2022-03-18
お仏壇の引き出しに保管されている「過去帳(かこちょう)」は、ほとんど使うことがないため、いざ記入するとなった際、「どのように書いたらいいのか分からない」という方が多いです。
本記事では「過去帳」の役割を解説するとともに、過去帳の書き方や保管場所について解説していきます。
過去帳とは、故人様の俗名(生前のお名前)・戒名(法名)・没年月日・お亡くなりになったときの年齢が記録された帳簿のことです。過去帳には、自宅で保管しているものと、菩提寺で保管しているものの2つがあります。
位牌がない浄土真宗では、過去帳を位牌の代わりにお仏壇に飾ります。浄土真宗には「即身成仏」という考え方があり、故人様の魂はすぐに仏様になるため、位牌は必要とされていません。
浄土真宗以外の宗派でも、過去帳を位牌の代わりに用いる場合があります。過去帳を位牌の代用できる事例については、「過去帳と位牌の違い」の項目で詳しく解説します。
過去帳には故人様が亡くなられた記録の他にも、さまざまな役割があります。最も重要な役割は、追悼供養での覚書としての役割ですが、家系図としての役割や戸籍としての役割を担っていた時代もありました。以下の項目では、これらの役割について詳しく解説していきます。
過去帳は主に命日や法要の際に用いられます。没年月日や戒名が記載されているため、供養するときの覚書として活用することができるからです。
使い方は、月命日や法要の際の見台に過去帳を乗せ、供養する方のページを開いて手を合わせるというものです。
過去帳には先祖代々の記録も残されているため、家系図の代わりとしての役割もあります。家系図本来の意味である「家督継承の系統」までは補いきれませんが、ご自分の先祖を探るという点では、過去帳も家系図と同じ役割を果たしています。
過去帳には、戸籍としての役割を担っていた時代があります。
江戸時代には、当時流行していたキリスト教を弾圧するため、「必ず仏教を信仰しなさい」という決まりがありました。この決まりが「檀家制度」といわれるものです。「檀家制度」によって、人々は必ずどこかの寺院の檀家になる必要がありました。
このときに、寺院側が檀家を管理するために使用したものが、「過去帳」です。 過去帳には、「ご家族が何人いて、いつ亡くなったのか」という内容が記載されていたため、戸籍のような役割も担っていました。
過去帳は位牌の代わりに用いる場合があると解説しましたが、本来は位牌の代わりに使用されることはありません。それでは、どのようなときに過去帳が位牌の代わりを果たせるのか、詳しく解説していきましょう。
過去帳と位牌に書き込まれている内容はどちらも、故人様の「戒名(法名)」「俗名」「お亡くなりになった年齢」と同じですが、その存在理由は異なります。なぜなら、位牌は故人様の魂が宿るものとされていますが、過去帳は“記録”としての意味合いが大きいからです。
過去帳は位牌の代わりというよりも、「位牌をまとめる」役割を果たしています。位牌はご家族様が亡くなられたときに用意されますが、仏壇で保管できる位牌の数には限界があるため、増えていく位牌をすべて管理し続けるのは難しいです。
そのため、三十三回忌や五十回忌などの節目に位牌を処分し、処分した位牌に書かれている内容を過去帳に書き写すことによって、過去帳に「位牌のまとめる」役割が生まれます。ただし、処分する位牌の内容がすでに過去帳に記載されている場合は、あえて書き写す必要はありません。
法事や月命日の際に用いる過去帳の保管場所は、基本的にはお仏壇の引き出しで問題ありません。ただし、浄土真宗では、過去帳を位牌の代わりに飾る風習があります。そのときは御本尊が隠れないように飾るようにしましょう。
過去帳に記入するときに、「どのように書けばいいのか」悩む方は多いです。この項目では、過去帳の書き方や、どのような方に書いてもらうべきなのかを、解説していきます。
過去帳には、特定の人が書かなければいけない、という決まりはありません。ご家族や親族など、誰が書いても良いとされています。
しかし、過去帳には戒名も記入しなければなりません。戒名は難解な漢字や梵字が用いられることもあるため、「書くのが不安」と思う方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、菩提寺の僧侶に過去帳への記入を依頼することも可能です。実際に、多くの方が僧侶に過去帳への記入を依頼しています。
菩提寺の僧侶に記入をお願いする場合は、四十九日法要や戒名(法名)をつけてもらうタイミングで書いてもらうことが多いです。
お布施の中に、代理記入分の料金を一緒に包むのが一般的です。法要以外のタイミングで記入してもらう場合は、5,000〜10,000円が相場となります。
過去帳への記入を自分で行う際は、なるべく筆と墨を用いて書くようにしましょう。なぜなら、すずりですった墨の文字は退色しにくく、長く残るからです。
しかし、必ずという決まりではないので、墨と筆を用意するのが難しい場合は、ボールペンや鉛筆で記入しても問題ありません。過去帳には記入についての厳格なルールはないので、自分で記入するときはそれまでの記入方法に習って書くと良いでしょう。
過去帳は、故人様を供養する上で必要な情報が記入された大切な仏具です。先祖代々受け継ぐものであり、ご自分のルーツを知ることができるものでもあります。故人様の供養のためにも、過去帳は大切に保管し、節目節目で活用しましょう。
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