2022-10-21
ご葬儀に参列する際、数珠などと一緒に持参するのが「香典袋」です。香典袋は不祝儀袋とも呼ばれており、香典の包み方は宗派や宗教によって異なります。そのため、自身とは違う宗派のご葬儀に参列する際、用意に戸惑ったといった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、宗教や宗派による香典袋の選び方や表書きの書き方、水引の種類など、香典を用意する際のポイントについて解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
香典袋の種類はいくつかあります。宗教や包む金額によって用意する香典袋が異なるため、「○○を使わなければならない」といった厳格な決まりはありません。
たとえば、「御霊前」や「御仏前」と書かれた香典袋は仏教でのみ使用するものです。神道の場合は「御玉串料」「御榊料」、キリスト教の場合は「御花料」と書かれた袋もしくは無地の封筒を使用します。
本来、香典を渡す文化は仏教にしかないものでした。しかし、現代では仏教のみならず、さまざまな宗教・宗派で香典を用いるのが一般的となっています。
香典袋を選ぶ際は、「表書き」と「水引」の2つの点に注意して選ぶ必要があります。なぜなら、香典袋は宗教・宗派によって「表書き」が異なり、また包む金額や地域の風習によって「水引」の色が変わるからです。
次の項目では、宗教・宗派で異なる表書きの書き方と、金額に応じて変わる水引の種類について解説していきます。ですが、その前にまず香典袋の基本的な知識を覚えておきましょう。
香典袋は中袋がついているもの・ついていないものの2つがあり、それぞれ書き方が異なります。また、蓮・百合・十字架が印刷されているものもありますが、宗教によって適した絵柄は異なるため注意しましょう。たとえば、仏教であれば「蓮」、キリスト教は「百合」または「十字架」となります。
香典袋には、あらかじめ表書きが印刷されているものと、印刷されていないものの2つがあります。表書きは宗教・宗派によって異なるため、印刷されているものを購入する際は注意しましょう。宗教・宗派別による表書きの主なルールは以下のとおりです。
・御霊前…浄土真宗以外の仏式(四十九日より前)
・御仏前…仏式(四十九日以降)、浄土真宗では四十九日前後関係なく使用可
・御香典…浄土真宗も含む仏式
・御玉串料、御榊料…神式
・御花料、忌慰料、献花料…キリスト教プロテスタント
・御花料、御ミサ料、献花料…キリスト教カトリック
水引は、封筒に直接印刷されているシンプルなものや双銀の立派なものなど多くの種類があります。水引の種類は香典の金額によって使い分けなければならないため、「豪華だから」「自分の好みに合っているから」といった安易な理由で選ぶのは厳禁といえます。
また、弔事における水引は、基本的に「結び切り」を選びます。「不幸が1回で終わりますように」といった意味が込められているため、間違わないように注意が必要です。
・水引が印刷されているもの…5,000円以下
・黒白か双銀の水引、本数は7~10本…10,000~20,000円
・双銀の水引で本数は10本…100,000円以下
・双銀の水引で本数は10本、さらにひだ折のある和紙製の香典袋…100,000円以上
・黄白の結び切り…関西地方で用いられる場合が多い…10,000~50,000円
香典袋は、宗教宗派と包む金額によって選ぶ封筒が変わります。実際にご葬儀へ参列するとなった際、どのように香典袋を選べばいいのか、次項で詳しい手順を確認してみましょう。
ご葬儀に参列する際は、まずは包む金額を決めましょう。金額は故人様との関係性によって変わってくるため、以下の表を参考にしてください。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
---|---|---|---|---|---|
配偶者の両親 | 30,000~100,000円 | 50,000~100,000円 | 50,000~100,000円 | 50,000~100,000円 | 100,000円ほど |
祖父母 | 10,000~20,000円 | 10,000~30,000円 | 30,000~50,000円 | 50,000円ほど | 50,000円ほど |
兄弟・姉妹 | 30,000~50,000円 | 30,000~50,000円 | 30,000~50,000円 | 30,000~50,000円 | 50,000~100,000円 |
叔父・叔母 | 5,000~10,000円 | 10,000~20,000円 | 10,000~20,000円 | 20,000~30,000円 | 20,000~30,000円 |
その他の親戚 | 5,000~10,000円 | 10,000~20,000円 | 10,000~20,000円 | 10,000~20,000円 | 10,000~20,000円 |
会社関係 | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど |
会社関係のご家族 | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど |
友人・知人 | 3,000~10,000円 | 5,000~10,000円 | 5,000~10,000円 | 5,000~10,000円 | 5,000~10,000円 |
近所の方 | 3,000~5,000円 | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000~10,000円 |
包む金額が決まった後は、参列するご葬儀の宗教・宗派を確認します。ご葬儀の案内や、もしくは訃報の連絡が来たときは慌てずに「ご葬儀のスタイル」「宗旨宗派」の2点を確認しておきましょう。
その際に、香典辞退の有無についても確認しておくと、当日ご遺族に迷惑をかける心配がありません。なお、文章でご葬儀の案内が届いた際は、香典辞退の有無が書かれている場合が多いです。
包む金額と宗教宗派が確認できたら香典袋を用意しましょう。このとき、前項の『香典袋を選ぶ際の2つのポイント』を確認するとスムーズに進むので、そちらも併せてチェックしてみてください。
香典は、ご葬儀に参列する際に持参するものですが、参列するご葬儀の宗教・宗派によって用意する香典袋(不祝儀袋)が異なります。また、包む金額によって水引の種類も変わってくるため、「豪華だから」「きれいだから」といった理由で香典袋を用意するのは控えましょう。マナー違反とならないよう、今回ご紹介したポイント確認したうえでどの香典袋を用意すればいいのかを考えるようにしてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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