2024-06-07
お盆といえば、各地でお祭りや大文字焼などの行事が行われ、夏の風物詩となっています。この催しは、年に一度この世へ戻られるご先祖様を慰霊し、再びあの世へ送り返すための神聖な儀式なのです。
お盆では、ご先祖様に失礼のないよう、ご自宅でもお盆飾りを行い、御霊のお迎え準備をされたい方が多くいらっしゃることでしょう。そこで今回は、お盆飾りの意味や方法、そして時期や飾り方などをご紹介いたします。
お盆飾りとは年に一度あの世から戻られるご先祖様を、華やかなお飾りと共にお迎えするための準備として用意されるものです。
例えば、大切なお客様を自宅にお招きする場合、室内を綺麗にしたり料理や飲み物を用意したりなどの準備を整えるでしょう。お盆飾りは、そのご先祖様にあたるものとお考えいただければ間違いありません。お盆飾りは、かけがえのないご先祖様の御霊をもてなし、ご供養するために行う心のこもった演出なのです。
お盆飾りを用意する時期については、地域によってさまざまです。2024年の場合、一般的なお盆の時期は月遅れ盆(旧盆)といわれている8月13日(火)~16日(水)の4日間ですが、地域によっては新盆の7月13日(土)~16日(火)に行われることもあるようです。
正式に飾り始めるタイミングは、お盆初日の前日(12日)夕方~お盆当日(13日)の早朝にかけての時間帯が好ましいとされています。お盆の日程がある月初めには、盆棚(ぼんだな)を用意しておくのがおすすめです。
盆棚とは、ご先祖の御霊に向けて供物や飾りを置くための棚ですが、組み立ての作業が必要にもなることから、盆飾りを行う当日に慌てないためにも早めに準備しておくと良いでしょう。
また、お盆飾りを片付けるタイミングは、ご先祖様をあの世へお送りしたお盆の最終日、つまり送り盆の16日を終えた翌日17日に行うのが一般的です。
お盆飾りには、戻られたご先祖様や故人様に気持ちよく過ごしていただくための決まりごとがあります。お盆飾りを行うための祭壇(盆棚)を組んだら、仏壇の横もしくは前に設置します。なお、簡単な手順は以下をご参照ください。
①仏壇から位牌を取り出し、盆棚の一番上に安置します。
②位牌の両脇には盆花(ぼんばな)と提灯(ちょうちん)を供えましょう。
③次の段には、準備しておいたさまざまなお供え物を置きます。
④最下段にはろうそくや線香、おりんなどの道具を並べます。
なお、盆棚として用意した祭壇が1段である場合は、位牌の両脇に盆花を添え、その前へ置いた棚に用意した道具を並べるようにすると良いでしょう。
ここからは、お盆飾りに必要な道具、揃えた道具の設置方法などを詳しく解説していきます。
お盆飾りの必須アイテムといえば、さまざまな飾りやお供えを置くための盆棚です。盆棚は、地域により精霊棚(しょうろうだな)、先祖棚(せんぞだな)と呼ばれることもあります。
盆棚はお盆飾りを行い、ご先祖様をお迎えするための大切な祭壇です。お盆飾りを始める時期より少し前に組んでおき、祭壇用の掛け布をしておくと良いでしょう。設置場所は、仏壇の横や前が一般的です。
近年ではスペースなどの事情により、長方形型の低いテーブルや経机(きょうづくえ)といわれる道具を代用する方も増えてきています。
まこもは、お盆飾りの下に敷くゴザを作るために必要な植物で、浄化力に長けており邪気を払うと太古より信じられてきた霊草です。まこもで作られた小さな簾状のゴザは、魔除けの効果や病を癒やす力があると信じられており、盆飾りには欠かせないアイテムとして重宝されています。
生花は基本的に仏花を用意し、ご先祖の霊を慰めるためにお供えします。故人様が生前好きだったものであっても、香りが強かったり毒・とげがあったりするものはふさわしくありません。生花 店などで、お盆用の仏花として販売されているものを購入しましょう。一束が奇数になるように作り、仏壇または位牌の両サイドに飾り付けます。
盆提灯は、ご先祖様があの世から迷わず戻ってこられるようにするための目印です。使用方法としては、盆棚の両脇に置いて明り を灯します。近年では、さまざまな美しい模様が描かれた盆提灯が出回っていますが、防災の観点からLED製のものが用いられることが多いようです。
なお、故人様が亡くなって初めて迎える新盆では白紋天を使用し、お盆が終わった時点でお焚き上げを行います。
ほおずきは、ご先祖様や故人様の御霊があの世とこの世を行き来する際に、足元を照らしてくれる役割を担うものです。飾り方にはご家庭ごとの考え方や地域差がありますが、まこも縄(乾燥したまこもで作られたしめ縄)にほおずきをツタごと取り付け、周囲に立てた青竹に引っ掛けたり、生花と共に束ねて飾ったりされています。
キュウリやナスに箸を指し、御霊の行き来を助ける乗り物として供えるのが精霊馬・精霊牛です。精霊馬・精霊牛は、位牌のそばに飾ります。野菜で作った精霊馬・精霊牛を、お役目後に食べるのは良くありませんので、塩で清めてから紙に包んで処分しましょう。
近年では布やクリスタル、藁などで作られた精霊馬・精霊牛が購入できるようです。野菜以外の素材で作られたものは、傷んだり壊れたりしない限り、毎年使っても問題ありません。
あの世とこの世を繋ぐ長い糸として用いられるお供え物が、素麺(そうめん)です。乾麺のまま供えたり、御霊にいただいてもらえるよう茹でてから供えたりします。
水の子は、生前の行いによって餓鬼道(がきどう)へ落ちてしまった霊を慰めるためにお供えするものです。研いだお米や 、さいの目に切ったナス・キュウリを水に浸し、蓮の葉に盛り付け、お供え物と一緒に飾ります。お盆期間中は、水の子のお水を毎日取り換えましょう。
餓鬼道の霊は、ご先祖様についてきてしまうといわれています。そのため、家の中にまで入ってこられないよう、水の子を玄関へ置いておくという地域もあるようです。
お盆は、ご先祖様や故人様の御霊をお迎えするために行われる、古くから伝わっている慣習です。また、大切なご先祖様をお迎えし、一緒に過ごしながらご供養ができる尊い期間でもあります。
失礼のないよう留意するのはもちろん重要ですが、ご先祖様への感謝をお伝えし、ご冥福をお祈りすることが一番のご供養となります。お盆飾りについては、当記事をご参考にされながら、楽しく行っていただければ幸いです。
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