2024-11-01
ご家族の方や2親等以内の方が亡くなった場合、命日から一年間は喪に服すのが通例です。日本における喪中期間では、故人様の死を悼み、静かに過ごすことが一般的であるため、日常生活においてある程度の制約が求められます。
そこで当記事では、喪中と厄年が重なった場合の対処法、初穂料の相場などをご紹介いたします。
結論から申し上げますと、喪中でも厄払いは可能です。
喪中の期間は、さまざまなことを禁じて慎むべきというイメージが残っているため、厄払いを行うことも躊躇してしまうかもしれません。しかしながら、厄払いはお祝い事では無いため、喪中かどうかは関係なく受けることが可能です。ただし、寺院と神社では、厄年や喪中(忌中)に対する考え方が違うため、対応がそれぞれ異なることも覚えておきましょう。ここからは、寺院と神社との厄払いの違いをご紹介いたします。
基本、厄払いは神社へお願いする方が多いですが、寺院でも受けることが可能です。なお、寺院では厄払いではなく、厄除けと呼ばれています。厄除けを受ければ、お釈迦様のご加護で災厄から身を守る盾(たて)の効果があると伝えられています。
寺院では、「死は穢れ」といった教えはありません。そのため、忌中でも喪中でも関係なく厄除けをお願いすることができます。なお、厄除けを行っていない寺院もありますので、事前に確認しておくと安心です。
神道では、死を「多くの方々に災いを呼ぶ穢れ」ととらえる教えが根強いため、忌中に神社境内に立ち入ることはマナー違反にあたります。忌中の間は、ご自宅の神棚封じも行うなど、極力避けるようにしなければなりません。
ただし、四十九日が過ぎた50日目からはご自宅の神棚封じを解き、神社の境内にも入れるようになることがほとんどです。そのため、喪中が明けていなくとも、忌中を過ぎていれば神社での厄払いも可能です。なお、厄払いには降りかかった厄を取り去る矛(ほこ)の効果があると考えられています。
また、神社によっては忌中だけでなく、喪中期間に境内に入ることもマナー違反にあたる場所があります。お祓いのご利益をしっかり受け取るためにも、喪中であることを事前に申告し、厄払いが可能であるかどうか確認しておきましょう。
厄年とは、気をつけて生活をしていくべき時期のことです。厄年では、思わぬ事故や病気による災難、近親者の死などが起こりやすいと伝えられています。そこで、厄年でも平穏無事に過ごせるよう、神社仏閣にお祈りして厄を退ける儀式が厄払い(厄除け)なのです。厄払いは、年明けから節分の時期までに済ませるのが通例ですが、この期間以外でも受け付けてもらえます。
男女別で厄払いを行った方が良い年は、以下の表でご確認ください。それぞれ数え年(誕生日前は実年齢+2歳、誕生日後は実年齢+1歳)で換算します。
前厄 | 本厄 | 後厄 | 前厄 | 本厄 | 後厄 | 前厄 | 本厄 | 後厄 | 前厄 | 本厄 | 後厄 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 24歳 | 25歳 | 26歳 | 41歳 | 42歳 大厄 |
43歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 以降はナシ | ||
女性 | 18歳 | 19歳 | 20歳 | 32歳 | 33歳 大厄 |
34歳 | 36歳 | 37歳 | 38歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 |
特に気をつけるべきは本厄の時期ですが、中でも男性の42歳、女性の33歳は「大厄」と呼ばれ、更なる注意が必要です。前厄と後厄の年も縁起が良くない時期と考えられているため、本厄だけでなく前厄や後厄にお祓いを受ける方もいらっしゃいます。
なお、厄払いを受けなければ必ず災難が起きるとは限りません。中には厄のことなど忘れ、厄払いをしないまま時期が過ぎていたという方もいらっしゃいます。しかしながら、厄払いはしっかりと祈願や祈祷を行ってもらい、災難や穢れを遠ざけることで安心感を得られるという利点があります。厄年はさまざまな変化が起こりやすい時期なので、厄払いや厄除けをしておいた方が安心ですが、受けるかどうかは個々の考えに合わせて決めると良いでしょう。
オススメ関連記事
厄年って何?「厄落とし」「厄払い」「厄除け」のそれぞれの意味について
日本では、人生で3回、厄災が降りかかりやすいといわれている「厄年」があるとされています。「厄落とし」は、厄年の厄を祓う...
日本では、人生で3回、厄災が降りかかりやすいとい...
続きを読む神社に厄払いをお願いする際、受付で支払うのが「初穂料(はつほりょう)」です。なお、寺院の厄除けでは初穂料と呼ばれることもあれば、地域によって「御布施」「御礼」と表現されることもあります。
かつての日本では、秋に初穂を収穫した際に神仏へ供える習慣があったことから、初穂料という名称がつけられました。つまり、初穂料とは厄払いの対価ではなく、神仏への謝礼として考えるのが自然です。
初穂料の相場は、5,000~10,000円程度です。寺社によっては料金表が張り出されているところもありますので、不安な場合は受付を確認してみましょう。
初穂料は、のし袋に入れて出すのが最も丁寧です。のし袋で出す場合は、蝶結びの水引が掛けられたものを選び、水引の上部には「初穂料」、下部にはご祈祷を希望する方の氏名を記載します。なお、寺院に出す場合は「御礼」と記載するのが無難です。
中袋の表側には、旧字体で縦に金額を書きます。例えば5,000円なら「金伍阡圓」、10,000円の場合は「金壱萬圓」です。裏側の左下には、同じく縦書きで住所と名前を記載します。
喪中の一年間は、故人様の死を悼み、お祝い事などの行動を慎むべき時期です。そのような中での厄払いや厄除けについては、行うべきかどうか迷う方も多いでしょう。しかしながら、お祝い事と厄払いは意味合いが異なるため、ご自身が快く厄年の期間を過ごせるように、後悔のない選択をするようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
香典は、ご葬儀の場において故人様の御霊前へお供え物をする代わりに、ご遺族へお渡しする金銭です。「5,000円程度が香典の相場なのではないか」という意見も散見されますが、故人様との関係や地域によって金額のマナーは変わるため、注意が必要です。 そこで今回の記事では、香典の一般的な相場や香典袋の選び方、書き方、香典のマナーについて詳しくご紹介していきます。
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。