2021-04-23
大切な方を亡くされたあとに訪れる命日。命日は故人様のことを思い出し、近しい方々と語り合い、故人様を偲ぶ大切な日になります。しかし、一言に命日と言ってもどのようにして過ごせばよいのかご存知の方は意外といらっしゃらないのではないでしょうか。
そこで今回は、故人様を偲ぶ命日の過ごし方やお供え物の選び方、注意点などについてご紹介します。
命日は、故人様が亡くなられた年月日のことを指し、「忌日(きにち)」と呼ばれることもあります。この日は、主にご親族や故人様と生前親交があった方々が集まって故人様のことを思い出したり、語り合って弔たりして過ごします。
なお、命日には「祥月命日」と「月命日」があり、それぞれで意味や供養の仕方に違いがあります。以下では、「祥月命日」と「月命日」の意味や供養の仕方についてまとめましので、ご参照ください。
祥月命日(しょうつきめいにち)は、故人様が亡くなられた月日と同じ日のことを指します。例えば、故人様が本年の4月12日に亡くなられた場合、翌年以降の毎年4月12日が祥月命日になります。
祥月とは「正忌月(しょうきづき)」のことを指します。本来は「正月(しょうつき)」と書きますが、新年の正月(しょうがつ)と混同されやすいために、儒教で一周忌を表す「小祥忌(しょうしょうき)」や三回忌を表す「大祥忌(だいしょうき)」の「祥」の字を用いるようになったとされています。
祥月命日では、故人様の位牌がある仏壇を綺麗にしてお花や食べ物をお供えするほか、お墓参りを行ったり、塔婆(とうば)供養などを行います。塔婆供養は、人の形をもとに作られたとされる塔婆に、日付や作成した方の名前などを記入して、お墓のそばに立てて故人様を弔います。
また、祥月命日に行う供養の中でも節目に行う供養に「年忌法要」があります。年忌法要には一周忌や三回忌があり、そちらの方が分かりやすいのではないでしょうか。年忌法要の詳細については以下の記事で取り上げておりますので、ぜひご参照ください。
年忌法要はいつまで行われるの?
一周忌法要とは?一周忌法要の流れやマナー、準備するものをご紹介
月命日は、故人様が亡くなられた同じ日のことを指します。例えば、4月12日に亡くなられた場合、毎月12日が月命日になります。この日は、祥月命日のようにご親族や故人様と生前親交があった方々が集まるのではなく、故人様のご遺骨を管理するご遺族などによって執り行われます。月命日に供養をすることで故人様との時間を思い出すことで、故人様を変わらずに大切に思っていることを改めて確認できるという意味も持っています。
月命日では、故人様の位牌がある仏壇を綺麗にしてお花や食べ物をお供えしてお線香をあげるのが一般的です。中には、お墓参りをしたり、ご自宅に司式者をお呼びしてお経をあげていただく「月参り」を執り行うところもあります。
一般的に命日にお参りする際には、お供え物を持参するのがマナーになります。お供え物はご遺族で故人様からのお下がりとしていただくため、故人様だけでなく、お供え物を受け取られるご遺族の手間や都合を考えた上で用意するようにしましょう。
以下では、お供え物としてよく利用されるものについてまとめましたので、ご参照ください。
お供え物の定番と言えるのが、お菓子です。故人様が好きであった物を選ぶのが好ましいですが、生菓子の場合、要冷蔵であったり、賞味期限が短かったりするので、できる限り控えましょう。
お菓子でおすすめなのが、比較的日持ちがして個包装になっている焼き菓子になります。洋菓子であればクッキーやカステラ、和菓子であれば羊羹やまんじゅうなどが人気になります。また、ご遺族の家族構成などを考慮してお子さんが多いようであればゼリーなどもよいでしょう。
果物も代表的なお供え物になります。選ぶ際には故人様が好きであった物や旬の物、傷みにくいものを選ぶようにしましょう。丸い果物は縁起がよいものとされているので、リンゴやメロンなどがよく選ばれます。なお、果物をお供え物として贈る場合、故人様との縁を切るという意味を避けるために、奇数になるようにしましょう。
故人様が花が好きであった場合、花をお供えするのもよいでしょう。お供え物として選ばれる花としては、和花であれば菊・シャクヤク・リンドウなど、洋花であればカーネーションなどがおすすめです。
なお、バラなどの棘がある花や香りの強い花、鉢植えについてはあまり相応しくないとされているためさけるようにしましょう。
お供え物には消耗品であるお線香もおすすめです。ただし、お線香には香りが強いものや煙が出ないものなど様々な種類があるため、先方の好みが分からないようであれば香りが控え目で、煙があまり出ないものを選ぶのがよいでしょう。
お供え物については特に決まりがないとされていますが、実はお供え物に相応しくない物もあります。
肉や魚は殺生を連想させてしまうため、お供え物としては相応しくないとされています。また、お酒については「お神酒(おみき)」としてお供えされることもありますが、ご遺族がお酒を飲めないこともあるため、配慮が必要です。故人様もご遺族もお酒が好きであれば問題ありませんが、重くてかさばる場合はやはり避けるのがよいでしょう。
スペースをとってしまうかさばる物や大きい物については、ご遺族の迷惑になってしまうため、避けるようにしましょう。また、お供え物をご遺族で分けることもあるため、重いものは避けましょう。
近年ではお墓や仏壇をお持ちでない方も増えてきました。しかし、命日は故人様との思い出を懐かしみ、故人様の在りし日の姿を偲ぶことで故人様、そしてご先祖様を大切に思う心を新たにする日になります。月命日も含めて、命日の過ごし方に関して改めて考えてみるのはいかがでしょうか。
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