2023-06-16
人生の節目にあたる儀式に備え、社会人としてのルールやマナーを理解しておくことは大切です。なかでも、突然参列しなければならないご葬儀に対応できる知識やマナーは、事前に身につけておいて損はありません。そこで今回は、弔事に使用する「哀悼の意を表します」という言葉について、読み方や意味、文例などを詳しくご紹介します。
「哀悼の意を表します(あいとうのいをひょうします)」の文章に出てくる「哀悼(あいとう)」という言葉は、故人様の死を悼み悲しむという意味が込められています。さらに「意を表する(いをひょうする)」は、気持ちを示すという意味合いがあります。この2つの言葉を合わせて伝えることで「故人様のことを思うと、悲しみに心が痛みます」という意思を示すことができるのです。
「哀悼の意を表します」は、ご葬儀における正しい言葉ではありますが、ご遺族に対し「話し言葉」で使用するのはマナー違反です。なぜなら、この文章は口語体(話し言葉)ではなく弔電用の文語体(書き言葉)であり、弔電で使うための言葉だからです。
「哀悼の意を表します」は、故人様に対する弔意を伝える言葉です。この文章は、一般的に弔電(電報)で使用されます。また、冒頭に「謹んで」という語句を入れると、より丁寧な印象をご遺族に与えることができると覚えておくと良いでしょう。
ただし、お悔やみの言葉をメールやラインで伝えようとする場合、そこまで固い表現にこだわる必要はありません。弔電ほどのフォーマル感はないと考える方が多いため、「哀悼の意を表します」のような表現は、相手に違和感を与えてしまう可能性があります。よって、メールでの使用は避けるのが無難といえます。
弔電を打つ際、以下の点に注意する必要があります。
・ご遺族に直接伝えることができなかったお悔やみの気持ちを伝える文章を心がける
・「たびたび」「かさねがさね」「つぎつぎ」などの忌み言葉を避ける
・故人様の名前に敬称を用いる
・故人様が信仰する宗教にふさわしい表現を使う
ここでは、「哀悼の意を表します」を用いた具体的な文例を挙げていきます。また、弔電の送り方については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらをチェックしてみてください。
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続きを読むまずは、ご家族向けの文例を紹介します。
○○○○様(宛名)
ご息女様のご急逝に際し、大変驚愕し胸がつぶれる思いです。
ご家族皆様のご傷心を思いますと、お慰めの言葉も見つかりません。
心より哀悼の意を表しますとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
○○○○(送り主の名前)
ご家族の気持ちに寄り添うことを意識して文章を考えましょう。
次は、企業向けの文例です。
○○○○様(宛名)
御社○○様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
皆様のご心痛を思うと、弊社社員一同、悲しみに耐えぬ思いです。
ご厚情に深い感謝を述べるとともに、謹んで哀悼の意を表します。
○○社 ○○部 ○○課一同
個人名で送る場合は名前と役職名を記載し、法人名で送る場合は会社名を記載します。
最後はキリスト教向けの文例になります。
○○○○様(宛名)
ご令室様の突然のお旅立ちに接し、愕然といたしております。
ご家族皆様のお気持ちを考えると、悲しみに耐えぬ思いです。
謹んで哀悼の意を表すとともに、主イエス様のお慰めと励ましが注がれますようお祈り申し上げます。
○○○○(送り主の名前)
仏式の用語を使わずに作成するのがコツといえます。
ご葬儀の際、ご遺族へ言葉をかけるときは、「哀悼の意を表します」ではなく「お悔やみ申し上げます」などの言葉を使います。しかし、故人様の宗教や、ご遺族の方と話すシーンによって少々変わるため、事前に基本の知識を押さえておくことが重要です。
次項では、仏式・神式・キリスト教の3つの「お悔やみの言葉」を紹介します。また、以下の記事ではより詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
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神道における死生観では、死者の魂は祖先の霊とともにこの世へ留まり、子子孫孫を守り続ける神様になるというものになります。そのため、お悔やみの言葉としては「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます」が適切といえるでしょう。また、「安らかに眠られますようお祈りいたします」もよく使われています。
キリスト教の場合、死を悔やむという概念はなく、天国へ召される喜ばしい出来事と捉えます。そのため、「どうか安らかに眠られますようお祈りいたします」あるいは「神様の平安がありますように」といった言葉を用いて、故人様の魂が安らかであることをお祈りする旨を伝えるのが良いでしょう。
訃報は電話で知らされることもあります。そのような場合、忌み言葉や死因には触れず、どの宗教にも使用できる言葉を使いましょう。たとえば、「○○様が安らかに眠られますよう、お祈り申し上げます」という言葉を用いるのが無難です。
なお、以下の記事では電話でお悔やみの言葉を使うときのポイントをまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
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60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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