2020-05-01
遺骨迎えとは、火葬場で荼毘(だび)にふされた故人様のご遺骨を自宅にお迎えし、安置することを指します。祭壇に安置した後の遺骨迎えの儀では、司式者による読経や焼香が行われ、これをもってお通夜式やご葬儀・告別式の一連の儀式を済ませたことになります。
ではこの遺骨迎えとは、具体的にどのように執り行えばよいのでしょうか。また、ご遺骨を迎えるにあたり、ご自宅ではどのような準備をすればよいのでしょうか。
今回は火葬後に執り行われる遺骨迎えの手順や準備しておくものなどについてご紹介します。
火葬場でのお骨上げが済むと、ご遺骨の入った骨壺は白木の箱に納められて、白布に包まれた状態で喪主に渡されます。喪主はご遺骨を抱き、その両隣にお位牌と遺影を持ったお身内が位置して、喪主を乗せた車を先頭にご自宅まで戻ります。
この時、箱の中には埋葬許可証も収めてあるのが一般的です。埋葬許可証は埋葬する時に必要になるものですから、そのまま箱に収めて保管するようにします。
ご自宅に到着して家に入る前は、塩と水でお清めをしてから入ります。火葬場まで同行していないお身内に肩や背中に塩を振ってもらう「清めの塩」、柄杓に汲んだ水を両手にかけてもらう「清めの手洗い」がありますが、昨今では火葬場から戻ってきた方同士で身を清めて済ませる場合もあります。
その地方や地域のしきたりや風習によっては火葬後にご葬儀を行ったり、火葬の直後に納骨を行ったりすることがあるものの、一般的にはその多くが火葬された後のご遺骨と共にご自宅に戻り、忌明けとなる49日間を祭壇で安置します。ご遺骨が安置されるのは後飾り祭壇であり、この後飾り祭壇にご遺骨や遺影、お位牌などを配置して司式者によって読経が行われます。次にその場の全員で焼香をして、遺骨迎えの儀は終了となります。
遺骨迎えの儀は「還骨法要(かんこつほうよう)」や「安位諷経(あんいふぎん)」などとも呼ばれ、現代では初七日法要と合わせて執り行われるのが一般的となっています。もし分骨したためご遺骨が2つある時は、2つを並べて安置するか分骨した骨壺を仏壇で安置します。
なお、神式では、本来火葬後に墓地に行ってご遺骨を埋葬しますが、近年ではご遺骨を一旦ご自宅に持ち帰ることが多いようです。帰宅後、後飾り祭壇に遺影とご遺骨を安置し、神職によって「帰家祭」が執り行われます。
キリスト教式の場合は、そもそも火葬の習慣がないため、還骨法要や帰家祭のような儀式は行いません。
先述しましたようにご遺骨は後飾り祭壇にて、四十九日を迎えるまで安置されます(宗派によっては後飾り祭壇ではなく、すぐにご遺骨をお仏壇に納めることもあります)。
後飾り祭壇は火葬場に同行しなかったお身内が用意しても構いませんし、ご葬儀当日に葬儀会場に向かう前にしつらえておくと、後から準備に慌てずにすみます。また、葬儀社のスタッフに相談すれば用意を整えてもらえます。
お身内で用意する時は、自宅にある小机に白布をかけて、ご遺骨、お位牌、遺影、線香、焼香台、鈴、灯明、花立て、供物をお供えしておきます。ご葬儀で使用したお花やお供え物も、後飾り祭壇にお供えして構いません。
ご遺骨を後飾り祭壇に安置して遺骨迎えの儀を執り行い、ご遺族はその後も忌明けとなる四十九日法要まで日々、ろうそくの灯りをともし、線香をあげることで故人様の冥福を祈ります。ご葬儀後に尋ねてくる弔問客にも、こちらの祭壇で手を合わせてもらいます。
ご遺骨が自宅に安置され、一連のご葬儀が滞りなく済めば、精進落としの席になります。以前は家族が亡くなってから四十九日間、忌明けまでは生ものを避けて暮らし、忌明けに精進落としとして肉や魚などを食べたのが精進落としの始まりと言われています。
現代ではご自宅で精進落としの席を設けるのではなく、火葬場から葬儀場に戻ってきた後で精進落としをすることが多く、火葬場で故人様が荼毘にふされる待機時間に精進落としを行うケースもあります。
精進落としに関しては以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。
精進落としってどうすればいいの?【喪主・ご遺族編】
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60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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