2024-03-25
法事の案内状にある「平服でお越しください」という言葉を見て悩まれたことがある人は少なくないと思います。「平服」という言葉から、Tシャツやコットンパンツなどの「普段着(私服)」をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような服装で法事に参列してもよいのでしょうか。
そこで今回は、法事に呼ばれる前に覚えておきたい法事における装いのマナーついてご紹介いたします。
喪服とは、故人様に向けて敬意を示すために着用するもので、フォーマルウェアとも呼ばれています。法事や法要では、喪服を着用することが基本です。喪服は大きく3種類で格式別に分類され、法要の内容や立場によって使用する場面が異なります。
ただし、子どもの喪服についての格式はありません。基本的には黒、もしくはダークグレー、濃紺などの落ち着いた無地の服を着用します。喪服でなくとも、敬意が伝わるようフォーマルにまとまっていれば構いません。学生の場合は基本制服での参列になりますが、もし派手な色のリボンがついている場合、着脱可能なら取り外しても良いでしょう。
なお、ここでは大人の喪服3種類をご紹介していきます。
正しい喪服と書かれた「正喪服」は、3種類の喪服の中で最も格式の高い装いです。男性の場合は黒の紋付羽織袴、または黒のモーニング、女性の場合は染め抜き五つ紋の入った黒い着物、または光沢感のない素材でできたアンサンブルやワンピーススーツなどのブラックフォーマルが正喪服に当たります。
ただし、ご葬儀の簡略化が進んだ昨今では、正喪服を持っている方が少なくなってきているため、正喪服を使用する場面でも準喪服を着用するのが一般的となっているのが現状です。
また、どの法事の装いにも当てはまりますが、喪服の上に防寒着を着用する場合、ブラックカラーか濃紺のシンプルなコートが無難です。フード付きやダウンなど、カジュアルすぎるデザインはおすすめできません。保温性の高い肌着や、黒無地のハイゲージマフラーを併用して防寒することも視野に入れましょう。
現在一番よく使用されているのが準喪服です。準喪服とは一般的な喪服を指します。男性はシングルかダブルの黒いフォーマルスーツ、女性なら黒のアンサンブルやワンピーススーツ、パンツスーツなどのブラックフォーマルがこれに当たります。
準喪服は、喪主をはじめご遺族やご親族、参列者にいたるまで、さまざまな方が着用できるフォーマルウェアといえるでしょう。
略喪服とは平服(へいふく)とも呼ばれている、略式の喪服です。黒やグレー、濃紺などのシンプルなダークカラーのワンピーススーツ、ツーピーススーツ、リクルートスーツ、学生の制服などがこれに当たります。略喪服は、急なお通夜などで参列者が着用することが多いです。
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続きを読むここからは、法事・法要の場面や立場ごとの装いのルールを細かく見ていきましょう。
近年のご葬儀簡化に伴い、初七日はご葬儀当日に済ませる「繰り上げ法要」、または「繰り込み法要」が増えています。もしご葬儀と同じ日に初七日を行う場合、服装も同じもので構いません。
また、後日改めて初七日法要を行う場合は、喪主、ご親族共に準喪服、親族以外の参列者は略喪服(平服)で参列すると良いでしょう。ご自宅で身内のみが集まる場合は、略喪服(カジュアルすぎないダークトーンの地味な私服)で問題ありません。
故人様の魂が成仏するといわれる四十九日は、法要の中で最も重要な一区切りとなります。基本的には、ご葬儀で使用した喪服と同じものを着用するようにしましょう。
百箇日とは、故人様が亡くなってから100日目を指し、この日に行われる法要を百箇日法要といいます。出苦忌(しゅっくき)、卒哭忌(そっこくき)とも呼ばれ、泣いて過ごす時期はそろそろ終わりにしましょうという意味合いを持つ法要です。
百箇日法要は、忌明け後初めての法要となります。故人様が祀られている仏壇のあるご自宅で、ご親族のみが集まり、ささやかに行われることがほとんどです。服装は、略喪服(平服)で問題ありません。もし、菩提寺や葬儀会場で行う場合は、ご葬儀と同じ喪服を着用しましょう。
一周忌とは、故人様が亡くなってからちょうど一年目の祥月命日、そして三回忌は一周忌の翌年に行う法要を指します。一周忌や三回忌は、ご遺族やご親族、故人様と親しかった方々が集い、故人様を追悼するのが目的です。ご自宅や寺院、霊園に併設された会場などで僧侶にお経をあげてもらい、会食を行います。
装いは、ご遺族やご親族、参列者共にご葬儀と同じ喪服を着用しましょう。もし事前に「平服でお越し下さい」との記載があった場合は、施主側の指示に従います。
