2021-03-19
仏教では、人が亡くなられたら、生前の名前とは異なる名前を授けられ、読経や拝礼をされます。その授けられた名前は「戒名(かいみょう)」や「法名(ほうみょう)」と言い、皆様一度は耳にしたことがあると思います。しかし、「戒名」と「法名」が実際にどのような違いがあるのかをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、「戒名」と「法名」の違いや付け方、付ける際の相場などについてご紹介します。
「戒名」と「法名」それぞれについて以下でまとめましたので、見ていきましょう。
戒名はもともと、仏教において「仏様の戒めを受け、仏門の世界に出家した者だけに授けられる名前」でした。俗世間を生きてきた人が、仏の道つまり仏門に入った「証拠」であり、残る人生において仏教における戒律を守り通す「約束」として授けられます。
現在において、戒名を授けるということは、「人間は死後、仏の世界に旅立つ」という仏教独自の考えがもとになっています。どんなに悪人であっても死後は仏様の御許に導かれて成仏するという考えから、亡くなられた方に戒名を授ける習慣になったとされています。
なお、死後に戒名を授けるという風習は、他の仏教国ではあまり見られない、日本独自ともいえる風習です。
法名は、浄土真宗における戒名にあたる名前になります。注意したい点としては、戒名が故人様に与えられる名前であるのに対し、法名は生前に仏弟子として誓いを立てて生きる際に授かる名前であるという点です。
浄土真宗には戒律がないために仏教に帰依する証として戒律を受け入れる「受戒」が存在しません。そのため、浄土真宗では受戒の代わりとして、仏法を拠り所として生きていく証として法名が授けられるのです。
戒名は、社会的地位や信仰の篤さなどに応じて付けられる「院号(院殿号)」や徳の高い方や仏教の教えを得た方に付けられる「道号」、道号の下に付く「戒名」、性別・年齢などで変わる「位号」から構成されます。
戒名は本来、道号の下に付く漢字2文字で構成されていました。これは仏の世界では身分の上下はなく、全て平等であるということを示すものでした。しかし、時代を経るうちに、社会貢献度や信仰の篤さなどに応じて号が増えていき、現在のような長さになりました。
なお、戒名の付け方に関する詳細は以下の記事で取り上げていますので、是非ご参照ください。
戒名はどうやって付けるの?戒名の意味や構成など戒名に関する基礎知識
法名の構成は、「釋(釈:しゃく)+法名(2文字)」となります。法名の上に付いている「釋(釈)」とは、仏弟子であることを意味しています。他の宗派と比べると短く感じるかもしれませんが、浄土真宗の宗祖である親鸞でも「釋親鸞」となっています。
なお、本山に進納された方やお寺に貢献された方には「院号」が授けられることもあります。その場合の構成としては、釋の上に院号を付けて「院号(3文字)+釋(釈)+法名(2文字)」となります。
その他にも、宗派によっては、男性に「釋」を女性に「釋尼」と使い分けをすることもあります。かつてはこのように使い分けることが一般的だったのですが、近年の男女平等の観点から、女性でも「釋」を使用することが増えてきました。気になる方は事前に確認しておくことをおすすめします。
戒名と法名は宗派の呼び名としてだけでなく、意味もそれぞれで異なります。日本のご葬儀はそのほとんどが仏式ではあり、皆様基本的なことは分かっている方も多いと思いますが、今回ご紹介したように宗派によって細かな違いがあるものです。ご葬儀の知識やマナーなどでご不安な点、ご心配な点がございましたら、ぜひセレモニーにご相談ください。
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