2020-10-23
故人様の魂が宿っているとされる位牌ですが、お仏壇を持っていない、継承者がいないなどの様々な事情から位牌の処分を考えなければいけないケースも増えています。普段から手を合わせてきた大切な位牌ですので、どのように供養して処分すればよいのか悩まれる方も多いかと思います。
そこで今回は、様々な事情から位牌を処分しなければいけなくなった場合の正しい位牌の処分方法やその際の注意点についてご紹介します。
位牌は故人様の魂が宿る依り代として大切に扱われ、基本的には位牌の処分はしないものです。しかし、以下のような場合には位牌の処分が必要となりますので注意しましょう。
「弔い上げ」とは、決められた年数で故人様を弔う年忌法要のうち、これ以降は年忌法要を執り行わないと決めた最後の法要のことを言います。弔い上げをどの法要とするかは様々なですが、三十三回忌や五十回忌とすることが一般的とされています。
弔い上げ後は、故人様の位牌を処分してご先祖様の位牌と一緒に祀られるため(合祀)、弔い上げ以降はそちらの位牌に手を合わせることになります。
位牌が古くなった、痛んだ、位牌を夫婦連名にするなどの理由から位牌を作り替えることもあります。その場合、古い位牌を処分する必要があります。なお、四十九日法要を終えたら白木位牌を本位牌に替えますが、その際、白木位牌は処分することになります。
引っ越し先にお仏壇を祀るスペースがなかったり、引っ越しを機にお仏壇や仏具を処分するという方も少なくありません。そのような場合、お仏壇に置いてある位牌だけを引っ越し先に持っていくこともありますが、お仏壇などと一緒に処分することもあります。
位牌の処分を検討する前に確認しておきたいのが、位牌を購入された際に「魂入れ」が執り行われたかどうかです。
魂入れは、宗派によって呼び方が様々ですが、「開眼供養」や「入佛法要」などとも呼ばれますが、内容に変わりはなく、位牌・お墓・仏像などを新しく購入した際に司式者を招いて読経を上げていただくことを指します。魂入れを執り行うことで、単なる「モノ」が「参拝対象」となるのです。
地域や宗派によっては魂入れを執り行わないこともありますが、魂入れを執り行っている場合は、必ず「魂抜き」を執り行わなければいけません。
魂抜きは、魂入れの逆で「閉眼供養」や「遷仏法要」などとも呼ばれ、司式者を招いて故人様やご先祖様の魂を抜くことで、「参拝対象」を単なる「モノ」になるだけでなく、魂抜きを執り行うことで故人様やご先祖様の霊を天に還せるとされています。
魂抜きを執り行わないと、位牌の中に故人様やご先祖様の魂が入ったまま処分してしまうことになりますので、位牌の処分を検討されている場合は、必ず事前に魂入れを執り行っていたのかを確認しましょう。
位牌を処分する際の方法としては、形を残さない「お焚き上げ」と形を残す「永代供養」の2種類あります。以下でそれぞれの
位牌を処分する方法の1つが、浄火によって天に還す供養である「お焚き上げ」になります。先に取り上げた魂抜きを執り行って故人様とご先祖様の魂を抜いたことで単なるモノになった位牌はお焚き上げで焼却できるようになります。位牌は、故人様やご先祖様の魂が入っていた依り代ですので。しっかりとお焚き上げを執り行うことで処分しましょう。
位牌を処分する方法のもう1つが、「永代供養」になります。永代供養は、寺院や霊園に位牌を預けることでご家族に代わって供養をしていただきます。ご自宅でお仏壇や位牌の維持・管理が難しい方や承継者がおらず困っている方に選ばれています。
永代供養という名称から期限なく預かっていただけるとお思いの方も多いと思いますが、寺院や霊園によって異なりますが期間が決まっていますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
浄土真宗では、「位牌に故人様やご先祖様の魂が宿る」という考えはないため、本来であれば位牌は必要ありませんが、「手を合わせる対象がほしい」というご家族の想いから位牌を作られる方もいらっしゃいます。
そうした方が位牌の処分を検討することになった際は、浄土真宗以外のお寺で閉眼供養の依頼をしていただくか、仏壇・仏具の専門店や供養業者に依頼することになります。ただし、浄土真宗のお寺であってもお寺によっては位牌の供養を引き受けていただけることもありますので、まずは菩提寺に相談してみましょう。
位牌を処分するにあたって特に気を付けていただきたいのは、ご家族やご親族に事前に相談をして理解を得るということです。それらを怠ってしまうと、トラブルや苦情の元となってしまい、故人様やご先祖様を悲しませる結果になってしまいます。そのため、しっかりと説明をした上で、進めていくようにしましょう。
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