2024-03-01
社会人になると、慶弔(けいちょう)に接する機会が訪れます。慶弔とは、喜ぶべき祝い事を示す慶事と、お悔やみを表す弔事の両方を指す言葉です。
ここでは、慶弔についての意味や対応方法、さらに慶弔に伴う休暇の日数や見舞金の申請方法などについて、職場で役立つ情報を詳しく解説していきます。
慶弔の「慶」はめでたい祝い事、そして「弔」は読んで字のごとく弔いを意味します。すなわち慶弔とは、結婚などの喜ばしいことと、ご葬儀などの弔いごとの両方を合わせた言葉です。慶弔は日常とは違う状況が起こることなので、知らせを受けた際は当事者への配慮を忘れないようにしなければなりません。
慶弔は、祝って喜ぶ慶事と、悲しんで供養する弔事の両方を示しています。つまり、冠婚葬祭を意味しているのです。日本の冠婚葬祭では、祝儀や香典で気持ちを示す慣習が広く認知されています。また、会社でも休暇や補助など、慶弔に対するさまざまな措置が用意されていることが一般的です。
慶弔には結婚やご葬儀、怪我などさまざまな意味が込められています。また、慶弔の支給については法律上の決まりが定まっていないため、各企業の規定により異なります。ここでは、一般的な慶弔の種類を挙げていきますので、ご参考になさってください。
ビジネスでの慶弔とは就任・昇進祝い、開店・開業祝い、叙勲・褒章祝い、上場祝いなどさまざまな種類が挙げられます。なお、慶弔の手続きは従業員に対する分(社内)と、取引先に対する分(社外)ともに、就業規則(慶弔見舞金規定)に沿って行われるのが一般的です。
従業員への対応としては、見舞金の種類、支給対象となる理由などの確認をするため当事者へ連絡を行い、支給するための情報を得てから手配が行われます。一方、取引先の企業などへの対応については、取引先の重要度や慶弔内容によって、支給額を設定し電報や花が送られます。
プライベートでの慶事は主に、結婚や出産などがそれにあたり、弔事はお通夜やご葬儀など、亡くなった故人様を弔うためのお悔やみ事や法事(年忌法要)を指します。なお、従業員に対しての見舞金は、企業毎に定められた就業規定(慶弔見舞金規定)によって支給されることになります。
会社が経営を維持するために行う業務の一つが、慶弔業務です。当事者に対する気遣いは、人同士を結び付けるものであり、ビジネスを円滑に進めるためにも大切な慣習と考えられているのです。
社内の従業員への慶事対応としては、従業員側と企業側で以下の項目を共有し、手続きや対応が行われます。
・従業員の氏名
・いつ行われるか
・お祝いの内容
・祝いを行う場所
・対応方法
弔事での対応は、従業員側と企業側で以下の項目を共有します。慶事と同じく、企業側で手続きが行われます。
・従業員の氏名
・いつ行われるか
・弔事の内容
・会場の場所
・宗派などの詳細事項確認
慶弔休暇は、有給休暇や産前産後休暇、育児休暇などの法定休暇とは違う特別休暇です。特別休暇は、法律で定められていません。そのため、企業によってその概念はさまざまなため、詳しくは就業規則で定められています。
主な慶弔休暇の種類は、結婚休暇や出産休暇、ご家族やご親族が亡くなった際の忌引き休暇などです。また、忌引きの休暇日数は、従業員と故人様との関係性により変わります。
なお、年忌法要については慶弔休暇が認められないことがほとんどです。年忌法要で休暇を取得したい場合は、上司の方と相談の上、有給休暇を申請すると良いでしょう。
一般的な慶弔休暇の目安は、以下になります。企業により休暇の日数は異なりますので、就業規則を必ず確認しましょう。また、慶弔休暇の制度がない場合は、年忌法要と同様に上司へ相談し、有給休暇を使うという手があります。
・従業員の結婚 3~5日
・従業員の子どもの結婚 1~2日
・従業員の配偶者が出産 1~3日
・0親等の親族(配偶者)が死亡 10日
・1親等の親族(実の両親、配偶者の両親、子ども)が死亡 5~7日
・2親等の親族(実の祖父母、兄弟姉妹)が死亡 1~3日
慶弔休暇は、法定休暇ではありません。したがって、有給になるのか無給になるのかは企業の規則により異なります。なお、無給の場合でも、慶弔休暇の取得記録が残っていれば、慶弔見舞金が支給されることがあります。慶弔休暇については事前に就業規則を確認しておくと良いでしょう。
慶弔休暇の申請方法は企業によってさまざまですが、申請用の書類に「申請者名」「申請理由」「希望日」「連絡先」「会場」などを記載して、総務課へ提出するのが一般的です。また、慶弔休暇の理由がご葬儀だった場合、証明として会葬礼状が必要になることがほとんどです。
慶弔休暇とは、申請理由の中に慶事や弔事が含まれる休暇のことです。一方、忌引きとは、ご親族のご葬儀に参列するための休暇になります。つまり、忌引きは慶弔休暇の一部なのです。
