2022-09-09
一昔前であれば、ご葬儀にいくらかかるのか、当事者になってみなければ分からない部分が多くありました。しかし、近年は分かりやすい料金プランが葬儀社のホームページに記載されているため、当事者にならずとも予算を組むことが可能です。その反面、「プランが多すぎてどれを選べば良いのか分からない」と混乱してしまう方もいらっしゃいます。
今回は、近年人気の高いご葬儀プランである「家族葬」「一日葬」「火葬式」を中心に、ご葬儀の平均費用やご葬儀の費用を安く抑える方法などを紹介していきます。
経済産業省が過去に行った調査によると、一般的なご葬儀にかかる費用はおおよそ1,400,000円前後となっています。2022年現在においても、多少前後するものの、その費用に大きな違いは見られません。
※参考 経済産業省 『人生の「節目」の費用は一人150万円で、意外と変化なし?;人生の「節目」に関わるサービス業2業種の動き』
しかし、現代は「一日葬」や「火葬式(直葬)」など、さまざまな形のご葬儀が主流となってきているため、一概に予算が1,400,000円前後ともいえなくなってきました。次の項目では、執り行われる頻度が多くなってきた「家族葬」「一日葬」「火葬式(直送)」の3種類の平均費用について解説していきます。
家族葬とは、故人様のご家族やごく親しい近親者・友人・知人のみで行うご葬儀の形式のことです。ご葬儀の費用の平均は約600,000~1,000,000円となっています。
家族葬は、一般葬に比べて参列者の人数が少ないため、その分ご葬儀の費用が抑えられるといったメリットがあります。一方、ご葬儀に呼ばれなかった親族とのトラブルや、参列者が少ないために香典からの補填が見込めないといったデメリットも存在するため注意が必要です。
一日葬とは、お通夜を行わずに告別式のみ執り行うご葬儀です。費用の平均は300,000~1,000,000円ほどとなっています。
一日葬は、すべてが1日で終了するため、参列者の方も都合をつけやすいです。また、故人様を丁寧にお見送りできる、ご葬儀の費用を抑えられるといった点も大きなメリットです。ただし、参列者の人数によっては家族葬よりも費用がかかる場合があります。
火葬式(直葬)の場合、お通夜や告別式を行わず、火葬だけを行います。参列者を呼ばないため、費用の平均は200,000~500,000円と比較的安価で済みます。
費用面の負担が少ないこと、そして参列者がいないため喪主の負担が少ないといったことが火葬式の主なメリットです。一方、親族にきちんと連絡を入れないとトラブルが生じてしまうため、訃報のお知らせは忘れずに行いましょう。
ご葬儀の費用は、主に「ご葬儀そのものにかかる費用」「会食や接待にかかる費用」「僧侶に支払う費用」の3つで構成されています。各要素の内訳によってご葬儀の費用が変わるため、内訳の相場を把握しておいて損はありません。次の項目では、各内訳の内容と相場について解説していきます。
まずは、ご葬儀そのものにかかる費用の内容と内訳を見ていきましょう。
・ご遺体の搬送費
ご遺体を病院から安置所へ搬送するための費用です。搬送費は走行距離に応じて変わります。相場は、10kmまでが15,000~25,000円、以降は10kmごとに3,000~5,000円ほど追加されていきます。
・ご遺体の安置費用
ご葬儀までご遺体を安置しておくための費用も必要で、1日10,000円が目安といわれています。また、ご遺体を保管しておくために使うドライアイス代は1日8,000~10,000円ほどです。
・祭壇の費用
ご葬儀の費用の中で特に高額なのが祭壇の費用です。平均相場は300,000~1,000,000円ほどで、祭壇の種類によって費用は変わってきます。
・棺の費用
棺は素材やデザインによって値段が大きく変わり、相場は70,000~200,000円ほどです。素材や細部のデザインにこだわれば300,000円を超える場合もあります。
・骨壷の費用
骨壷の相場は10,000~50,000円ほどです。近年は骨壷の種類やデザインが豊富になってきているため、自身の生活環境に合わせたものを用意すると良いでしょう。
・遺影写真の費用
遺影写真の相場は10,000~30,000円ほどです。写真を加工するかどうか、額縁やリボンの種類などによって金額は変動します。
・供花の費用
祭壇の両脇にお供えするお花です。基本的には親族や関係者の方がお供えしてくれるため、喪主が費用を負担することはありません。ただし、地域によっては喪主が1つ用意する場合もあり、その際の相場は1基につき15,000~25,000円ほどです。
・葬儀場の会場使用料
ご葬儀会場の使用料は基本的に会場が広くなるほど料金が大きくなります。相場は100,000~200,000円ほどですが、公営の会場や近所の公民館を使用する場合はさらに安くなる可能性もあります。
・出棺車両(霊柩車)
ご遺体を会場から火葬場まで運搬する際には霊柩車を使うことになります。走行距離によって料金は異なりますが、費用相場は30,000~50,000円(10kmまで)ほどです。
