2021-03-12
近年の都市部への人口流入・少子化の影響といったお墓を取り巻く事情の変化や「お墓を建てても後継ぎがいない」「お墓を建てるお金がない」などの理由から、先祖代々のお墓を持たない方も増えてきています。しかし、お墓を持たない・持っていない場合、埋葬や供養などはどのようにすればよいのでしょうか。
そこで今回は、お墓を持っていない方の埋葬や供養の方法についてご紹介します。
日本には、墓地・埋葬に関する法律として「墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)」があります。その法律の中に、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」と明記されており、火葬されたご遺骨は墓地に埋葬されなければならず、庭などに埋めることは法律違反であるとされています。
つまり、ご遺骨というのは「どこにでも埋めていいわけではない」のです。他人の土地はもちろんのこと、たとえご自身の自宅の庭先であっても、許可なくご遺骨を埋葬することは許されません。
近年までの供養の方法としては、墓地にお墓を建ててその中にご遺骨を納めて供養する方法が一般的でした。しかし、最近ではお墓を持たずに供養する方も増えてきました。以下では、お墓を持っていなくても供養ができる方法を4つご紹介いたします。
手元供養は、故人様のご遺骨の一部をご自宅などの身近な場所に置いて礼拝の対象にする方法になります。ご遺骨の一部とあるように、ご遺骨全てを手元に置くわけではありません。ご遺骨の大部分はお墓に埋葬したり、永代供養にし、残りのわずかなご遺骨を手元供養にして安置します。
手元供養には様々な手元供養用の商品が販売されていますが、それらは「納骨型(骨壺やペンダントなど)」と「加工型(ガラスや人口宝石など)」に分類できます。
寺院などが運営している納骨堂にご遺骨を預ける方も増えてきています。納骨堂は屋内に設けられた納骨施設を言います。ご利用者のニーズに合わせて、現在では様々なタイプの納骨堂がありますが、ご遺骨を保管しておくための棚型・ロッカー型や本尊や位牌を祀って拝礼ができる仏壇型、近年注目されているロッカー型(自動搬送型)などがあります。
お墓の後継ぎがいらっしゃらなかったり、身寄りのない方の場合には、合同墓や共同墓に納骨します。合同墓や共同墓にはご遺骨を一定期間骨壺のまま安置する場合とご遺骨を預けてすぐに他の方と共に埋葬を行う合祀の場合があります。注意点としては、一度合祀してしまうとご遺骨を取り出すことができなくなるため、注意しましょう。
樹木葬は、一般的なお墓のように石を墓標とするのではなく、木を墓標とするお墓になります。ご遺骨を自然に還すという点や石のお墓よりも比較的安価ですむ点から利用される方が増えてきています。
なお、上記で紹介した「手元供養」と「樹木葬」については以下の記事で詳しく取り上げていますのでご参照ください。
ご自宅やお手元で故人様を想う手元供養とは?手元供養の種類や流れをご紹介
近年増えている樹木葬。お墓との違いやメリットとは?
海洋散骨とは、故人様を火葬した後のご遺骨を粉砕(粉骨)して海に撒く、近年話題になっている葬送の形になります。ご遺族に代わって船長・航海士らがご遺骨を散骨を行う「代行散骨」やご遺族にも乗船いただいて船長・航海士らと共に散骨を行う「乗船散骨」、他のご家族と同じ船に乗船して散骨を行う「合同散骨」などがあります。
今回取り上げたように、お墓を持たない・持っていなくても供養の方法はいくつか選択肢があります。それらを知っておくことは非常に大切ですし、悔いのない選択をすることにもつながります。
セレモニーでは、今回取り上げた「手元供養」や「樹木葬」「海洋散骨」も取り扱っております。パンフレットなどの資料もございますので、ご興味がございましたら、是非セレモニーまでお問い合わせください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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