2024-12-20
メールやLINEでの連絡が主流となりつつある昨今、訃報においてもメールやLINEで知らされた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、メールやLINEで訃報の連絡を受け取った場合、そのまま返信してもよいのでしょうか。
そこで今回は、メールやLINEで訃報を受け取った場合の返信の注意点や友人や会社関係者によってどのように返信したらよいのかを、文例を用いてご紹介いたします。
メールやLINEで訃報を受け取った場合は、同じツールでお返しして問題ありません。ただし、メールやLINEは、あくまで略式の伝え方であると心得ておきましょう。
本来の訃報とは、手紙でのやり取りするのが正式なマナーなので、手紙で訃報が届いた場合は、手紙やハガキで返答します。つまり、訃報のやり取りは伝える側に合わせると失礼にあたりません。
メールやLINEでお悔やみの言葉を伝える際の注意点として、タイミングや言葉遣い、使ってはいけない忌み言葉などが挙げられます。以下に、メールやLINEでお悔やみの言葉を伝える際の注意点をまとめましたので参考にしてください。
メールやLINEで訃報を受け取った場合は、気付いた時点ですぐに返信して、哀悼の意を表するのがマナーです。ただし、夜遅い時間に気付いた場合は、次の日の朝に返信すると良いでしょう。万が一訃報に気付くのが遅れてしまった場合は、お詫びの一文を入れてからお悔やみを伝えます。
また、訃報に「返信不要」の一文がある場合、返信の必要はありません。電話も控え、お通夜やご葬儀に参列した際にお悔やみの言葉を伝えましょう。
メールやLINEでお悔やみの言葉を伝える際は、タイトルや本文を短く簡潔にまとめるようにしましょう。好ましいタイトルは「◯◯(名前)です このたびはお悔やみ申し上げます」といったような、見ただけで何の要件か分かるタイトルです。
ご遺族は大切な方を亡くされた悲しみの中でご葬儀を執り行っています。そのため、わざわざ返信する必要はありませんという気持ちを伝えるために「返信不要」の文言を添えるようにしましょう。
お悔やみの言葉をメールやLINEで伝える際、時候の挨拶をつける必要はありません。時候の挨拶は丁寧な文章でよく用いられますが、お悔やみの言葉は簡潔にまとめる必要がありますので、前置きは控えて簡潔にお悔やみを述べます。
相手との間柄にもよりますが、基本的に、故人様には敬称を使いましょう。敬称の使い方、読み方は普段使わない言葉が多いため、覚えておくと良いでしょう。
・父と母→ご尊父(ごそんぷ)様・ご母堂(ごぼどう)様
・夫と妻→ご主人様・ご令室(ごれいしつ)様または、ご令閨(ごれいけい)様
・祖父と祖母→ご祖父(ごそふ)様
・ご祖母(ごそぼ)様
・兄と弟→ご令兄(ごれいけい)様
・ご令弟(ごれいてい)様
・姉と妹→ご令姉(ごれいし)様
・ご令妹(ごれいまい)様
慶事や弔辞では避けた方が良い言葉を忌み言葉と呼び、訃報メールの返信や、お悔やみの言葉を伝える際においても、以下のような忌み言葉は使わないようにしましょう。
たびたび/またまた/重ね重ね/わざわざ/ますます/くれぐれも/いよいよ など
今後も/再び/追って/再三 など
・死亡、死ぬ→ご逝去・生きていた頃→生前/お元気だった頃
・神式やキリスト教式の場合→成仏/供養/往生などの仏式の表現
・浄土真宗の場合→霊前/冥福など
訃報メールへの返信やお悔やみの言葉を伝える中で、故人様の死因を尋ねてはいけません。ご遺族は故人様が亡くなった悲しみの渦中にありますので、そうした話題は避けるようにしましょう。
お悔やみの言葉を伝える際、絵文字を使ってはいけません。絵文字はあくまで日常会話でのコミュニケーション手段のひとつであり、弔事に関する連絡での使用は不謹慎です。
お悔やみの言葉を返信する際に気を付けたいのは、お相手の方がどのような宗教を信仰しているかです。すべての方に使える言葉は、「この度はご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」「心から哀悼の意を表します」です。宗教ごとに使えるお悔やみの言葉は、以下をご参照ください。