三回忌の後は、七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三忌・二十七回忌・三十三回忌と続けて法要が行われます。仏教では、三十三回忌で全ての方が極楽浄土へ旅立つとの教えがあるため、このタイミングで弔い上げを行うのが一般的です。
七回忌以降の装いは、ご遺族やご親族なら準喪服、それ以外の参列者なら略喪服(平服)で出席します。略喪服の場合、男性は黒や紺のダークカラースーツにシンプルなダークカラーのネクタイ、白い無地のワイシャツ、女性は黒やグレーもしくは紺のワンピースかアンサンブルを選んでください。いずれも漆黒の装いである必要はありませんが、落ち着いた色合いのシンプルな服を着用しましょう。
法事や法要の際、「平服でお越しください」と言われる場合があるかもしれません。平服と聞けば普段着かと勘違いしてしまいそうになりますが、それは誤りです。
平服という言葉は、冠婚葬祭や就職活動の案内などで目にすることが多く、日常生活の中で耳にすることはあまりないと思います。平服を辞書で引くと「普段着ている服、日常の衣装」などと書かれていますが、実際には、Tシャツやジーパンのような普段着は、冠婚葬祭や就職活動おける平服とは言いません。
平服は「略喪服」と同義であると覚えておき、故人様やご遺族に敬意を払った装いを心掛けることが大切です。
冠婚葬祭や就職活動における平服とは、「場に適した服装」を指します。法事の際で言えば、ご親族以外の参列者が着用する三回忌での「略喪服」を指し、それ以降の法事であれば「略喪服よりも格を落とした地味目の服装」を示しているのです。
なお、カジュアルな結婚式や就職活動の案内にも「平服でお越しください」と記されていることがありますが、これらの場合の平服の解釈も「場に適した服装」となります。
先において、三回忌とそれ以降の法事での平服について触れましたが、法事にはいくつか種類があるため、参列する法事によってマナーが異なります。
地域や会場、施主側の考えにもよりますが、ご遺族は三回忌法要まで準喪服を着用し、七回忌法要以降は略喪服(平服)を用いるのが一般的なマナーと心得ておけば間違いはありません。
なお、七回忌以降での一般参列者は、服装の格を落として「地味な服装」を着用するのが正しい作法です。以下で男性と女性、子どもの具体的な装いについてご紹介いたします。
・グレーや紺のスーツに白いワイシャツを合わせる
・ネクタイは、黒以外にも地味な色合いであればOK
・靴下は、黒以外にもグレーなどでもOK
・グレー・紺・黒などのアンサンブル
・ブラウスは、白でも可
・アクセサリー・バッグ・靴は、華美なものを避ける
・学生の場合は、学校の制服
・学校の制服が無い場合は、白シャツにグレーや黒のズボンやスカート
・乳幼児の場合は、飾りのない落ち着いた色合いの服装
法要は、回を重ねる毎に厳粛な雰囲気から解放されていきます。しかしながら、故人様に対する弔意や敬意を忘れてはいけません。そこで、どの時期の法要でもNGの服装をお伝えいたします。
エナメル、サテンのような艶やかさを感じる素材や、派手な色見、豪華なレースなどがあしらわれた華美な印象を与える服や小物は避けるのがマナーです。また、パール以外の煌びやかなアクセサリーや、大きなロゴの入ったバッグ、殺生をイメージさせる革ジャンや毛皮製品も控えましょう。
いくらシンプルとはいえ、カジュアルすぎるデザインの服や小物も着用を避けます。デニムやTシャツ、露出度の高いノースリーブや半ズボン、ミニスカート、キャラクターやロゴなどがプリントされている服も控えましょう。サンダル、ミュール、ブーツなどの靴も避け、男性は黒の紐付き革靴を、女性は低めのパンプスを履きます。
「法事には、喪服を着ていけば間違いないだろう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、参列する法事によって服装が異なるということがお分かりいただけたと思います。これらのことを知らず、間違った服装で法事に出席すると、ご遺族の方に失礼に当たることもあるため、気を付けなければなりません。
法事は故人様を偲ぶと同時に、故人様とご遺族に対して敬意を示す場です。 服装は、その人の「人間性」を推し量る物差しともされています。そのことを忘れず、誠意を持って場に適した服装を選びましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
日本には、ご先祖様や故人様の御霊を慰めるためのお彼岸という慣習があります。あの世とこの世が最も近づくと伝えられている日に、お仏壇を清めてお供えし、お墓参りに出向いて法要を執り行うことによって、御霊のご供養をする期間です。 ここでは、お彼岸に行われる法要の意味や種類、僧侶に対するお布施の相場とお渡しする際のマナー、参列時の服装についてお伝えいたします。
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