2023-02-24
祭祀(さいし)とは、神主に儀式を執り行っていただくことであり、その際に神主へお礼としてお渡しするお金を「祭祀料」と呼びます。祭祀料は、世間であまり認知されていないものなので、「どのように書けばいいの?」と悩んでいる方も少なくありません。今回は、いざというときのために役立つ、祭祀料の渡し方や相場などを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
「祭祀料」は、主に神式にて儀式が執り行われた際、神主に支払われる謝礼のことを指します。神道の祭祀は、ご葬儀や通夜などの弔事と、地鎮祭・七五三・夏宮参りなどの慶事の2つに分かれますが、祭祀料はそういった祭祀全般で見られるお礼として認知されています。
一般的に通夜祭(つやさい)、遷霊祭(せんれいさい)、葬場祭(そうじょうさい)、霊祭(れいさい)が執り行われる際に祭祀料を用意します。それぞれどのような意味を成す儀式なのか、次項で詳しく解説します。
通夜祭とは、神道において故人様の霊を慰める儀式であり、葬場祭の前夜に執り行われます。神主(斎主)が祭詞を奉読し、玉串奉奠を行った後、喪主から順に参列者の全員が玉串奉奠を行います。玉串奉奠は、仏教の焼香にあたる儀式です。
また通夜祭は、「故人様が家の守り神になる」という神道の考え方により、故人様の自宅や近場の式場で執り行われることが多いです。
遷霊祭は、「御霊遷し(みたまうつし)の儀」とも呼ばれており、故人様の魂をご遺体から抜き出して霊璽(れいじ)に遷し留める儀式です。霊璽とは諡名(おくりな)を記したものであり、仏教で使う位牌にあたります。なお、最近は通夜祭と遷霊祭を同じ日に行い、まとめて通夜祭と呼ぶこともあるようです。
葬場祭は、仏教のご葬儀や告別式にあたります。死の穢れを清め、故人様を神として祀る儀式であり、友人や知人が最後に故人様との別れを告げる、最大の重儀でもあります。
霊祭は、故人様の死後100日目までに行う儀式です。仏教における追悼儀式(法要や法事)にあたり、故人様の好物だった食べ物を神前に供え、お参りをするのが一般的です。
霊祭は故人様がお亡くなりになった日から十日ごとに執り行われ、五十日祭をもって忌明けを迎えます。その後は百日祭、一年祭と続き、最後の五十年祭まで執り行われます。
神主の人数や儀式の種類によって異なるものの、おおよそ100,000~500,000円ほどかかるのが一般的です。しかし、地域や風習によって大きく変わることも多いので、神社へ事前に確認をする・周囲との相談を怠らないなどの対策が必要です。
また業者へ依頼した場合、金額をはっきりと提示されることがあります。多くの場合、提示された金額以上のお金を用意する必要はありません。
祭祀料をお渡しするタイミングに明確な決まりはありませんが、一般的には帰家祭(きかさい)が済んだ後にお渡しします。帰家祭とは、神道式のご葬儀の中で行われる儀式で、ご葬儀が無事に終了したことを神へ報告するという意味があります。祭祀料は一番上、御車代などはその下に重ね、お礼の言葉を添えてお渡ししましょう。
祭祀料の表書きには濃墨のペンを使い、上部に「御祭祀料」または「御礼」と記載するのが一般的です。また、封筒の下部には「○○家」と記すか、自分の名前を記入してください。もし「○○家」と書いたときは、別途中袋に自分の名前(フルネーム)を記載します。
金額は、中袋表側の中央に記載し、その裏側には、郵便番号と住所を書きましょう。また、封筒は白無地のものが基本で、蓮の花や百合の花などの絵が描かれている封筒は使いません。水引は特になくても構いませんが、もしつける場合は白黒か白銀の切り結びにしましょう。
神道における祭祀料ですが、仏教のお布施とは渡し方にも異なる点が存在します。最後に、お渡しの際に気をつけるべき、大切な注意点をご紹介します。
儀式を取り仕切る神主(斎主)と神官(神主の補佐)の双方にお礼が必要となります。そのため、祭祀料や御車代などは、斎主と他の神官と別々に分けて用意してください。封筒は袱紗に包み、切手盆に乗せてお渡ししましょう。
先ほども軽く触れた御車代は、通夜やご葬儀などの儀式で神主に出向いてもらった際、祭祀料とは別にお渡しする金銭のことです。御車代は、5,000~10,000円が一般的な相場ですが、神官を遠くからお呼びした場合には金額を多めに包むのがマナーです。
祭祀料にはいくつか注意すべき点があり、状況に応じてスマートに渡さなければなりません。事前に基本的なマナーを把握しておくことで、周りへ配慮する心の余裕も出てきます。儀式を執り行う神官に失礼のないよう、相場や渡し方に関するルールを覚えておくようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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