・浄土真宗以外の仏教
ご冥福をお祈りいたします
・浄土真宗
謹んでお悔やみ申し上げます
・神道
平安な眠りにつかれますことを心よりお祈りいたします
御霊のご平安をお祈りいたします
謹んでお悔やみ申し上げます
心より拝礼いたします
・キリスト教
安らかな旅立ちでありますようお祈り申し上げます
安らかにご永眠されますようお祈りいたします
最後に、友人や取引先、会社の上司、同僚・部下などへ送る訃報メール・LINEの文例をご紹介します。下記の文例では、弔辞や仏事の文面に句読点はつけないという習慣に則って、句読点は省いてあります。
これは、文章が途切れるような「、」「。」を用いないことで、滞りなくご葬儀が進むようにという意味を込めているとの説からきています。
件名 お悔やみ申し上げます(山田太郎)
本文
お父様のご逝去を知り 突然のことで言葉が見つかりません
何かと大変だと思いますが あまり無理をしないよう 私にできることがあれば いつでも声をお掛けください
ご冥福をお祈りいたします
ご友人へ送る返信の件名は、「お悔やみ申し上げます」の後に名前を明記します。一目で名前が見えれば、メールが誰から来たものかが伝わりやすいです。本文は、親しい間柄の場合でも丁寧な言葉でお悔やみを伝え、相手の方に敬意を示します。
件名 お悔やみ申し上げます(山田太郎)
本文
お母様のご逝去を知り 心よりお悔やみ申し上げます
昔皆で家族旅行でご一緒した時のこと 今でも懐かしく思います
一目お別れに駆けつけられず申し訳ない気持ちですが 遠くから手を合わせてお見送りさせていただきます
何かと大変だと思いますが あまり無理をしないよう 私にできることがあれば いつでも連絡してください
ご冥福をお祈りいたします
件名はご友人へのメールと同様、お悔やみの一文とフルネームで構いません。故人様との思い出のエピソードや相手の方の体調を気遣う一文を追加することで、弔意がより伝わりやすくなるでしょう。
件名 お悔やみ申し上げます(株式会社○○ 営業企画部 山田太郎)
本文
△△株式会社 営業部 鈴木次郎様
このたびは□□様の訃報に接し 大変驚いています
心より哀悼の意を表します
本来ならば お目にかかりお悔やみを申し上げたいところではありますが 略儀ながらメールにて失礼いたします
心よりご冥福をお祈りいたします
※このメールへのご返信は不要でございます
取引先の方へのお悔やみメールは、どこの会社の誰からなのかを件名に表記します。内容は、哀悼の意や伺えないことへの謝罪、返信不要の旨を明記します。
件名 お悔やみ申し上げます(山田太郎)
本文
ご母堂様のご逝去に際し 謹んで心よりお悔やみ申し上げるとともに 心からご冥福をお祈りいたします
お力落としのことと存じますが ご自愛ください
略儀ながらメールにて失礼いたします
※このメールへのご返信は不要でございます
上司へお悔やみメールを送る場合、件名はお悔やみの言葉と名前のみで構いません。ただし、故人様の敬称は必ず記載するようにしましょう。
件名 お悔やみ申し上げます(山田太郎)
本文
このたびはご尊父様のご逝去のお知らせを受け 心よりお悔やみ申し上げます
仕事のことは気になさらずに最後のお見送りをなさってください
略儀ながらメールにて失礼いたします 心よりご冥福をお祈りいたします
※なお、返信は不要です
同僚や部下の方へのお悔やみメールも、基本は上司の方と同じで構いません。仕事について気がかりにされている方も多いため、「心配はご無用です」といった旨の文言も書き添えましょう。
お悔やみの言葉は、メールやLINEを使って伝えても大きな問題はありませんが、送る相手の関係性によってはトラブルに発展するおそれがあります。あまり親しい間柄ではない方の場合、手紙を使って送るのもひとつです。
今後さらに通信技術が進み、新たな連絡手段で訃報のやり取りを行う時代が来るかもしれません。故人様を悼む心を忘れずに連絡を取り合い、マナーを守ってご葬儀などに参列しましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。