2023-03-17
日本では、ご葬儀の後にご遺体を火葬する儀式を行います。火葬場は、故人様の姿を見られる最後の場所であり、「できれば見届けたい」と思うのが心情ですが、参列者全員が同行できる場所ではありません。今回は、火葬場へ同行できる関係者の範囲や、同行したい場合の方法について解説していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
火葬場に入れる方に明確な定義はなく、一般的にはご遺族や親族、または特に親しくしていた方が同行します。同行できる範囲は、地域の慣習によるところもあります。
また、火葬場は葬儀場ほど広い造りになっていないケースが多く、入れる人数に限りがある場合がほとんどです。火葬に同行する人数が限られているのには、このような理由も関係しているようです。
故人様が、教え子や恩師など思い入れの強い方であった場合、火葬場まで同行したいと思うのが心情です。そのような場合は、当日に喪主へ伝えるのではなく、事前に火葬へ同行したい旨を伝える必要があります。また、断られた際は潔く引くのが礼儀です。
また、近年は「家族でゆっくりとお見送りしたい」といった理由から、家族葬などの小規模葬を希望する方も増えました。あえて家族葬などを選んでいる場合は、喪主やご遺族の意思を尊重して火葬場への同行は控えましょう。
反対に「どうしても火葬場まで同行してほしい」とお願いされた場合は、同行するのがマナーです。しかし、無理をして同行する必要はありませんので、自分の気持ちに素直になって判断しましょう。
火葬場へ行ってはいけないのは、主に以下のような方です。
・妊婦
・お子様が亡くなった親
・故人様の親戚以外の方
必ず守るルールというわけではありませんが、昔からの風習で行ってはいけないとしている地域があります。現代では、昔ほど厳しく風習を守っている地域は少なくなっていますが、注意が必要です。
同行するかどうかは、親族やご家族と話し合って決めるのが良いでしょう。次の項目では、なぜ上記のような方が火葬場に行ってはいけないのかについて解説していきます。
昔から、妊婦はご葬儀や火葬場、お墓に行ってはいけないとされていました。理由としては、「妊婦が火葬場に行くと、生まれてくる赤ん坊にあざができるから」というのが有名です。しかし、これは迷信であり、本当の理由は別にあります。
昔の火葬場は、基本的な設備が整っておらず、身体を大切にしなければならない妊婦にとってはあまり良い環境とはいえませんでした。また、荼毘に伏せられるご遺体が見えていた火葬場もあったようで、これから新しい命を生み出す母親に見せるものではないとされたのが本来の理由です。
近年は火葬場の設備も整っており、待合室も用意されています。そのため、火葬場に行くかどうかは、ご遺族や親族同士で話し合って決めると良いでしょう。
故人様がお子さんだった場合、親は火葬場に行くべきではないとされています。「親より先に亡くなる親不孝者の火葬に参列する必要はない」といった迷信もありますが、実際の理由は、先述した妊婦と同じです。
昔の火葬場では、火葬の途中にご遺体が見えてしまうことも少なくありませんでした。そのため、大切な子どもが荼毘に伏せられる姿を見せないための優しさからきている迷信ともいえます。
現代では、たとえ親御さんであっても火葬場へ行って問題はありません。荼毘に伏せられ、煙として登っていく故人様のご冥福を心からお祈りするのが何よりの供養となるでしょう。
親族以外の範囲に関しては、地域の慣習によって異なります。厳密な決まりはないため、喪主やご遺族の意思を尊重して、火葬場に行くかどうか決めると良いでしょう。
火葬場は、ほとんどの場合、見知った親戚のみが向かう場所です。「昔から知っている方々だから…」とマナーに欠けた態度を取ることがないよう、最後まで厳かにお見送りできるよう心がけましょう。最後に、火葬の主な流れについて解説していきます。
ご遺体が出棺されたら、同行する方々は別の移動車にて火葬場へ移動します。このとき、ご遺体と一緒に移動する霊柩バスを使用するケースもあり、移動方法は地域によってさまざまです。また、移動の際は、故人様の遺影を一緒に持っていくようにしましょう。
火葬場についたら「納めの儀式」を執り行います。納めの儀式とは、故人様とお別れをする最後の儀式であり、火葬炉の前に白木位牌や遺影を飾り、同行した方々で手を合わせます。僧侶が同行してくれた場合は読経がなされ、焼香をあげるのが一般的です。
ただし、近年は火葬場に僧侶が同行しないケースも増えてきました。その際は、葬儀場で読経してもらうケースがほとんどです。
火葬が終わったら、2人1組になってお骨上げ(収骨)を行います。2人で箸を使い、遺骨の両側から骨を拾って骨壷へ収めます。2人1組で行うのは、箸(橋)をかけ、「あの世への橋渡しとなるように」といった想いからきているのが理由です。なお、遺骨をすべて拾うか、数本のみ拾うかは、地域によって異なります。
火葬場には、ご遺族・親族などの血縁者のみが同行します。しかし「どうしても故人様と最後のお別れをしたい」と思っているのであれば、早い段階で喪主に相談してみましょう。当日になって伝えるのは、車両の手配などの関係から迷惑をかけてしまう可能性がありますので、同行の希望がある場合は余裕を持って伝えることが大切です。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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