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2023-08-04

回向(えこう)とは?回向料や回向文についても分かりやすく解説

回向とは、読経や寺院への貢献で功徳を積んだ方が、世の中にいる多くの方々へご利益を分け与える良い行いのことです。仏教では、「回向=ご供養につながる行為」という教えがあります。しかし、宗派によって回向の表現方法や考え方には違いが見られます。

そこで本記事では、回向についての詳しい説明や、回向料・回向文について分かりやすく解説していきますので、仏事の知識のひとつとしてお役立てください。

回向とは

仏教での「善行」は、未来の人生へさまざまな良い影響をもたらす行いのことです。主に、仏像や寺院を建てたり故人様を供養するために経を唱えたりすることを指します。善行を日々積み重ねた方は「功徳」を身につけ、ご褒美としてご利益がもたらされるといわれています。

こうして功徳が備わった方々は、さらなる善行を巡らせ続けることが多いです。その後、人々の幸せや故人様の成仏を願うことで与えられたご利益は、さまざまな形で分け与えられることになり、このような行為は回向(えこう)と呼ばれています。

供養との違い

「最終的に故人様のご冥福へたどり着くなら、供養と同じことなのではないの?」と思うかもしれません。しかし、回向と供養にはそれぞれ違いがあります。

「供養」とは、亡くなった方が旅立ちの先で幸せに過ごすことができるよう祈り、仏事で僧侶にお経をあげていただいたり、お線香を立てたりする善行のことです。この行動は仏教の教えである「功徳」につながります。

一方の「回向」は、故人様や仏様に対してお供え物をする行為を指します。この行動は、供養によって得た「功徳」を、お供え物によって先祖の御霊へ振り分けていることになるのです。

供養は功徳につながる行為、回向は功徳を他へ分け与える行為ですので、似て非なるものといえます。

回向を用いた例文

実際に、「回向」はどのような場面で用いられるのでしょうか。いくつか例文を挙げますので、ご参照ください。

・僧侶へのお布施を、回向料としてお渡しした。

・日中法要、通夜法要で、随時ご回向いたします。

・心を込めて読経した者は、回向によって極楽浄土への道が開ける。

・仏壇の位牌に向かい、毎日の回向を欠かさないようにしている。

・先祖の御霊は、僧侶の回向に感謝していると思う。

回向料とは

回向料(えこうりょう)とは、法要やご葬儀で僧侶にお渡しする謝礼です。仏事に招かれた僧侶は読経をあげ、そのお礼として回向料を受け取ります。しかし、仏事の謝礼として世間に浸透しているのは「お布施」であり、すぐに理解できない方も少なくありません。

回向料とお布施の違いは

お布施は、仏事で読経や戒名を授けていただいた僧侶に対して渡す金銭のことです。一方の回向料は、僧侶が読経で積んだ功徳を故人様へ分け与えてくれたことに対する、お礼の金銭を意味します。

このように、言葉の根底にある意味にはそれぞれ明確な違いがあります。しかし、謝礼の表書きには「回向料」「お布施」のどちらでも良いとされているのでご安心ください。

回向文(えこうもん)とは

回向文とは、仏教に携わる方々が日々のお勤めや法事の終わりに読み上げる文章です。僧侶にお経をあげてもらう法要では、読経の締めくくりに回向文を読み上げ、経で得た徳を故人様へ分け与えます。

回向文の内容や意味は、宗派によって少々変わります。それでは、回向文の例を宗派ごとに挙げていきましょう。

天台宗・真言宗

天台宗・真言宗は、次のような回向文が読まれます。

「願わくは此の功徳を以って、普(あまね)く一切に及ぼし、我等と衆生(しゅじょう)と、皆共(みなとも)に仏道を成(じょう)ぜん」

「世の中に住まうすべての者が皆で悟りを開けますように」という意味です。また僧侶は、漢文で以下のように読み上げます。

「願以此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成仏道」
(がんにしくどく ふぎゅうおいっさい がとうよしゅじょう かいぐじょうぶつどう)

浄土宗・浄土真宗

浄土宗・浄土真宗では、次のような回向文が読まれます。

「世尊、我一心に尽十方(じんじっぽう)無碍光如来(むげこうにょらい)に帰命(きみょう)して安楽国に生まれんと願ず」

世尊とはお釈迦様、尽十方無碍光如来とは阿弥陀仏です。阿弥陀如来にすがり、極楽浄土へ生まれたいという希望が込められています。

また、漢文では以下のように記されます。

「世尊我一心 歸命盡十方 無碍光如來 願生安樂國」
(せそんがいっしん きみょうじんじっぽう むげこうにょらい がんしょうあんらくこく)

曹洞宗・臨済宗

曹洞宗、臨済宗は、次のような回向文が読まれます。

「願わくは此の功徳を以って、普(あまね)く一切に及ぼし、我等と衆生(しゅじょう)と、皆共(みなとも)に仏道を成(じょう)ぜん」

読経や功徳を、如来・菩薩・諸天・諸精霊・善神・鬼神・亡者・衆生のすべてに手向け、「すべての生命と皆が共に仏の道を成就しますように」という願いが込められています。

漢文では略三宝(りゃくさんぽう)として、以下のように記されます。

「十方三世一切仏 諸尊菩薩摩訶薩 摩訶般若波羅蜜」
(じほさんしいしふ しそんぶさもこさ もこほじゃほろみ)

略三宝は、仏教における3つの宝(仏、法、僧)に対する感謝を表しています。

日蓮宗

日蓮宗では、万人に功徳を分け与える回向との考えに重きを置き、法要も「回向」と表現しています。読まれる回向文は非常に長いもので、文中には法要を行っている家名や故人様の戒名が含まれていることも珍しくありません。

日蓮宗の回向文は、「大切な方が亡くなった後でも、皆が心安らかに過ごしてほしい」という慈悲の心を込めて読み上げられます。

まとめ

回向という言葉には、仏事による善行で得た功徳を故人様へ捧げるとの意味が込められています。また、仏事に使用される回向文には、それぞれの宗派によって少々内容が異なっています。しかし、功徳を他へ分け与える考えは、どの宗派も共通していることに違いありません。

本記事をきっかけに回向への理解を深めていただき、故人様へのより良きご供養のために活用してみてください。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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