2020-06-12
大切なご家族を亡くされて満1年目の命日に執り行われる「一周忌法要」。一周忌法要が執り行なわれるにあたり、ご遺族と参列者共に事前に準備しておかなくてはいけないことがあります。
そこで今回は、一周忌法要の流れやマナー、ご遺族側と参列者側でそれぞれ必要な一周忌法要の準備についてご紹介します。
一周忌法要とは、故人様が亡くなってから満1年後の命日に行われる法要を指します。年忌法要(※)の中で最も重要である一周忌法要は、ご親族や親しい間柄の方などをお招きし、故人様を偲ぶのが目的です。
一周忌法要は本来、故人様が亡くなられた同月同日である「祥月命日(しょうつきめいにち)」に執り行われます。しかし、現在では祥月命日が平日の場合は学校や仕事で都合が悪いため、参列者の都合に合わせて満1年目の命日に近く、命日より早い土曜日や日曜日に執り行わることが多くなっております。
「一周忌」と間違えやすいのが「一回忌」ですが、両者には明確な違いがあります。「一回忌」は1回目のおつとめであるご葬儀を指しています。それに対し「一周忌」は故人様が亡くなられてから満1年目に執り行われるものであるため、おつとめでいうと2回目となります。
※年忌法要に関しては以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、関心のある方はぜひご参照ください。
年忌法要はいつまで行われるの?
一周忌法要に向けてご遺族が準備することはたくさんありますが、主に祥月命日の2ヵ月前までに準備を始めることと一周忌法要の2週間前までに準備をすることに分けることができます。以下にそれぞれ準備事項をまとめましたので、ご参照ください。一つずつ確認をして、万全の状態で当日を迎えるようにしましょう。
① 日程を決める
まず最初に必要な準備は、一周忌法要を行う日程を決めることです。日程に関しては、ご遺族だけでなく、参列者や司式者の都合に合わせることが大切です。そのため、本来一周忌法要が行われるべき祥月命日が平日の場合は、直前の土曜日や日曜日、祝日など前倒しの日程で行いましょう。
② 会場を決める
日程が決まったら、一周忌法要の会場を決めましょう。一周忌法要の会場は、自宅・寺院・葬儀社のホールなどがあります。
③ 寺院へ連絡する
日時を決めたら、一周忌法要でお経をあげてもらうために、寺院にも早めに連絡をしましょう。菩提寺がある場合は菩提寺に、霊園や墓地を利用している場合はご葬儀でお世話になった寺院に連絡しましょう。
④ 招待客を決める
一周忌法要の日程と会場が決まったら、お呼びする招待客を決めます。一周忌法要にお呼びする招待客は、一般的にご親族と故人様が生前お世話になった友人・知人までとされています。なお、場合によっては会社関係まで声をかけることもあります。
⑤ 招待客への連絡と案内状の送付
一周忌法要の招待客が決まったら、食事や引き出物の数名を把握するために、招待客一人ひとりに連絡をします。ご遺族やご親族などのお身内だけで一周忌法要を執り行うのであれば、連絡方法は電話で問題ありません。故人様が生前お世話になった友人・知人を招待される場合は、返信用ハガキなどを同封して案内状をお送りしましょう。
① 会食の手配
一周忌法要の後は会食の席(お斎・おとき)を設けるのが一般的です。会食会場は一周忌法要が執り行われる会場や参列者の事情に合わせて準備するとよいでしょう。予約の際は、法事で利用することを伝え、お祝い用の献立にならないように注意しましょう。
なお、一周忌法要の後にお店で会食をする場合は、参列者の移動用送迎車も手配しておきましょう。お店で送迎サービスを行っているようであればお願いするのをおすすめします。
② お布施やお車代などを用意する
一周忌法要では司式者にお経をあげていただくため、ご葬儀と同様に司式者へのお礼(お布施)が必要です。また、お車代のほか、司式者がお斎(会食)を辞退する場合もあるので御膳料を用意します。お布施などの金額に明確な決まりはありませんが、事前に寺院に確認したり、ご親戚の年長者の方に相談しておくとよいでしょう。
お布施やお車代は、半紙の中包みに入れ、奉書紙で慶事の上包みの折り方をしてお渡しするのが最も丁寧な方法です。市販の白封筒でもかまいませんが、郵便番号入りではない無地のものを選びましょう。表書きは、普通の黒の墨で書きます。お布施などは直接手渡しするよりも、小さなお盆に乗せてお渡しするのがよいでしょう。
③ 引出物の手配
一周忌法要の引出物には、参列者への香典返しの意味があります。引き出物は、香典返しと同様に不祝儀を後に残さないということでいわゆる「消え物」が一般的とされています。最近は、相手側が自由に選べるカタログギフトを用いるのもいいでしょう。
熨斗(のし)の表書きは「志」、「粗供養」などとし、水引は黒白か銀の結び切りのものを使います。法要の後に食事の席を用意しない場合は、折り詰めの料理とお酒を用意し、引出物と共に参列者の方々へお渡しします。
④ 施主の挨拶
施主は一周忌法要の最初と最後に挨拶を行うのが一般的です。当日に慌てないようにするためにも、事前に準備しておきましょう。なお、お斎の席で食事前に献杯を行うことがあります。もし、献杯を行う予定であれば、献杯のご発声をしていただきたい方へ、事前にお願いをしておきましょう。
招待客として一周忌法要に参列する際は、ご遺族ほどのたくさんの準備はありません。しかし、いくつか気を付けておきたいマナーがありますので、準備するものと合わせてみていきましょう。
