2022-11-04
ご葬儀では、不幸を連想させる言葉など言い換えるべき「忌み言葉」があります。言葉ひとつでご遺族を不快にさせてしまったり、傷つけてしまったりする場合もあるため、最低限のマナーとして覚えておく必要があります。しかし、そもそもどの言葉が忌み言葉に該当し、どう言い換えるべきなのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は、ご葬儀での忌み言葉とその言い換え表現について解説します。また、宗教ごとの忌み言葉も併せて紹介していきますので、参列するご葬儀に合わせた言い換えを考えてみてください。
忌み言葉は、ご葬儀の場では言い換えが必要とされる言葉です。日常的には問題なくても、ご葬儀の場では縁起が悪かったり、不幸を連想させたりするとして避けるべき言葉がいくつかあります。
ご葬儀では、ご遺族や参列者と挨拶や会話をする場面が少なくありません。忌み言葉を把握していないと意図せずにご遺族を傷つけてしまう可能性があるため、最低限のマナーを守るための知識として把握しておきましょう。
忌み言葉は主に3種類あり、どれも不幸や死を連想させるとされています。大切な方を失い、悲しみに暮れているご遺族の気持ちに配慮する意味でも言い換えが必要です。
・重ね言葉
・不幸が続くことを連想させる言葉
・死を連想させる言葉
次項では、それぞれ避けるべきNGワードと言い換え方を一覧でご紹介します。
不幸が重なることを連想させる重ね言葉は下記のように言い換える必要があります。
忌み言葉 | 言い換え方 |
---|---|
重ね重ね | 深く・加えて |
いろいろ | 多くの・多彩な・さらに・もっと |
度々・しばしば | よく・しげく |
次々 | たくさん・立て続けに・休みなく |
どんどん | たくさん |
くれぐれも・重々 | 十分に・よく・どうぞ |
ぜひぜひ | ぜひとも・ぜひ |
みるみる | 見るまに |
近々 | 近いうちに |
わざわざ | あえて |
日々 | 毎日 |
ときどき | 時折 |
たまたま | 思いがけず・珍しく |
だんだん | 少しずつ |
つくづく | 心から |
いよいよ・ますます | 一段と・さらに・もっと・よりいっそう |
返す返す | 本当に・まことに・思い起こせば・振り返ると |
一般的に、「重ねる」には「繰り返される」という意味を持っているので、上記のような言葉はご葬儀の場にはふさわしくありません。
不幸が続くことを連想させる言葉も避けるべきものなので、下記のように言い換えましょう。
忌み言葉 | 言い換え方 |
---|---|
再び | いま一度 |
また | さらに・改めて |
追って | 後ほど |
続いて | 同様に |
忙しい | 多用 |
次に | その後・新たに・別の機会に |
引き続き・また | これからも・さらに |
亡くなってしまった故人様は、残されたご遺族まであの世に旅立ってほしいとは決して思ってはいません。このような心情を察すると、前述のような言葉は控えるべきと理解できるでしょう。
生死や命に関わる表現も忌み言葉として避けるべきとされています。
忌み言葉 | 言い換え方 |
---|---|
死ぬ | 逝去 |
急死 | 急逝・突然のこと |
生きていたころ | ご生前・お元気でいらしたころ |
数字の四や九は、それぞれ「死」や「苦」を連想させるため避けるのが一般的です。四苦八苦や七転八倒、浮かばれないといった言葉は言い換え表現が難しいので、ご葬儀の場では使用を避けましょう。
宗教によって死生観に違いがあるので、忌み言葉に該当する言葉も宗教ごとに異なります。日本でのご葬儀の多くが仏式のため、特に問題ないと思っていた言葉が実は仏教用語だったということも少なくありません。どの宗教であっても忌み言葉を避けるのは最低限のマナーですので、ご葬儀の前に把握しておきましょう。
仏教の供養には、故人様が極楽浄土へと無事成仏できるようにとの意味が込められています。仏教において、下記の言葉は成仏できない、報われないことを連想させる避けるべき忌み言葉です。
・浮かばれない
・迷う
また、仏教の中でも浄土真宗のご葬儀に参列する場合は、「冥福」という言葉の使用も避けてください。浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに成仏すると考えられており、亡くなってから成仏するまで冥界をさまようという概念はありません。そのため、耳にすることの多い「ご冥福をお祈りします」という言葉は不適切とされています。
神式で忌み言葉とされるのは下記の言葉です。
・成仏
・供養
・冥福
・冥土
・往生
神式と仏教では死生観が異なるため、ご葬儀の場において仏教用語は用いません。
キリスト教でも、神式と同様に仏教の考えにもとづく言葉が忌み言葉とされています。
・成仏
・供養
・冥福
・冥土
・往生
・ご愁傷様
・ご冥福をお祈りする
・哀悼の意を表する
・お悔やみ
キリスト教の考えでは、死は永遠の命の始まりを意味するので、先ほどご紹介した「供養」「冥福」などの言葉は控えた方が無難です。また、仏教で用いられる「お悔やみ申し上げます」という言葉には故人様の死を悼む意味があります。そのため、キリスト教では不適切な表現とされているので、「安らかな眠りにつかれますようお祈りいたします」といった言葉に言い換えましょう。
ご葬儀にまつわる文章において、句読点は「切れる」や「終わる」を意味する縁起が悪いものとされており、基本的に用いることはありません。読点を打つところには空白を作り、その後に文章を続けていきます。また、句点を打つ場合はそのまま空白とするので注意してください。
ご葬儀の場で避けられる忌み言葉は、日常的に使うことの多い言葉でもあり、すべて把握するのは難しいかもしれません。しかし、ご葬儀は故人様とご遺族にとって大切な場であるため、不快にさせたり傷つけたりしないように配慮が必要です。ご葬儀に参列する際は事前に、使ってはならない忌み言葉について調べておくと良いでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
香典は、ご葬儀の場において故人様の御霊前へお供え物をする代わりに、ご遺族へお渡しする金銭です。「5,000円程度が香典の相場なのではないか」という意見も散見されますが、故人様との関係や地域によって金額のマナーは変わるため、注意が必要です。 そこで今回の記事では、香典の一般的な相場や香典袋の選び方、書き方、香典のマナーについて詳しくご紹介していきます。
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。
ご家族に不幸があった場合、玄関に「忌中」と書かれた札が掲げられます。この札は忌中札(きちゅうふだ)といって、日本の伝統的な様式です。目立つ位置に貼ることで近所の方々へ不幸を知らせるため、そして死の穢れを周りへ移さないようにするためという心遣いでもありました。 現代でも、各地域に忌中札の風習は残っています。そこで当記事では、この忌中札の意味や書き方、掲げる時期、掲げ方などを解説いたします。