2021-08-20
ご葬儀や法事・法要で開かれる会食(お斎・おとき)の冒頭の挨拶で行われるのが「献杯」になります。献杯の発声は、事前に打診されることもりますが、当日急に頼まれるということもあります。また、似た言葉に「乾杯」がありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、正しい献杯のマナーや注意、乾杯との違いなどについてご紹介します。
献杯は「けんぱい」と読み、相手に尊敬の気持ちを込めて、杯やグラスを差し出すことを指します。日本では儀式の際に、神様にお酒をお供えする風習があります。この風習を大切にして、尊敬している相手にお酒を差し出したのが始まりとされています。
ご葬儀や法事・法要の際で献杯が行われるタイミングとしては、ご葬儀後の忌中払いや精進落とし、法要後の会食(お斎)において、食事をいただく前に会食を始める前に行われるのが一般的です。
なお、献杯は宗教宗派の教えで定められているということではなく、慣習として行われます。そのため、ご葬儀や法事・法要における食事の場で献杯が必ず行われるというわけではありません。
献杯とよく似た言葉に「乾杯」があります。杯やグラスを差し出す行為と言えばこちらを思い浮かべる方も多いと思います。それでは献杯と乾杯の2つは一体何が違うのでしょうか。2つの主な違いについて以下でまとめましたので、見ていきましょう。
献杯 | 乾杯 | |
---|---|---|
行われる場所 | 弔事 | 慶事 |
目的 | ご先祖様や故人様を偲ぶためや感謝するため、追悼するためなど | お祝いのため、場を盛り上げるため、主催者や参加者の幸運・健康などを祈るためなど |
発生時の声の大きさ | 控えめで落ち着いた声で | 元気よく大きめの声で |
杯やグラスを合わせるか否か | 他の方々と杯やグラスを合わせない | 他の方々と杯やグラスを合わせる |
杯やグラスを掲げる高さ | 杯やグラスは胸の高さに留めるようにする | 杯やグラスは胸や顔よりも高く掲げるようにする |
献杯の挨拶を誰が行わなければいけないという具体的な決まりはありません。しかし、一般的には、本家筋の方や故人様の兄弟姉妹などご親族の中でも年長者の方がご遺族・ご親族を代表して献杯の挨拶を行っています。
また、故人様と縁がある方がお願いされるということもありますし、地域によっては菩提寺の住職が行うというところもあります。地域によって慣習が異なることもありますので、どなたにお願いするかを決める前に、菩提寺や担当の葬儀社に献杯の挨拶に関して確認しておくとよいでしょう。
献杯の挨拶や発声で失礼や間違いがあると、慶事で行われる乾杯のように「まぁ、お祝いの席だから」と笑って済まされるとことはありません。「乾杯と同じようなもの」という誤った認識をしないためにも、以下では献杯に関するマナーや注意点についてまとめましたので、ぜひご参照ください。
献杯の際に行う挨拶は、できる限り短くするようにしましょう。故人様を想うからこそ、つい挨拶が長くなってしまうと思います。しかし、その気持ちはグッと抑えて1分程度でまとめるようにしましょう。
献杯の挨拶を行う際のマナーとして、縁起が悪いとされている「忌み言葉」の使用は避けるようにしましょう。忌み言葉とは、「死に対する直接的な言葉」や「重ね言葉」のことを言い、不幸を繰り返す・不幸が重なるといったことを連想させてしまうために使わないようにしましょう。
【重ねことば】
重ね重ね(かさねがさね)/益々(ますます)/度々(たびたび)/重々(じゅうじゅう)/次々(つぎつぎ)/再三(さいさん)/いよいよ/くれぐれも/かえすがえす など
【繰り返しが連想されることば】
続く/引き続き/再び/再々/次に/なお/また/追って/追いかける など
【直接的な表現】
死亡/逝去/死ぬ/生きる/存命中/自殺 など
【不吉な表現】
