2023-03-24
ご葬儀は、人生において数少ない経験になるがゆえに分からないことも多く、マナーなどで戸惑うことも出てくるでしょう。ですが、ご葬儀は大切な儀式なので、なるべく失敗したくないところです。ご葬儀ではさまざまなマナーが存在しますが、今回はご遺体やご遺骨とともに移動する場面での位牌や遺影、ご遺骨などの扱い方や注意点などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
出棺の儀礼が終わった後は、棺とともに霊柩車へ向かいます。基本的には僧侶、位牌を持った方、遺影を持った方、棺を持った数人のご遺族の順番で霊柩車へ乗ります。まずは、位牌・遺影・棺の3つはそれぞれ誰が持つのかといった出棺時のマナーについて詳しく見ていきましょう。
基本的に、位牌は喪主が持ちます。たとえば故人様が夫の場合、喪主を務めるのは妻の場合が多いです。しかし昨今では、高齢の親に負担をかけないように、長男などの故人様の子どもが喪主を務めること多く、その場合は喪主を務める方が位牌を持つことになります。
遺影は、喪主の次に故人様と縁の深い親族がしっかりと胸に抱くようにして持ちます。たとえば、故人様の配偶者の方が喪主である場合、長男が遺影を持ちます。明確なルールはありませんが、長男、次男、長女、次女の順で誰が持つのかが決まることが多いです。
棺は大変重いため、葬儀社のスタッフまたはご遺族の男性が数人で霊柩車まで運ぶのが一般的です。しかし、地域によっては故人様の奥様や子どもが一緒に手を添えながら霊柩車まで歩いていく場合もあります。なお、家族葬が多い昨今では、男女問わずに参列者全員で棺を運ぶケースもあります。
また近年では、棺を運ぶための台車(棺台車)を用意してある会場がほとんどです。ゆえに、斎場から霊柩車までの道のりを棺台車で運ぶケースが多くなっています。
多くの参列者にとって、出棺は故人様のお顔を見てお別れをする最後の機会となるため、喪主は心を込めた対応を取ることはもちろん、正しい振る舞いが求められる場面でもあります。ここからは、出棺時にご遺族が慌てないためのマナーや注意点などについて解説していきます。
霊柩車へ棺を納める際に気をつけるべきマナーは、故人様の足側を先頭に向けるようにするということです。これには、主に「故人様の魂が家に帰れないようにする」という意味合いが含まれています。
位牌には故人様の魂が宿っているといわれています。位牌は故人様そのものとみなし、丁寧に扱います。また、遺影も同様に抱きかかえて持つのがマナーです。
出棺の際には喪主が位牌を持ち、その次に故人様と縁の深い親族が遺影や空の骨壺を持ち、霊柩車へと向かいます。近年用意されている多くの霊柩車は、位牌を持った喪主と遺影を持つご遺族の2名が乗れるタイプです。
また、葬儀社によっては、助手席を開けて後方の席に喪主1名だけを乗せる場合もあります。ほかにも、助手席に喪主、後方の席に2~3名のご遺族が乗れるリムジンタイプの霊柩車もあります。なお、乗れなかったご遺族は、自家用車を使って火葬場に行くことが多いです。
霊柩車が火葬場に向かって動き出したら、参列者は合掌し頭を下げて、故人様のご冥福を祈りながらお送りします。その際、コートなどの防寒着は脱いでおきます。やがて霊柩車が見えなくなりましたら、静かに退出しましょう。
なかには、焼香後に退出しても構わないという地域がありますが、僧侶の読経中は退出することのないようにします。できれば出棺までは立ち合い、故人様をお見送りすると良いでしょう。
火葬場に同行するのは、基本的にご親族のみです。故人様と特に縁の深かった参列者で火葬場への同行を希望される場合は、事前に喪主への確認が必要です。
なお、昔は妊婦の方や子どもを亡くした方、高齢者の方は、火葬場に同行してはいけないといわれていました。火葬場の衛生面などの理由により同行の配慮がなされていたようですが、現在の火葬場は整備されていますので、本人の意思で同行する分には特に問題ありません。詳しい内容については、以下の記事を参考にしてみてください。
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続きを読む火葬場からの帰り道では喪主が位牌を持ち、次に縁が深いご遺族がご遺骨を、その次に縁が深いご遺族が遺影を持ちます。ここからは、位牌・遺骨・遺影の3つの持ち方について解説していきます。
故人様の魂が宿っている位牌は、喪主の方が持ちます。火葬場へ向かう際と同様に丁寧な扱いで持ち帰りましょう。
ご遺骨の入った骨壺は、喪主の次に故人様と近しい方が持ちます。非常に重量がある上に壊れやすい陶器製なので、持ち運びには十分な注意が必要です。特に年配の女性が持つようなら、力のある男性のご遺族に変更した方が無難といえます。
遺影は、喪主の次の次に故人様と近しい方が持ちます。来たときと同様に、しっかりと抱えて持ちましょう。
火葬場から帰る際にも、気をつけなければいけないマナーがあります。最後に、マナー違反にならないための注意事項を紹介していきます。
火葬場へ向かう道と帰り道を変えるのは、土葬をしていた頃からの習慣によるものです。故人様の霊が家まで帰って来られなくするために行うという意味があります。この風習には故人様の安らかな成仏を願う清らかな想いが込められているとされています。
霊柩車は、斎場から火葬場まで片道のみの使用となるのが一般的です。再び斎場まで戻る、または自宅へ向かう場合、いずれも霊柩車を使用することはできません。帰路の際、追加で車の手配が必要かどうか確認をしておきましょう。
ご葬儀ではマナーが重要視されます。それは、故人様とゆかりのある参列者が別れを悼み、故人様の安らかな眠りを祈るための大切なセレモニーだからです。事前に基本のマナーを押さえておき、大切な故人様のご冥福をお祈りしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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