2023-02-20
ご葬儀に参列した後の流れとして、ご遺族や故人様と親しくしていた方は、火葬場へ移動します。しかし、近年はご葬儀の縮小化に伴い、火葬に立ち会う機会も減少傾向にあるため、火葬の注意点がどのようなものなのか分からずに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
今回は、火葬場でのお骨上げに関する手順やマナーなどについて詳しく解説していきますので、お悩みの方は参考にしてみてください。
火葬とは、故人様のご遺体を焼却し、残った遺骨を骨壺へ収めて葬る儀式を指し、「荼毘に付す」とも表現されます。昔は「土葬」が一般的でしたが、明治時代以降、衛生的観点により土葬が禁じられたため、文化が火葬へと移行しました。今では、国内の99%以上ものご遺体が「火葬」により埋葬されています。
一般的には、ご葬儀や告別式の後でご遺体が出棺され、火葬場まで運ばれます。本項目では、その後に執り行われる「火葬場での流れ」をご紹介します。
火葬場に到着したら、まず提出しなければいけないのが「火葬許可証」です。火葬許可証がないと火葬を執り行えませんので、忘れずに持参しましょう。火葬許可証は、役所へ死亡届を提出する際に発行してもらうことができます。最近では葬儀社のスタッフが代行してくれる場合もあります。
ご遺体が出棺された後、親族や関係者は火葬場へ向けて移動を開始します。霊柩車を筆頭に、別のバスやハイヤーでその後へ続くように向かうのが一般的です。
また、地域によっては霊柩バスが使用され、ご遺体やご遺族が一緒に移動するケースもあります。ご遺族はお位牌や遺影、貴重品などを持参して乗車しましょう。
火葬場に到着したご遺体は、火葬炉の前や告別室などに安置されます。その後、葬儀社のスタッフがお位牌や遺影を飾り、ここで「納めの式」を執り行います。納めの式とは、故人様が火葬される直前に行われる、お別れの儀式です。
僧侶がいる場合は読経を開始し、参列者は焼香を行います。喪主、ご家族、親族の後、友人・知人と続くのが一般的です。ひと通り焼香が終わった後は、棺が火葬炉へ入るのを見送りながら全員で合掌します。
なお、近年では、火葬場に僧侶が同行しないケースも増えてきています。その場合は読経を式場で済ませ、火葬場では読経を行いません。
火葬後に行う「拾骨」は、2人1組で行うのがマナーです。互いにお箸を使用し、両側から1つの骨を同時に挟みこんで骨壺へ入れます。喪主、ご遺族、縁の深かった友人・知人の順に拾骨を行いましょう。
なお、すべての骨を拾うのか、それとも一部の骨だけを拾うのかは地域によってそれぞれ異なりますので、不安な方は事前に確認しておくと良いでしょう。
火葬場で火葬許可証を提出すると、火葬が終わった後に火葬済証明印が押され、「埋葬許可証」となって手元に戻ってきます。埋葬許可証は、納骨時に必要となる書類です。埋葬許可証を無事に取得するためにも、火葬証明書は紛失することのないよう、しっかりと管理しておきましょう。
火葬にかかる費用としての相場は、公営の火葬場なら無料~60,000円程度です。故人様が住民登録している地域以外で火葬を行うと、使用料が割高になる傾向があります。
民間で経営する火葬場の場合は50,000~150,000円程度となり、公営に比べるとさらに割高です。民間の火葬場は多くの場所でランクを設けており、グレードを上げると料金も高くなるという設定になっています。
最後に、火葬におけるご遺族からの「よくある質問」をご紹介しますので、回答と併せて参考にしてみてください。
火葬に参列してもらう方は、ご葬儀や告別式に参列してくださった方全員ではありません。火葬場へ移動する車の座席には上限があるほか、火葬場のスペースもそれほど広くはないからです。
火葬場へ参列する方は、ご遺族と一部の友人・知人に限られます。最終的な判断は喪主が行うので、喪主になった際は人数制限の問題を加味しながらお呼びする方を決めましょう。
分骨とは、遺骨の一部を分けて供養を行うことです。手元で供養しながら本山へも納骨したい場合や、先祖代々から伝わるお墓と新しく購入したお墓に分けたいときなどに分骨が採用されます。
遺骨を複数のお墓へ納める場合、火葬場にて「分骨証明書」を発行してもらいます。なお、手元供養分の証明書は必要ありません。分骨用の骨壺を用意し、お骨上げの際に複数の骨壺へ分けて納めてもらいましょう。
火葬にかかる時間は1~2時間ほどといわれています。所要時間は施設によって異なりますが、棺に入れる副葬品の種類(燃えにくいアルバムなど)によっては時間が多くかかるため注意が必要です。
火葬が終わるまでの間は、僧侶や参列者を控室に案内し、お茶やお菓子などでもてなします。もてなしの内容は、葬儀社のスタッフなどと事前に相談しておくと良いでしょう。
火葬場に到着してからの流れをあらかじめ把握しておけば、参列者への対応などがスムーズになります。余計なトラブルを避けられるため、分からないことがあれば事前に確認しておくことが大切です。後悔のない良いお別れをするためにも、抜けや漏れなどがないように準備しておきましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
故人様が亡くなられた時に、ご遺族は通夜やご葬儀、告別式に火葬など、さまざまな儀式を経なければならない局面に立たされることでしょう。しかしながら、ご葬儀の費用は決して安くないため、故人様に対する哀悼の意はあっても、費用が捻出できず大変な思いをする方もいらっしゃるかもしれません。
現代の日本では、99%以上のご遺体が火葬されています。火葬は火葬場で行われますが、そもそも火葬場とは、都道府県知事が火葬を行うための火葬場として許可した施設を指します。
ご葬儀が年々簡略化される昨今では、「ご葬儀をしない」という選択肢も時々耳にするようになりました。そこで近年注目されているのが、火葬だけでお別れを済ませる火葬式(かそうしき)というものです。