一周忌法要に招待されたら基本的に断らないのがマナーです。どうしても都合がつかない、外せない用事がある場合を除き、できる限り参列するようにします。また、案内状が届いたら、施主・ご遺族の都合を考慮して、早急に返事を出しましょう。
一周忌法要に参列する際は、御仏前に供えてもらうように、香典を用意するのがマナーです。一周忌法要の香典の相場は、5,000円~10,000円と言われておりますが、故人様と関係が深い方については、10,000円以上を包むこともあります。なお、表書きは宗教ごとに異なり、仏式の場合は「御供物料」か「御仏前」、神式の場合は「御神前」「御玉串料」「御榊料」、キリスト教式の場合は「御花料」となります。
供物は、果実やお線香、故人様が好きだったお菓子などを準備します。
香典と供物は、開始前に自分で祭壇にお供えするか、施主に「御仏前にお供えください」と言ってお渡しします。
一周忌法要当日は、開始の20分~30分前に到着し、施主に挨拶をしましょう。「本日はお招きいただき恐れ入ります」などのように「ありがとうございます」とは言わずに挨拶をします。
一周忌法要の服装は、施主・ご遺族・ご親族は喪服を着用するのが一般的です。その他の参列者の場合は、喪服または略喪服を着用し、ネクタイは黒を選びます。学生は制服を着用し、もし制服がない場合には、白いシャツかブラウスに、黒・紺あるいはグレーのズボンやスカートを着用します。案内状に平服と指定されている場合は、「場に適した服装」で行きましょう。
<略喪服>
【男性の場合】
・ブラックスーツやグレー・濃紺などのダークスーツ
・白いワイシャツ
・黒無地のネクタイ
・バックルがシンプルなデザインのない黒のベルト
・黒無地の靴下
・金具が付いていないシンプルなデザインの黒の革靴
【女性の場合】
・黒・グレー・濃紺などの地味な色のワンピースやアンサンブル、セットアップスーツ
・中に着るトップスもダークカラーのものにする(白などの明るい色はNG)
・アクセサリーは、一連の真珠やオニキス(結婚指輪も可)
・バッグは、光沢や飾りのないシンプルな黒の布製(荷物が多い場合は、黒のサブバッグを持ちましょう)
・黒の薄手のストッキング
・シンプルな黒のパンプス
【子どもの場合】
・学生の場合は、学校の制服
・学校の制服が無い場合は、白シャツにグレーや黒のズボンやスカート
・乳幼児の場合は、飾りのない落ち着いた色合いの服装
<場に適した服装>
【男性の場合】
・グレーや紺のスーツに白いワイシャツを合わせる
・ネクタイは、黒以外にも地味な色合いであればOK
・靴下は、黒以外にもグレーなどでもOK
【女性の場合】
・グレー・紺・黒などのアンサンブル
・ブラウスは、白でも可
・アクセサリー・バッグ・靴は、華美なものを避ける
【子どもの場合】
・学生の場合は、学校の制服
・学校の制服が無い場合は、白シャツにグレーや黒のズボンやスカート
・乳幼児の場合は、飾りのない落ち着いた色合いの服装
一周忌法要の流れは寺院によって違いますが、次のような流れになるのが一般的です。
① 司式者が入場 | 司式者が入場する前に、全員席に着いておきます。席順は、祭壇に近い上座に故人様と縁が深かった方が座ります。また、祭壇を中心に、祭壇から見て左側が施主・ご遺族・ご親族の席となり、右側が近親者・友人・知人の席になります。司式者は入場したら祭壇の前に座ります。 |
---|---|
② 施主による挨拶 | 一周忌法要の開始の挨拶を行います。 |
③ 司式者による読経 | |
④ 焼香(※) | まず初めに施主、その後は上座に座っている方から焼香を行います。 |
⑤ 司式者による法話 | |
⑥ お墓参り | 墓地が近い場合のみ、この時点でお墓参りをします。 |
⑦ 施主の挨拶 | 一周忌法要の終了の挨拶を行います。 |
⑧ 会食(お斎) | 食事会場が異なる場合は移動します。 |
※焼香の作法に関しては以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、関心のある方はぜひご参照ください。
ご葬儀における焼香の作法とマナー。宗派ごとの作法や回数の違いとは?
一周忌法要では、施主の方は開始と終了に挨拶を行います。以下に挨拶例をまとめさせていただきますので、ご参照ください。
挨拶での故人様の呼び方は、戒名で呼ぶのが正しい作法です。参列者に挨拶をし、司式者にも挨拶と一礼をした後に読経と焼香が始まります。
本日は、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
それではただいまより<戒名>の一周忌の法要を始めさせていただきます。
本日は○○寺の住職である○○様にお勤めをお願いしております。
それでは○○様お願い致します。
焼香が全員終わった段階で、終了時の挨拶を行います。終了時の挨拶では、お礼とお斎の案内をします。
本日は皆様のおかげで<戒名>の一周忌の法要を無事終えることができ、故人も安心していることと思います。
簡単ではございますが、お膳をご用意いたしました。お時間の許す限りゆっくりとなさってください。
本日はお忙しい中お集まりくださり、誠にありがとうございました。
故人様が亡くなられて満1年にあたる一周忌法要では、ご遺族側は日程の決定から招待客への連絡、寺院への連絡など様々な準備が必要です。一方で参列者側も香典や供物の準備などの必要があります。一周忌法要当日に故人様を偲べるよう、ご遺族側も参列者側もしっかりと準備を整えましょう。
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