2024-07-05
お墓参りは、故人様の命日やお盆、お彼岸、仏事の際などに行われます。お墓参りで持って行くものといえば、お墓を掃除するための道具やお線香、着火ライター、お供え、それにお花です。
お墓に新たなお花が供えられると、雰囲気が一気に華やぎます。その様子はお墓に眠る御霊にとって良いご供養になる上、墓参りをした方々の心も癒やしてくれます。しかしながら、お花の選び方にはある程度定められたルールがあるのです。本記事では、お墓へ供えるのに適したお花、供え方のポイントをご説明していきます。
ご先祖様や故人様、仏様はこの世に肉体がないため、食事を楽しむことはできません。しかし、美しいものをご覧になったり、香りを楽しんだりすることはできると信じられています。そのため、お供えでは良い香りの線香を焚き、香りが良く美しい花を捧げることが、ご供養に繋がると考えられているのです。
その一方で、お墓に花を添える慣習は、お釈迦様に関連しているという説もあります。それは、お釈迦様が悟りを開く前に起こした行動によるものだそうです。当時、菩薩として修行を行っていたお釈迦様は、儒童梵士(じゅどうぼんし)という名を持っていました。この時、燃灯仏(ねんとうぶつ)と呼ばれる仏様が都へ現れる機会に遭遇したのです。
そこで儒童梵士は、青い蓮華の花を5本、燃灯仏へ捧げました。すると、青蓮華は燃灯仏の周りで光り輝いたのです。その様子をご覧になった燃灯仏は儒童梵士に対し、「儒童梵士は悟りを開き必ずや釈迦仏となるだろう」という予言を授けました。
すると燃灯仏の予言通り、儒童梵士は悟りを開いてお釈迦様となったのです。仏となったお釈迦様は、弟子たちに「死者には花を手向けなさい」と諭しました。この言い伝えが、供花の起源になったとも考えられているのです。
仏花は、生花店や大型のスーパーなどで束になって売られています。ところが菊しか入っていない仏花が多く流通しているため、お墓には菊というイメージを持っている方が多いでしょう。しかしながら、菊以外にもお墓に供えるのに適した花があります。
基本的には、故人様の雰囲気に合った種類、好きだった色などを基準に仏花を選ぶのが良いですが、どのような花にするか迷われた場合は、以下をご参照ください。
菊の花は、多くの仏花の中でも定番のお花です。その花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」とされ、皇室の紋章や日本国民が所持するパスポートのデザインにも用いられています。菊は日本の花を代表する国花であり、花持ちが非常に良く、枯れる際にも花びらが散りにくい性質を持つので、片付けやすいのも魅力です。
仏花では、カーネーションも人気です。カーネーションは色によって花言葉があり、中でも赤い色は「深い愛」「感動」「母への愛」という意味が込められているため、母の日に送るのも良いとされています。なお、白いカーネーションは「亡くなった方へ捧げる花」といった意味を持つので、ご存命の方へ贈るのは適しませんが、仏花としてお墓にお供えするなら問題ありません。
スターチスの花言葉は、「永遠の愛」や「思い出」です。スターチスもまた枯れにくい花で、水分が少なくとも長持ちしてくれます。色の種類も多いので、花束に入っていると華やかになるでしょう。
カスミソウの花言葉は、「清らかな心」「幸福」「感謝」です。真夏以外なら、1週間以上は長持ちするとされています。クセのない花なので、さまざまな花と組み合わせやすいのも人気の理由です。
樒(しきみ)は、太古より仏事に使用されてきましたが、全ての部分に毒が含まれています。本来は毒のある植物は仏花に適さないといわれているのですが、樒はその毒で邪気払いや魔除けになると重宝されてきました。昨今では、関西の方でお墓に供えられているのを多く見かけます。
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続きを読む墓前に供える花は、基本的に故人様を想って選ぶのが良いとされていますが、中には適さないといわれている花もあるので注意が必要です。
薔薇などのトゲがある花は、供花として適していません。トゲは痛みや怪我を連想させ、なおかつ日持ちも良くないため、仏花には適さないといわれています。ただし故人様が好きだった場合は、トゲを全て取り除いてから供えても構いません。
死を連想させる毒を含む花も、仏花には適しません。すずらんや水仙、シャクナゲ、キョウチクトウ、彼岸花はお供えしないように気を付けましょう。
香りが強すぎる花は、お線香の香りを妨げたり虫を引き寄せたりするため、お墓には適しません。特に香りが強いといわれている金木犀やカサブランカ、クチナシ、オミナエシなどはお墓に持ち込むのを控えましょう。
お墓に供える花は、その捧げ方にもポイントがあります。ご先祖様や故人様に喜んでいただくためにも、正しい供え方を知っておくと良いでしょう。
お墓の供花を見渡せば、多くの場合は左右対称に供えられています。それは、左右対称に「美しい極楽浄土」との意味が込められているからです。お花の色や種類、本数などは左右対称を意識して飾りましょう。
仏花に入れる花は、1か所につき奇数の本数でまとめます。偶数でまとめられた花束は2の数字で割り切れてしまうため、「縁切りを意味する不吉な数」と考えられているためです。仮に、一つの花束を奇数の5本でまとめる場合は、両側合わせて10本の花をお供えすることになります。
日々の忙しさでなかなか時間が取れなかったり、お墓が遠方にあったりするなどの事情があれば、お墓参りをマメに行うことが難しくなります。その場合、枯れない花、つまり造花をお供えしても問題ありません。普段は造花を飾っておき、お盆や法事など、沢山の方々が集まる機会には生花を捧げるという形でも良いでしょう。
お墓参りの際は、前回供えた花を回収し、新しい生花を供える方が大半です。ただしさまざまな理由で、長期間お墓参りができない場合は、拝んだ後で生花をそのまま回収し、持ち帰ることを基本とした方が良いでしょう。お墓へ供えた生花は、枯れてしまうと墓石を痛ませ、虫を呼び寄せるようになるからです。
持ち帰った花は、勿体ないと感じた場合ご自宅に飾って構いませんし、すぐに処分しても問題ありません。
お墓を掃除して花を供える行為は、慰霊の意味だけでなく、お墓参りを行った方々の心も穏やかにしてくれます。最低限のマナーを守ることは大切ですが、魂の成仏を願う気持ちを込めて手を合わせることが、ご先祖様や故人様にとって一番のご供養となるのです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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