2020-04-08
夏が近づいてくるとお中元をどうしようかと考え始める方もいらっしゃると思います。日頃から親しくしている方やお世話になった方へ感謝の気持ちを込めて贈るお中元ですが、自身や相手が喪中の際に、いつも通りお中元を贈ってもよいものか悩やまれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、自分が喪中の時にお中元を贈ってもよいのか、喪中の相手にお中元を贈る際など、喪中の際のお中元に関するマナーついてご紹介します。
喪中とは、身内や近親者が亡くなった時に、死を悼む期間のことをいいます。喪中の期間は概ね一年程度で、その間は結婚式や新年の挨拶などのお祝い事は控えた方がよいとされています。
では、相手が喪中の時に、お中元を贈ってもいいのでしょうか。結論から言えば、相手が喪中の時にお中元を贈っても問題ありません。
お中元は、道教の年中行事である死者の罪を許すことを願う「中元」と仏教の祖先の霊を供養する「盂蘭盆会(うらぼんえ)」とが融合し、江戸時代以降、お盆のお礼として親戚やお世話になった人への贈り物をする習慣に発展し、現在のようにお世話になった方々への感謝と健康を祈るという意味を込め夏に贈るようになったと言われています。そのため、お中元は、お世話になった方々への感謝と健康を願う気持ちを伝える「季節のお見舞い品」でありお祝い事に当てはまりませんので、喪中でもお中元を贈れます。
ただし、相手が忌中である時は「忌明け」してから贈る方がよいとされています。忌中とは、喪中と同様に、故人様の死を悼む期間のことをいいます。忌中の期間は、仏式では法要が行われる四十九日、神式では五十日祭、キリスト教であれば1ヵ月後になる召天記念日までとされるのが一般的です。
忌中や喪中について以下の記事で詳しく紹介していますので、関心のある方はぜひご参照ください。
「忌中や喪中って?その間の過ごし方の決まりはあるの?」
喪中にお中元を贈る際には、熨斗紙(のしがみ)の選び方にも気を遣う必要があります。一般的なお中元の熨斗紙は、紅白の水引が使用されることが多いのですが、紅白の水引は慶事に使用されるものですので、喪中のお中元の熨斗紙としては相応しくありません。
喪中にお中元を贈る際は、無地の奉書紙(ほうしょし)または白い短冊に「御中元」と表書きをして贈るようにしましょう。なお、短冊は略式となりますので、会社の取引先や目上の方などにお中元を贈る際は短冊の使用は避けましょう。
自分が喪中の時は、お中元を贈ってもよいものなのでしょうか。繰り返すようですが、お中元は日頃の感謝の気持ちを伝えるものなので、自分が喪中の時でもお中元を贈ることに問題はありません。
お中元を贈る際の熨斗紙は、喪中の相手にお中元を贈る際と同様に、無地の奉書紙または白い短冊に「御中元」と表書きをして送ります。
ただし、忌中期間は贈らないようにしましょう。忌中期間が一般的なお中元を贈る時期を過ぎてしまった場合は、「暑中御見舞」や「残暑御見舞」と表書きするとよいでしょう。
自分が喪中である時に、お中元が贈られてきた時は、そのお中元を受け取ってもよいのでしょうか。この場合は、お中元を受け取っても問題ありません。お中元を受け取ったらできるだけ早めに、お礼状を書くようにしましょう。お礼状は、白無地の便せんにボールペンや毛筆で書きます。
お礼状は、一例として次のように書くとよいでしょう。
拝啓
毎日暑い日が続いておりますが、皆様にはお元気にお過ごしのことと存じます。
さて、この度は結構なお中元の品を頂戴し誠にありがとうございます。
早速家族でおいしくいただきました。
いつもお気遣いいただき厚く御礼申し上げます。
まだ暑さが厳しい日が続きますが、皆様どうぞご自愛くださいませ。
敬具
差出人の名前○○○〇
令和〇年7月〇〇日
〇〇 〇〇様
季節の挨拶のお中元は、自分や相手が喪中であっても贈ることができます。「季節のお見舞い品」として相手に贈るお中元は、人との繋がりを感じることができる大切な日本の慣習です。お中元を贈る側と贈られる側の双方で思いやりや心遣いを大切にし、気持ちのよいやり取りを心がけるようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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