・火葬費用
火葬の費用は地域によって異なります。相場は50,000~150,000円ほどですが、近隣に公営の火葬場があれば無料で利用できる場合もあります。
・ご葬儀の運営スタッフ費用
ご葬儀会場での案内や進行、各種手続きの代行に関する業務を行ってくれるスタッフの人件費もトータルのコストに含まれます。1人あたり10,000~30,000円ほどが相場となっています。
続いて、ご葬儀にかかる会食や接待費の相場について解説していきます。
・通夜振る舞い
通夜振る舞いとは、お通夜を執り行った後に参列者へ振る舞う食事のことです。費用は料理の内容や参列者の人数によって変わってきますが、一般的には1人あたり3,000~5,000円ほどです。
・精進落とし
精進落としとは、ご葬儀を終えた後に振る舞う食事のことです。通夜振る舞いと同じように、料理の内容や参列者の人数によって費用が異なります。費用は1人あたり4,000~8,000円ほどが一般的です。
・香典返しの費用
香典返しの相場は3,000~5,000円ほどです。本来は四十九日抱擁を済ませた後にお礼として送るものですが、昨今はご葬儀の当日に配る方が増えてきています。
最後に、僧侶に支払うお布施の内容について解説していきます。
・お布施
お布施とは、供養していただいたお礼として僧侶にお渡しする金銭です。100,000~200,000円ほどが相場とされています。ただし、地域や宗派、菩提寺との関係性によっては200,000円を超える場合もあります。
・御車代
御車代は、僧侶の交通費として包む金銭のことです。相場は5,000~10,000円ほどとされています。
・御膳料
御膳料は通夜振る舞いや精進落としに僧侶が出席しなかった場合にお渡しする金銭のことです。相場は10,000~20,000円といわれています。
ここまで解説してきたとおり、ご葬儀を執り行うためにはまとまった額のお金が必要です。故人様を心からお見送りしたい気持ちはあるものの、なるべくなら費用を抑えたいと思うのが心情です。以下の項目で、ご葬儀の費用を抑えるための方法を詳しく見ていきましょう。
まずは最寄りの役場で補助金制度が受けられるかどうか確認しましょう。特に補助金の額が大きいのは「葬祭扶助」であり、こちらは生活保護受給者のみ利用できる補助制度です。ご葬儀において、最大200,000円の補助が受けられます。
※地域によって異なります
また、生活保護受給者でなくても、健康保険から葬祭費や埋葬料が支給されます。自治体や保険の種類によって金額は異なりますが、支給額はおおよそ30,000~70,000円ほどです。
他にも、健康保険被保険者の扶養家族が亡くなった場合は、埋葬料として50,000円支給されます。ただし、火葬式(直葬)の場合は支給されないので注意が必要です。
市民葬・区民葬とは、自治体と葬儀社が市民や区民向けに提供しているサービスです。簡素ではありますが、最低限のご葬儀が通常より安価に執り行えます。なお、費用は自治体によって異なります。
ご葬儀までに余裕がある場合は、複数の葬儀社で相見積もりを取ると良いでしょう。相見積もりを依頼する際は、希望するプランにどのような内容が含まれているのかをしっかり把握しておくのが大切です。
葬儀社の中には、ご葬儀を格安の値段で提供しているところも少なくありません。そのような会社がすべて悪いとはいえませんが、格安プランを選択したばかりにトラブルへ発展したといったケースは後を絶ちません。
たとえば、「返礼品や料理・飲料などの料金がプランに含まれてなく追加料金を取られてしまった」「見積もりの費用と実際の請求金額に大きな差があった」などのトラブルが多く聞かれます。大切な方のご葬儀で後悔しないためにも、慎重に検討してから依頼する業者を決めるようにしてください。
ご葬儀の費用相場はおおよそ1,400,000円前後です。しかし、どのような葬儀プランを選ぶかによって金額は大きく変わってきます。ご葬儀の内容を決める際は、どのようなサービスにいくらかかるのか、平均的な金額を把握しておくと判断がしやすくなるので、どのプランにするのか迷ってしまったときは信頼できる業者に相談することをおすすめします。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
故人様が亡くなられた時に、ご遺族は通夜やご葬儀、告別式に火葬など、さまざまな儀式を経なければならない局面に立たされることでしょう。しかしながら、ご葬儀の費用は決して安くないため、故人様に対する哀悼の意はあっても、費用が捻出できず大変な思いをする方もいらっしゃるかもしれません。
ご葬儀に参列していただいた方にお渡しする品を「返礼品」と呼びます。返礼品を指す言葉として「会葬御礼」「香典返し」がよく使われますが、実は別の意味を持つ言葉ということをご存じでしょうか。今回は、会葬御礼と香典返しの違いについて解説していきますので、双方の違いが分からないという方は参考にしてみてください。