2023-01-20
終活年賀状は、その年限りで年賀状をやめる旨を伝える年賀状のことです。終活が注目されている昨今では、その作業のひとつとして、終活年賀状を出す決断をする方が増えてきています。今回は、終活年賀状のメリット・デメリット、相手に失礼のない正しい書き方やマナーなどについて解説していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
年始のやり取りとして定番化していた年賀状に、翌年以降は辞退する旨を添え、最後の年賀状として差し出すことを「終活年賀状」または「年賀状じまい」といいます。終活年賀状を送る理由は、生活環境や年齢・体調など、人によってさまざまです。
仮に、終活年賀状を出さず、ある年から突然年賀状をやめてしまうと、相手に余計な不安や心配を与えかねません。年賀状を断つ決断をされた場合「一つの区切り」として、年賀状をやめる意思を穏便に伝えられれば、相手に親切な印象を与えることができるでしょう。
終活年賀状とは、年賀状としての最終的な挨拶状です。こちらでは、終活年賀状を差し出すメリットについて解説します。
年賀状を出すにあたって考慮すべきものは「時間」と「手間」です。一昔前は、手書きの年賀状が多く見受けられましたが、現在ではパソコンを使い作成するのが一般的です。手書きに比べて簡単に作成できますが、住所の確認や図柄の選択、配置決めや文言の決定など行うべきことは山積みで、時間がかかる点は変わりありません。
何かと忙しい年末の時期に、年賀状作成の労力が減ることだけでも、非常に大きなメリットといえるでしょう。
年賀状の作成に必要な主なものは、年賀はがき(1枚63円)と、プリンター専用のインク・スタンプ・シールなどです。有料の年賀状ソフトで作成する場合は、さらにソフトの購入費用がかかります。また、印刷会社へ年賀状の作成を依頼すると、その会社に支払う印刷代も用意しなければなりません。
上記のように、年賀状は費用の面でも大きな負担となります。終活年賀状を送れば、次の年からはこのような費用を抑えられ、家計の節約につなげることができるのです。
年賀状で長年やり取りは続いていても、お互いに住所しか知らず、年に一回年賀状を出すだけの関係性である場合も多いです。このような場合、終活年賀状で年賀状をやめる代わりにLINEのIDやメールアドレスを交換すると、以前よりスムーズに連絡できるようになり、関係性が復活するケースも珍しくありません。
また、自分や相手に万が一のことがあった際に、電話番号などが分かっていれば素早く連絡ができるので、いち早く駆けつけることができます。終活年賀状によって、スムーズで密なやり取りができる場合があるのは利点のひとつといえるでしょう。
終活年賀状には、「年賀状を通しての交流を終わりにする」というデリケートな意味合いを含む内容を記載します。そのため終活年賀状を出す際は、失礼にあたる表現がないか注意する必要があります。ここからは、具体的な書き方や注意点、終活年賀状をやめる際のデメリットなどについて解説していきます。
終活年賀状を送る方は増えていますが、すべての方に認知されているわけではありません。馴染みのない方にとっては、絶縁状と勘違いしてしまう可能性も考えられます。年賀状でのやり取りを控えるだけであり、それ以外のお付き合いは続けていきたいという意思を明確にしましょう。
終活年賀状を送ると、次の年からは年賀状を出すことができません。来年以降に、年賀状を出したい気分になったとしても、今までのようなやり取りは難しいでしょう。
年賀状の作成は手間がかかるものですが、相手の顔を思い浮かべて、自分の近況を書くのは楽しいかもしれません。また、字を書くのが得意だったり絵を描くのが好きだったりする方にとっては、自分の作品である文字やイラストを披露できる良い機会になるでしょう。年賀状じまいをする際は、年賀状が出せなくなっても良いかよく検討しましょう。
終活年賀状を送り、年賀状のやり取りを辞退した場合でも、メールやLINEなどで挨拶を済ますことはできますが、相手の年賀状リストからは外れることになります。この場合、喪中はがきを受け取ることができず、友人・知人の訃報が入手しづらくなるというデメリットが生じます。
