2023-02-03
お通夜とは、ご葬儀の前日に執り行われる仏教の儀式です。故人様をお送りする儀式のひとつであり、「ご葬儀や告別式とは何が違うの?」「何のために行うの?」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、お通夜の意味や目的、一連の流れ、参列時のマナーや香典の書き方について解説していきます。突然の連絡に慌てることのないよう、本記事でお通夜について学んでいきましょう。
お通夜とは、ご遺族・親族・友人など、故人様と親しくしていた方々が集まってお別れをする儀式です。故人様にとっては、この世に別れを告げて、仏様のもとへ旅立つ準備をするための儀式でもあります。また、お通夜は一晩中行われ、ご遺族・親族・友人が交代で寝ずに番をするのが本来の形ですが、近年はあまり見られなくなってきています。
お通夜は本来、夜通し明かりを絶やさずにご遺体を見守る儀式でした。ほかにも、医療技術が未熟だった時代には、生死の確認として一晩中見守っていた慣習があり、これが現在のお通夜になったという説もあります。
先ほども軽く触れましたが、一昔前は故人様とゆかりのあった方が慰問し、一晩かけてご遺族を慰めるのが一般的な流れでした。しかし、現代では一晩で行う流れを形式化したお通夜が主流となっています。現代のお通夜は、夕方から始まり読経・焼香・通夜ぶるまいを経て夜に終了するのが一般的で、そのため特別親しい関係でなかった方の参列も増えてきています。
お通夜の案内をもらった際は、基本的には参列するのが望ましいです。しかし、どうしても参列できない場合は弔電でお悔やみを伝える方法もあります。その際、弔電はお通夜までに間に合うよう送るのが基本です。
現代のお通夜は、以下の流れで行われるのが一般的です。
1.ご遺族が着席する
2.参列者が着席する
3.僧侶が入場して読経を行う
4.焼香をする
5.僧侶の法話を聞く
6.僧侶が退場する
7.通夜ぶるまいを行う
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
お通夜が開始される15分前になったら、ご遺族は着席をしましょう。席は祭壇から向かって右側が一般的で、故人様と血縁関係の濃い順から前列に着席します。
参列者は会場に到着したら、受付で記帳を行います。おおよそ10分前には着席できるよう、会場に到着しているのが理想です。また、なかには遅れて到着する方もいらっしゃるため、前列から着席するのが基本です。
僧侶が入場する際は、起立して迎えるのが一般的ですが迎え方は宗派によって少々異なり、合掌で迎える場合や、ご遺族だけ起立するなど、さまざまなパターンがあります。また、僧侶が入場した後は読経が行われます。
僧侶、またはスタッフの合図により焼香が始まります。喪主、近親者、一般の参列者が一般的な順番ですが、社葬などの特別な場合は葬儀委員会長から始めることが多いです。焼香のあげ方はさまざまありますが、たとえば前へ出る形式であれば、行きは真ん中の通路を使い、帰りは外側を通るようにしましょう。
読経と焼香が終わったら、僧侶からの法話があります。目安は10分ほどですが、近年は省かれるケースも多いです。
僧侶が退場する際は、基本的に迎えたときと同じ作法を行います。作法についてはスタッフから案内されるので、それに沿って見送りを行いましょう。
通夜ぶるまいとは、故人様の供養と参列者への感謝を表すためのもので、「精進落とし」とも呼ばれています。ただし、地域によっては通夜ぶるまいがない場合もあり、参列者のお見送りだけをして終わることも多いです。また、通夜ぶるまいは宴会ではないので、出席した際は騒がないように注意しましょう。
お通夜には、注意するべきマナーが多数存在します。最後に、「服装」「香典」「持ち物」の3つに分けて、注意すべきポイントを詳しく解説していきます。
お通夜に参列する際の服装は、準喪服か略喪服が基本です。一昔前であれば「喪服をお通夜に着るのは不幸を予兆していたようだ」として、平服が正しいマナーでした。しかし、現代では事前にお通夜の連絡が来るため、参列者も準備ができるようになり、喪服での参列が通常となりました。
また、仮に喪主であっても正喪服で参列する必要はなく、準喪服や略喪服での参列が一般的です。以下のマナーに配慮しつつ、自身の身だしなみを整えましょう。
男性は、黒色で光沢のないスーツを着用するのが理想です。ジャケットは、シングル・ダブルのどちらでもかまいませんが、シャツは白色を選び、色柄物は避けるのがマナーです。また、ボタンダウンシャツもふさわしくありません。
ネクタイ・ベルトは黒無地で、バックルは目立たないものが望ましいです。靴下・靴も黒で統一し、エナメルやスエード生地のものは避けましょう。また、髪型は清潔感を意識したものにし、おしゃれなセットは避けましょう。
女性は、スーツまたはワンピース、アンサンブルを着用しますが、男性と同様に黒色で光沢のない素材の服が望ましいです。スカートの場合は、ひざが隠れる長さにし、ストッキングは透け感のあるものを選びましょう。
靴は、黒の革か布製の素材にして、ヒールは低いのが望ましいです。一方、ハイヒール・サンダル・エナメル素材の靴はふさわしくありません。
アクセサリーは基本的に外しますが、結婚指輪や真珠のアクセサリーであれば特に問題はありません。バックは黒の布製品を選び、袱紗や数珠が入る大きさにしましょう。
お子さんの場合は、学生服が礼服となります。制服がない場合は、黒色で清楚な装いであれば大きな問題はありません。たとえば、白シャツに黒いカーディガンといった装いで十分です。
香典は、相手の宗教・宗派に合わせて包むのがマナーです。水引は黒白のものが基本ですが、30,000円以上包む際は、双銀の水引が望ましいとされています。また、表書きは相手の宗派に合わせますが、宗派が分からない場合は「御香典」と記入するのが無難です。
裏面には住所・氏名・金額を記入し、金額は旧字体の漢数字で書くのがマナーです。包む金額は、故人様との関係性によってそれぞれ異なりますが、お札は古札を用いましょう。新札を用意するのは、不幸を予兆していたとして捉えられてしまいます。
また、香典は渡すまで袱紗に包んでおくのがマナーです。お渡しするときに袱紗から取り出し、「このたびはご愁傷様です」と一言添えてお渡ししましょう。
お通夜に持っていくべき持ち物は、一般的に以下の3つとされています。
・数珠
・バック
・ハンカチ
数珠は、本式・略式どちらでもかまいませんので必ず持参しましょう。数珠は、自分を守るお守りのような役割を持っており、そのため他人との貸し借りも御法度です。
バックは女性の場合に限ります。布製の小さなバックが望ましいですが、金具や装飾がついているものは避けましょう。また、エナメル・革製品などもふさわしくありません。
ハンカチは白黒どちらでもかまいません。なるべく清潔でシワのないものを用意し、バッグの中にしまっておくと安心です。
お通夜は、故人様とお別れをするための大切な儀式です。現代のお通夜は、昔のように一晩中ご遺体を見守ることはありませんが、儀式に対する意味合いは変わりません。故人様としっかりお別れし、ご遺族を慰められるよう、マナーに配慮しつつ参列するのが大切です。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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