2021-02-19
ご家族が長い闘病生活の末に亡くなられた場合、少しでもきれいな姿で送ってあげたいと考えられる方は多いと思います。ご遺体を清潔に整えて生前の姿に近づける死後処置のことを「エンゼルケア」と言います。エンゼルケアは遺されたご家族の悲しみを和らげる1つの拠り所になるはずです。
そこで今回は、大切な方の死を受け入れる大切なプロセスの1つであるエンゼルケアの目的や内容、費用相場などについてご紹介します。
人が亡くなられた後に行われる死後処置と死化粧をまとめて「エンゼルケア」と言います。病院で亡くなられた場合、エンゼルケアは看護師や病院が提携している業者の方が行っております。
医療機関で施されるエンゼルケアには、大きく分けて2つの意味があり、1つは「感染予防」、もう1つは「故人様への尊厳とご遺族のケア」になります。
亡くなられた方に施す死後処理は、ご遺族や搬送業者、葬儀担当者への安全管理上、とても重要です。ご臨終後のご遺体からは感染症のリスクがありますので、専門知識を持った方の手で適切な処置を施すことで、病原微生物の飛沫や体液や排泄物による汚染を防ぐことができます。
人生の最後を美しく整えることは故人様の尊厳や人格を守ると共に、ご遺族の心のケアにも繋がります。
長い闘病生活の末に亡くなると、お元気だった頃の姿とは大きく様子が変わってしまうことも多く、その姿はご遺族に深い悲しみを与えてしまうことが考えられます。また、お元気だった頃とかけ離れた姿だとご遺族は故人様の死を受け入れることが難しくなってしまうとも言われています。
エンゼルケアを施すことで、ご遺族は大切な故人様の死を受け入れて悲しみから立ち直るプロセスになります。
エンゼルケアは病院の方針や宗教的な慣習、故人様の生前の希望などを考慮した上で処置がなされます。そのため、エンゼルケアで施す内容は、病院ごとに若干の差がありますが一般的に、以下のような処置が施されます。
・医療従事者による処置
・全身清拭(せいしき)
・着替え
・エンゼルメイク
・合掌
・シーツをかける
エンゼルケアの処置をする前に、これまで治療のためにつけていた医療器材を看護師の方々が外していきます。その際、傷などがあれば処置をしていただけます。その後、内容物や排泄物の排出や口腔ケアなども施していただけます。
お湯とタオル、または温タオルを用意し、全身を拭いていきます。これを「清拭(せいしき)」と言います。清拭は看護師の方々が行うこともありますが、ご遺族が行えることもありますので、ご自身の手で行いたい方は事前に相談をしておきましょう。
宗教宗派によって旅支度が異なることがありますので、事前に菩提寺やご親戚の方に相談しましょう。着替えに関しては一般的に白装束に着替えますが、特に宗教宗派による指定がない場合は、故人様がお好きだった服やご遺族が故人様に着せたい服で問題ありません。
エンゼルメイクは、故人様の顔や全身を化粧品などで整えるエンゼルケアの中でも大切なケアです。業者や看護師の方々が行われることもありますが、希望すればご遺族が行える場合もありますので、事前に相談してみましょう。
女性だけでなく男性も薄化粧を施し、髪を整えます。なお、化粧品については病院や業者が用意していますが、故人様のお気に入りのものがあるようであれば、それを使用してもいいでしょう。
「合掌バンド」と呼ばれるゴムを使用して、故人様が合掌するように胸の上で手を固定する病院もあります。これはご遺体を運ぶ時に腕がだらんとするのを避けるためのもので、ご自宅や霊安室に安置した後は外します。
胸の上で合掌をするようにしたら、故人様にシーツを掛けて、顔に白い布をかけます。なお、ご遺族が希望されれば顔に布をかけないなどの対応をしてもらえますので相談してみましょう。
エンゼルケアの料金は、病院や業者によって様々で、病院でエンゼルケアを施してもらう場合は無料の場合や数万円かかることもあります。エンゼルケアを業者に依頼する場合は、1~3万円が相場とされています。
エンゼルケアを施して故人様をきれいな姿でお見送りしてあげることは、ご遺族の心のケアにつながります。ケアの内容は病院や業者によって様々ですので、故人様やご自身の希望を伝えて、心残りがないようにしましょう。
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