ご遺族の気持ちとしては、年賀状のやり取りをしていない相手に対し、喪中のはがきを送るのは迷惑にあたると考えるのが一般的です。昔の年賀状をさかのぼってまで、喪中を知らせてはこないでしょう。そのため、時間が経ってから友人伝手で訃報の旨を知ることになるかもしれません。
終活年賀状は、基本的に通常の年賀状と同じ作法で書きます。年賀はがきや年賀切手を利用し、忌み語や句読点を使用しないように注意しつつ、年始の華やかな雰囲気を心がけて書きましょう。
書き出しは例年通り、新年の挨拶から始めます。次に、近況などを丁寧に書き、その後「今年が最後の年賀状になります」と綴っていく流れで良いでしょう。
次回以降の年賀状を遠慮する文面は、少なからず相手に驚きを与えますので、冒頭に記入するのは禁物です。新年をお祝いする華やかな文章を飾った後、年賀状じまいの理由とともに、シンプルな文面で伝えるようにしましょう。お正月の晴れやかな雰囲気を壊さない配慮が大切です。
具体的な理由を記す際は、生活習慣の変化や年齢などの区切り(還暦・卒寿・米寿)などで良いでしょう。大切なのは、あくまで「関係を断ち切りたいわけではない」という意思を伝えることです。「年賀状じまいの件は、あなたにだけではなく全員に伝えている」というニュアンスを含めるのが理想です。
上記に留意しながら、年賀状じまいの旨・理由に添えて、「今後も変わらないお付き合いをお願いします」と一言添えると、さらに丁寧な印象を与えることができます。
終活年賀状は、年賀状という一つの連絡手段を終わらせる意味合いを含むので、代わりの代替案を提案するのがマナーです。絶縁の誤解を与えないよう、今後もお付き合いを継続していきたい旨を明記したうえで、今後の連絡手段(電話番号やメールアドレス、LINEのIDなど)を2~3つ記載しましょう。
最後に、終活年賀状の例文をご紹介します。どれも基本的な例文なので、しっくりくるものがあればぜひアレンジして活用してみてください。
謹賀新年 ○○様におかれましては お健やかに新春をお迎えのことと存じます
さて 私も還暦という人生の節目を迎えることとなりました
そこで大変恐縮とは存じますが 年始のご挨拶も今年限りで失礼いたしたいと思います
控えるのは年賀状だけですので 今後とも変わらぬお付き合いの程よろしくお願いいたします
皆様のご健康とご繁栄を心からお祈りいたします
あけましておめでとうございます
お元気でお過ごしでしょうか
さてSNS全盛期の昨今におきまして 私もその時流に乗らせていただき主な交流の場をSNSへ移行することとなりました
つきましては 年始のご挨拶状を今年限りとさせていただきます
今後はLINEやメール 通話にて皆様との交流を深めていきたいと存じます
今後も変わらずのお付き合いをよろしくお願い申し上げます
あけましておめでとうございます
昨年は 格別のお引き立てにあずかりまして大変ありがとうございました
本年も 何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます
さて このたび○○では 来年度からすべてのお得意様に対し 年賀状によるご挨拶を控えさせていただきたいと存じます
近年のデジタル環境への移行に習い 今後は新年のご挨拶を含む近況報告を Instagramにて行わせていただくことになりましたことをご案内申し上げます
勝手な都合により恐縮とは存じますが 何卒ご理解いただき 今後は当社アカウントまでご連絡いただければ幸いに存じます。
今回は、年賀状でのやり取りを控える意思を伝えるときに出す終活年賀状について解説しました。終活年賀状は、年賀状による連絡をしない旨を伝える手段であり、これまで築いてきた人間関係を整理するための大切な慣習でもあります。時間や手間の削減など、さまざまなメリットがありますので、気になる方は、今後の年賀状の在り方について考えてみてはいかがでしょうか。
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