みます。手紙も添えると良いでしょう。
また、直接お供え物を持って行く場合は、一目で誰からなのか分かるよう外のしにします。仏壇へお参りした後、お供え物をご遺族へお渡ししましょう。その際は、「ご仏前にお供えください」という一言を添えることが大切です。
ご遺族にとって特別な日となる命日では、お相手へ掛ける言葉にも気を使う必要があります。言葉は長くなりすぎず、簡潔にお伝えするのがポイントです。「心よりご冥福をお祈りいたします」「謹んでお悔やみ申し上げます」などが良いでしょう。
死を連想させる忌み言葉(死亡、生存など)、重ね言葉(たびたび、重ねなど)、縁起の悪い言葉(忙しい、離れるなど)は使用することのないよう留意することが大切です。
法要の案内状は、多くの場合往復はがきで届きます。施主の準備期間に配慮するためにも、出欠に関わらず、できるだけ早い投函を心掛けましょう。
出席する場合は、返信はがきの出席の欄に丸をするだけで問題ありません。ただし、欠席の場合は空白のスペースに、お詫びの一言を添えます。相手に失礼のないよう、誠意を込めた文章を書きましょう。
内容は、「やむを得ない事情により、不本意ながら欠席します」ことと「大変申し訳ございません」というお詫びの気持ちを記します。また、弔意を込めて、お供え物をお送りしても良いでしょう。
命日は、故人様の御霊を弔う大切な日であり、お墓参りや法要などを執り行うのが一般的です。命日では、守るべきマナーや行うべき行動があります。誰にも失礼のないような形で故人様を偲ぶことができるよう、当記事をお役立ていただければ幸いです。
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