2020-04-03
仏式のご葬儀において仏様を拝む際に手に掛けて使ったり、読経・念仏を唱えたりする際に使われる仏具である「数珠(じゅず)」。仏式のご葬儀に会葬する際に数珠を持つため、数珠は比較的私たちの生活に馴染みのある仏具でしょう。
では、この数珠をお通夜式やご葬儀・告別式で使う際に、正しい持ち方や取り出すタイミングなどはあるのでしょうか。ご不幸は急に訪れます。いざという時に慌てないために、今回は宗派に関係なく使用することができ、最も店頭などで見かける略式数珠の正しい使い方や持ち方などについてご紹介します。
数珠は「念珠(ねんじゅ)」「誦数(ずず)」などと呼ばれ、古くから日本だけでなく中国やチベット、モンゴルなどのアジアの各地で使われてきました。
数珠には「本式数珠」と「略式数珠」があり、本式数珠は108個の珠からなる正式な数珠で、各宗派によって正式であると認められた数珠を指します。本式数珠には、二連数珠や二輪(ふたわ)数珠など、形状や呼び方が異なっている数珠も含まれています。
一方の略式数珠は一重の数珠であり、宗派に関わらずどなたでも使用できることから、最も実用的かつ使いやすい数珠と言えます。宗派が分からない時も略式数珠を持参すればよいので、こうしたことから店頭で最も多く見かけることができるのがこの略式数珠になります。
正式な数珠は108珠といわれますが、略式数珠には持ち運びやすい半分の54珠、4分の1の27珠など様々なタイプがあり、片手数珠と呼ばれることもあります。
略式数珠は基本的に左手で持ちます。座って司式者の読経を聞いている時は数珠を左手に持ち、焼香の番がきて前に歩み出る際は房を下にして、左手で持つようにします。御霊前などで手を合わせる際は、左手に数珠の輪を通して合掌する方法、または、合わせた両手に数珠を掛けてその上から親指で軽く押さえる方法があります。どちらを選んでも問題はありません。
こうした作法を行う理由には諸説ありますが、その1つに、左手が仏様の清浄な世界を表し、右手が私たち現世の人間が住む不浄の世界を表している、というものがあります。数珠を左手にかけて両手を合わせることで、自身の煩悩やこの世の不浄を清めてくれるとするものです。
略式数珠をお通夜式やご葬儀・告別式において取り出すタイミングですが、自分の焼香のタイミングになって、慌てて取り出すのは正しい作法ではありません。ご葬儀の最中は数珠を出しておきましょう。
数珠を取り扱う際にもマナー違反となる扱い方があり、注意が必要です。以下に注意点をまとめましたので、ご参照ください。なお、ここで紹介する注意点に関しては、略式数珠だけでなく本式数珠にも当てはまりますので、ぜひ覚えておいてください。
お通夜式やご葬儀・告別式の際に席を立つ際に、椅子の上に数珠を置きっぱなしにするのはマナー違反となります。衣類のポケットやバッグにしまったり、ハンカチがあればその上に数珠を置いてから席を立ちましょう。
数珠を家族で共有したり、知人と貸し借りするなど、1つの数珠を複数人で扱ったりすることがあります。しかし、数珠は持ち主のお守りのような役割もあるため、他人と共有したり、貸し借りしたりするものではありません。数珠はご葬儀や法要の時に必ず必要というものではありませんので、数珠を持っていなかったり、数珠を忘れた場合は数珠なしで参列しましょう。
なお、地域や習慣、その家のしきたり、ご葬儀の規模などによっては数珠の作法に違いが生じることもあります。ご心配な時は菩提寺に一度確認するなどすれば安心です。
本来は、お経を読む回数を数える道具である数珠。『数を念ずる』『数を記す』ためのものとして『数珠』と呼ばれるようになったと言われています。そんな数珠は、現在の仏式のご葬儀や法要には欠かせないものになっています。数珠の正しい使い方を守ることは、故人様への哀悼や敬意など真摯な想いを行動として表すことでもあります。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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