2021-01-22
お仏壇になくてはならない存在であり、故人様の霊を祀るためにその方の戒名や芳名を記したお札(牌:ふだ)を指す「位牌」。戒名などが明記された木のお札であることは皆様ご存知かと思いますが、位牌が意味することや種類などに関してご存知の方はさほど多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、位牌の概要や位牌の種類、特徴などについてご紹介します。
位牌は、亡くなられた方の戒名や名前、命日、年齢などを書き記す木のお札を指し、故人様の霊魂が宿る場所とされています。ご葬儀の際に祭壇に祀るほか、ご葬儀後には仏壇に安置するため、一般的なご葬儀を執り行う場合は必須のものになります。
位牌にはいくつかの種類があり、大きく分けると「白木位牌(仮位牌)」「本位牌(黒塗位牌・唐木位牌)」「寺位牌」の3つになります。
白木位牌は、仮位牌や野位牌とも呼ばれ、ご葬儀から四十九日法要まで使用する本位牌ができるまでの仮の位牌となります。地域や宗派によって異なりますが、忌明けとなる四十九日のタイミングでお寺や仏具店などで仮位牌をお焚き上げしてもらうのが一般的です。
なお、仮位牌はご葬儀で使用するため、葬儀社やお寺で用意してもらえます。
本位牌は、忌明け後に必要になる位牌になります。黒漆が塗られた黒塗位牌や高級木材が用いられている唐木位牌などがあります。他にも、従来の形にとらわれず自由なデザインにできるモダン位牌などもあります。
なお、本位牌は仏壇仏具店などで購入ができ、製作には1~2週間程度が必要になりますので、注意しましょう。
寺位牌は、ご自宅に安置される位牌と別に、お寺やお寺の本山に安置する際に用いられる位牌になります。
様々な事情からご自宅に位牌を安置できないという方や永代供養をご希望されているご家族の方が、お寺に依頼することで他の寺位牌とまとめて供養をしてもらえます(お寺によってはご自宅で安置していた位牌を持ち込むことができるお寺もあります)。
ただし、お寺によって供養していいただくための料金が異なる場合や位牌のサイズによっては位牌を持ち込むことができない場合もあるため、寺位牌を持ち込んで供養していただきたい場合は、必ず事前にお寺に確認をするようにしましょう。
位牌に文字を入れる方法は、一般的には「手彫り」か「機械彫り」のどちらかから選ぶことになります。「手彫り」の場合は漆で文字を書いた後に乾かす工程が必要になるために納期が2週間程度かかるのに対し、「機械彫り」の場合は1週間程度かかります。
位牌の表面には「戒名」と「没年月日」が入れられます。
死後に戒名を付ける場合には、「□□院○○○○居士」といった戒名を位牌に入れます。なお、宗派によって戒名の違いの他にも、真言宗では戒名の上に梵字(ぼんじ)の「ア」や「カ」を入れるように戒名の上に宗旨に添った文字を入れることもあります。
戒名に関しては、以下の記事で詳しく紹介しておりますので、ご参照ください。
戒名はどうやって付けるの?戒名の意味や構成など戒名に関する基礎知識
位牌の裏面には、故人様の生前の名前である「俗名」と「享年(行年)」が入ります。享年は数え年、行年は満年齢による違いがありますが、現在では享年の場合であっても満年齢で記載することが増えてきています。
なお、「才」と「歳」のどちらを使用するかについては、最近では「才」の方が見やすさに優れているために多くなっているようです。
位牌を仏壇に安置するにあたって、位牌は仏壇に安置している本尊(仏像)よりも小さいものでなければいけません。これは、仏壇が本尊を祀るためのものであるからです。
故人様の位牌は、ご先祖様よりも大きい位牌にしてはいけません。これは位牌が儒教の先祖崇拝の考えから来ているためです。なお、偉大な功績を残した方などの場合は、例外的にご先祖様よりも大きい位牌が作られることがあります。
ご夫婦の場合、位牌は同じ大きさにするのが一般的です。なお、位牌は一人一柱が原則となりますが、ご夫婦であれば連名で位牌を1つにすることができます。先に亡くなられた方の位牌を作成してその後改めて夫婦位牌を作り直すようにするか、はじめから夫婦位牌を作成して文字を後から入れられるようにするという方法になります。
位牌の数が増えると仏壇内にすべてを安置するのが難しくなり、さらに経年劣化によって文字の判読も難しくなるため、一定期間でまとめるのがよいでしょう。以下でまとめる方法についてまとめましたので、見ていきましょう。
ご先祖様の位牌が増え、仏壇にすべての位牌を安置するのが難しい場合は、「回出位牌(くりだしいはい)」を使用しましょう。回出位牌は、位牌に扉がついており、戒名を入れる札板を数枚程度収納することができるため、こちらにまとめて収納するようにしましょう。
その際、1番前の札板には「○○家先祖代々之霊位」といった文字を入れて、以降は故人様の戒名が記載された札板を入れていきます。
ご先祖様の位牌を「○○家先祖代々之霊位」というように、1つの位牌にまとめることも可能です。この場合、三十三回忌や五十回忌などの「弔い上げ」などを目安にして、個人位牌から先祖代々の位牌に移すとよいでしょう。
「過去帳」とは、故人様の戒名や俗名、没年月日、享年(行年)をまとめる仏具になります。これも先祖代々の位牌と同様に、弔い上げを機に過去帳に移すとよいでしょう。
仮位牌は本位牌に故人様の魂を移した後は処分することになります。一般的には四十九日法要に合わせて本位牌を用意するため、仮位牌はお寺か仏具店に引き取っていただき、お焚き上げをしてもらいましょう。
なお、位牌の処分に関しては、以下の記事で詳しく紹介しておりますので、ご参照ください。
継承できなくなった位牌はどうすればいいの?正しい位牌の処分方法とは?
位牌は故人様・ご先祖様そのものになりますので、納得するものを選んで、丁寧に祀ることで、しっかり故人様・ご先祖様を供養するようにしましょう。また、宗派によって位牌のマナーが異なりますので、位牌を選ぶ際にご心配な方は、仏具店やお寺に相談した上で検討するとよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
位牌は、故人様の魂を宿らせてご供養するために用いられる木札です。人が亡くなると、葬儀社や菩提寺の方で白木の仮位牌が用意され、四十九日法要までにご遺族が本位牌を用意するのが一般的な流れです。しかしながら、中には生前にご自身で位牌を作成したいと考える方もいらっしゃいます。 そこで当記事では、生前位牌とは何か、また生前位牌のメリットや注意点も解説いたします。
俗名とは、生前に使用していた名前、または仏弟子となる前に名乗っていた本名を指します。また、俗名に対して使用されている戒名は、出家後または故人様の死後に付けられる名前です。これは、仏教による考え方に沿った呼ばれ方になります。 つまり戒名は、仏教の儀式などで用いられる名称なのです。そこで当記事では、俗名と戒名の違いや使用用途、そして位牌に記された文字について解説していきます。
故人様が極楽浄土に向けて旅立つときに必要なものの一つとして挙げられるのが「戒名(かいみょう)」です。この戒名の一部に「道号(どうごう)」と呼ばれるものが用いられます。