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続きを読む慶弔見舞金とは、企業が社員や社員のご家族に対して支給する祝い金、または見舞金のことで、企業によっては慶弔金や慶弔費とも呼ばれています。
慶弔見舞金の支給について、法的な義務はありません。したがって、事前に就業規則で「慶弔見舞金の有無」「申請方法」「申請に必要な条件」をしっかりと確認し、把握しておくことが大切です。
以下は、慶弔見舞金の種類と相場の一覧です。なお、相場はあくまで目安となります。
・結婚祝い金(10,000~30,000円)
・出産祝い金(10,000~30,000円)
・従業員本人の弔慰金(50,000~100,000円)
・災害見舞金(20,000~100,000円)
・傷病見舞金(10,000~30,000円)
従業員に対する慶弔見舞金は、給与とは違うため所得税の課税対象とはなりません。ただし、金額があまりに高額な場合は、給与と同じ扱いとなり課税対象になることもあるようです。なお、取引先(社外)への慶弔見舞金については交際費とみなされるため、課税対象となります。
慶弔見舞金は、慶事の祝い金と弔事の香典、そして災害時、傷病時などに支給される見舞金のことですが、香典はご霊前へ供えるための金銭です。弔慰金は、弔意を示すために支給される金銭になります。
ここからは、社会人として押さえておきたい慶弔に関するマナーをお伝えしていきます。
まず慶事ですが、あらかじめ日程が分かっていることがほとんどです。したがって、慶事で休暇を取るにあたっては、会社へ迷惑を掛けないように事前の連絡や申請、仕事の引継ぎを済ませておくことが大前提となります。
一方、弔事は急に起こるものです。もしもご家族やご親族に不幸があった場合、電話か口頭で直属の上司へ速やかに伝えます。内容は故人様との関係や休む日程、休んでいる間の連絡先などです。その後は上司の指示に従いましょう。
なお、休暇の申請方法は企業によって違うため、総務などに確認します。弔事の場合は、後からの申請でも問題ない場合が多いです。
慶事は、初めに招待状を受け取ることが一般的です。出欠の返信は、できるだけ早く行いましょう。返信用のはがきには、お祝いのメッセージを一言添えると丁寧です。
当日は、基本会場のドレスコードに従います。一般的な服装は、男性なら黒いスーツにシルバーなどの華やかなネクタイ、女性なら着物かドレスを着用します。ただし、白色の服は花嫁衣装の色と被るため着用を避けましょう。
披露宴に出席する場合、ご祝儀を用意していきます。相場は友人や同僚なら30,000円、部下の場合は30,000~50,000円、ご親族でしたら50,000~100,000円です。金額はなるべく偶数にならないよう留意して包みます。
まず訃報を伺った際は、お悔やみの言葉を簡潔に伝えます。メールの場合は文章の最後に、返信不要であることを付け加えると良いでしょう。
当日の服装は、男女とも黒の喪服を着用します。生物の殺生を意識させる毛皮やボア素材、また華やかさを感じさせるサテン素材やエナメルの靴も避けましょう。なお、数珠は仏式のみに使用します。キリスト教や神道のご葬儀には持ち込まないようにしましょう。
香典ですが、大概は受付でお渡しすることになるでしょう。故人様が上司の場合は5,000~10,000円、上司のご家族、同僚、部下、友人でしたら5,000円、ご親族の場合は10,000~50,000円程度が相場です。ただし、地域によって額は変わります。
残念ながら結婚式を欠席しなければならない場合は、返信のはがきに理由を記入し、到着から一週間程度の間を空けて発送します。ご祝儀は後日にお渡しすると良いでしょう。
また、ご葬儀に出席できなかった場合は、お通夜やご葬儀前に到着するよう弔電を打つか、後日ご親族へ電話や手紙を使い、お悔やみの言葉を伝えるよう留意します。香典は現金書留で送るようにしましょう。
万が一、慶事と弔事の日程が重なった場合、日本では弔事を優先させるのがマナーです。なぜならば、故人様とは最後のお別れとなりますが、慶事の祝いは遅れたタイミングでも伝えることが可能なためです。
ただし、故人様が縁の薄い方で、なおかつ結婚式が血縁の近い方の場合は慶事を優先しても良い場合があります。
結婚、出産などの喜びを示した慶事と、ご葬儀などの弔い事を差した弔事をまとめて示した言葉が慶弔です。慶弔は人生にとっての節目であり、重要な出来事であると社会では認識されています。そのため、多くの企業では、慶弔に伴う休暇や給付金などの制度を定めています。
企業によって付与される日数や金額は異なるので、あらかじめ就業規則を確認しておけば、後々スムーズに立ち回れるでしょう。
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