2021-02-19
事故や災害などによって生死が不明の場合に法律的に亡くなられたことを「認定死亡」と言います。なぜ認定死亡という制度が必要で、死亡が認定されると何が起こるのでしょうか。また、同じく法律的に亡くなられたことを指す「失踪宣告」とは何がちがうのでしょうか。
そこで今回は、生死不明の際に用いられる「認定死亡」の基本的なことから、ご遺体がない場合に執り行われるご葬儀での注意点などについてご紹介します。
認定死亡は、ご遺体が見つからず医師がその方の生死を確認できない場合に行政が亡くなられたことを認定する制度になります。
一般的に人が亡くなると医師が病院や施設などで死亡を確認します。しかし、災害や大規模な事故が発生した場合、ご遺体が見つからないといった理由から死亡の確認がとれない場合があります。ご遺体を見つけられない以上、人間の死亡を医学・法律それぞれの面から証明する「死亡診断書」が作成できないため、死亡が確実である場合であっても戸籍に死亡の記載ができず、不都合が生じる恐れがあります。
認定死亡は、このように亡くなられたことが確実であるにもかかわらずご遺体が見つからない場合、生死が分からない方を法律的に亡くなられたとして扱い、戸籍上も亡くなられたと扱うことができる制度になります。
なお、認定死亡がなされれば、残された方の法律的な立場が明確となるため、一般的に亡くなられた場合と同様に各種手続きが行えるようになります。例えば、遺産相続や生命保険の受け取りなどがそれにあたります。
認定死亡は戸籍法第89条に基づく制度になります。しかし、認定死亡の詳しい要件に関して戸籍法に定められているわけではありません。戸籍法第89条では、「水難、火災その他の事変によつて死亡した者」と記載されており、解釈によっては様々なケースで「その他の事変」に該当することになります。
そのため、死亡認定をするにあたっては行政当局などが個々に判断をしていきます。例えば、海上保安庁の場合、行方不明者のご家族・ご親族からの死亡認定の要望を受け、死亡を確認できる証拠があるのか、周囲の状況からして生存が考えられず海難から3カ月が経過しているなどの観点から慎重に運用を行っています。
認定死亡を受けた場合、通常のご葬儀とは異なり、ご遺体がない状態でご葬儀を執り行うことになります。ご遺体がない点、そして火葬が執り行われないことを除けば、通常のご葬儀と同様にご葬儀を執り行うことができます。なお、認定死亡ではご遺骨もないため、骨壺には遺品などを納めることもできます。
ただし、火葬を執り行わない場合には使用ができない葬儀式場もありますので、検討している葬儀式場があれば事前に確認をしましょう。
また、ご家族やご親族などで仮葬儀を執り行い、ご遺体が見つかった後に本葬儀を執り行う場合もあります。仮火葬は必ず執り行わなければいけないものではありませんし、決まった形式があるわけではありません。ご遺族の心情やご負担に応じて決めるようにしましょう。
認定死亡を受けた後で生存が分かった場合、その方の戸籍は自動的に訂正され、財産を相続された方はそれを返却しなければいけません。なお、後に認定死亡を受けた方の正確な死亡日時が分かった場合も、自動的に戸籍は訂正されます。
実際に亡くなられたかどうかが未確認であっても亡くなられたものとして扱う制度には、認定死亡のほかに「失踪宣告」があります。亡くなられたことの確実性が不明な場合に適用されるという点は共通していますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
以下で認定死亡と失踪宣告の違いについてまとめましたのでご参照ください。
失踪宣告と認定死亡では根拠となる法律が異なり、失踪宣告が民法であるのに対し、認定死亡は戸籍法が根拠となっています。
失踪宣告は認定までに生死が判明していない状態から1年や7年といった期間が設けられていますが、認定死亡にはそのような期間は定められておりません。認定する行政当局が亡くなられていると判断すれば認定されます。
失踪宣告は亡くなられているという可能性を前提にしている点は認定死亡と同様ですが、「失踪」という言葉があるように、行方が分からないだけで亡くなられていない可能性もあります。一方の認定死亡は、亡くなられた可能性がより高いと言えます。それは認定死亡が火災や水難といったご遺体が見つからない場合などに認定されることが多いためです。
失踪宣告の場合の認定機関は「家庭裁判所」になりますが、認定死亡の場合は調査を行った「警察などの行政当局」が死亡を認定して、戸籍を取り扱う地方自治体の首長に報告することによって認定されます。
失踪宣告も認定死亡も亡くなられたものとして扱うということは同じですが、失踪宣告の場合は亡くなられたと「みなす」ことであるのに対し、認定死亡の場合は亡くなられたことを「推定する」ものになります。
どういう違いかというと、「みなす」場合には反対の証拠を挙げただけではその決定を覆すことができないのに対し、「推定する」場合は反対の証拠を挙げれば推定を覆すことができるという違いになります。
身内のご葬儀を執り行うことは、頻繁にあることではありません。そのため今回取り上げたような「認定死亡」などの分からないことや戸惑うことも多いと思います。ご葬儀に関して不明なことや不安なことがございましたら、お近くのセレモニー直営葬儀式場もしくはお電話にてご相談ください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。
ご家族の方や2親等以内の方が亡くなった場合、命日から一年間は喪に服すのが通例です。日本における喪中期間では、故人様の死を悼み、静かに過ごすことが一般的であるため、日常生活においてある程度の制約が求められます。 そこで当記事では、喪中と厄年が重なった場合の対処法、初穂料の相場などをご紹介いたします。
人が亡くなるとお通夜やご葬儀が執り行われ、火葬後のご遺骨は骨壺に入れ埋葬するのが一般的です。しかしながら、地域によっては骨壺の代わりに納骨袋(のうこつぶくろ)を使用します。今回は、納骨袋とは何か、その使用目的や使い方、手に入れる方法について解説いたします。