浮かばれない/大変なことになる/消える など
宗教宗派によっては避けるべき言葉があります。例えば、死後の幸福を祈るという意味である「冥福を祈る」という言葉ですが、キリスト教の一部では、死後に天国に行けるため、冥福を祈る必要はありません。他にも浄土真宗では、阿弥陀如来によって極楽浄土に導かれるとされているため、その教えに対する迷いや信心不足を表す言葉とし、不適切と言われています。
・参列者の前に歩み出た際に、故人様(遺影やご位牌)に一礼をする。
・挨拶や発声の際は故人様(遺影やご位牌)に背を向けないようにする。
・献杯の発生は控えめで落ち着いた声で行う。
・過度な笑顔は避ける(微笑は可)。
・杯やグラスは右手に持つのが無難。
・杯やグラスは胸の高さに留めるようにする。
・「献杯の音頭」ではなく、「献杯の発声」という言い方にする。
・杯やグラスは右手に持つのが無難。
・献杯の唱和は控えめで落ち着いた声で行う。
・杯やグラスは胸の高さに留めるようにする。
・献杯の発声の後に拍手は行わない。
・お酒を無理に飲むことは避ける。
・「献杯の音頭」ではなく、「献杯の発声」という言い方にする。
・献杯が終わるまで食事に手を付けないようにする。
献杯の挨拶の内容は、故人様と献杯の挨拶を行う方との関係によって変わってきますが、大まかなないように変わりはありません。以下では、そんな献杯の挨拶でお話する大まかな内容についてまとめましたので、ご参照ください。
・自己紹介
・故人様を偲ぶ生前のエピソード
・献杯の唱和のお願い
・献杯
・参列者へのお礼
以下では故人様との関係ごとにいくつか献杯の挨拶文例を紹介いたします。
【喪主の献杯挨拶】
喪主を務めました○○と申します。昨日そして本日と皆様方のご会葬をいただきまして、深く感謝申し上げます。
突然の逝去でありましたもので、まだ心もとない気持ちも残っているのが本音でございますが、残された母を支えながら、私達一同頑張っていく所存でございます。
改めまして、これからも皆様方のご支援やご協力をいただければ有り難く存じます。それでは皆様、献杯の御唱和をお願いいたします。献杯。ありがとうございました。
【ご親族の献杯挨拶】
故人の兄であります△△と申します。通夜、葬儀・告別式と2日間にわたり、皆様方のご弔問・ご会葬ありがとうございました。
弟はとにかく賑やかなことが大好きな性格でした。弟もこのように皆様にお集まりいただき、きっと喜んでいることと思います。
ここに弟を偲んで皆様で献杯を行いたいと思います。それでは皆様、献杯の御発声をお願いいたします。献杯。ありがとうございました。
【喪主の献杯挨拶】
喪主の○○でございます。本日は母の一周忌法要にご参集いただき、誠にありがとうございました。
おかげ様で無事に一周忌を済ませることができました。懐かしい皆様に囲まれ、母も喜んでいるでしょう。
今日は皆様と共に故人を偲びたいと思います。それでは、故人の冥福を祈りまして、献杯。ありがとうございました。
【ご親族の献杯挨拶】
故人の弟の△△でございます。本日はご多用のところ、お集まりいただきましてありがとうございました。
おかげ様で、無事に四十九日の法要を終えることができました。忌明けを迎え、兄も安心していることと思います。
今日は懐かしい思い出話でもお伺いできればと思っております。それでは、献杯させていただきます。献杯。ありがとうございました。
冠婚葬祭の中でも、ご葬儀や法事・法要では守るべき作法やマナーが多くあります。しかし、ご葬儀や法事・法要はそう頻繁に執り行われるものではないため、作法やマナーが分からないという方も多いと思います。ご会葬・ご参列いただいている方々が故人様を偲び、故人様との思い出に浸れるためにも、献杯の作法やマナーをしっかり理解しておきましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。