2022-05-13
仏教を信仰している方であれば、誰しも一度は「檀家(だんか)」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。何気なく聞いている言葉ですが、檀家とは実際どのようなものなのでしょうか。
本記事では檀家という制度や、檀家でいることのメリットや注意点を分かりやすく解説していきます。
檀家とはどのような制度なのか分かりやすく解説していきます。檀家とは、簡単にいうと墓地の管理やご葬儀・法要を優先に執り行ってもらう代わりに、寺院を経済的に支援する家のことです。
檀家は個人ではなく「家」単位で契約するものなので、例えば祖母が檀家になった場合はその子どもや孫も檀家ということになります。また、「檀家」という呼び方は宗派によって異なり、例えば浄土真宗では「檀家」ではなく「門徒(もんと)」と呼びます。
「檀家」の語源は、インドのサンスクリット語の「ダーナ(お布施・施し)」で、「ダーナ」という音の当て字から「檀家」という言葉が作られました。そして、檀家が所属する寺院を「菩提寺」と呼びます。
「ダーナ」が語源であるから、仏教の発祥地インドでも同じような制度があるかというと、そういうわけでもありません。実は「檀家制度」というのは日本独自の制度なのです。
檀家制度が日本で初めて制定されたのは江戸時代です。幕府がキリスト教を禁止する目的で発令した「寺請制度(てらうけせいど)」によって、民衆は必ずどこかの寺院に所属しなければならないという義務が発生しました。
これにより寺院は檀家を管理するために「檀家帳」というものを作成するようになりました。この檀家帳が当時の戸籍の代わりになっていました。しかし、明治時代に寺請制度が廃止されたのをきっかけに、元来の檀家制度は崩れていき、現代のような檀家制度へと変化していきました。
檀家には大きく3つのメリットが存在します。それが「繁忙期に優先してもらえる」「菩提寺の住職に仏事に関して相談できる」「ご葬儀の際に慌てて寺院を探す必要がない」という点です。次の項目ではこれら3つのメリットについて解説していきます。
檀家であるメリットの1つ目は、「繁忙期に優先してもらえる」という点です。例えば、お盆やお彼岸などの繁忙期は法要の依頼が多くなります。しかし僧侶の人数は限られているため、すべての希望が通るわけではありません。このようなときも、檀家であれば優先して対応してもらえる場合が多いです。
檀家のメリットの2つ目にあげられるのが、「菩提寺の住職に仏事に関して相談できる」という点です。ご葬儀や法要など、仏事に関して困ったことや不明なことがあったときに、菩提寺に相談できるのが檀家のメリットです。
メリットの3つ目は、「ご葬儀の際に慌てて寺院を探す必要がない」という点です。檀家はご葬儀などを執り行う際に、もろもろの準備を菩提寺に依頼できます。例えば、卒塔婆(そとば)の準備や法要会場の確保などです。そのため、急な不幸があった際も慌てて寺院を探す必要がありません。
檀家であることは、メリットばかりではありません。もちろん注意しなくてはならない点も存在します。代表的なものが、「金銭的な負担がかかる」「寺院のルールに縛られる」の2つです。
檀家である際の注意点として、「金銭的な負担」があげられます。例えば、入檀する際には「入檀料」が必要となり、継続的に「お布施」も支払わなくてはいけません。
檀家であれば、お布施を包まなければならない機会が多いです。例えば、月命日や年忌法要、その他にも僧侶に読経をしてもらったときには、お布施を包むのがマナーとなります。
お布施のあり方は菩提寺によってさまざまです。しかし、すべてが無料という菩提寺は存在しません。
檀家は所属している菩提寺のルールに従わなければならない場合が多いです。
例えば、戒名を授かる場合にも、お布施が必要です。僧侶が付けた戒名は変更できないので、自分で好きなように戒名を変更することはできません。
他にも、檀家は菩提寺で法要やご葬儀を執り行わなければならないという暗黙のルールがあるため、他の寺院で法要を執り行うのは難しくなります。
檀家にはお布施の他にもさまざまな金銭的負担が発生します。次の項目では、檀家が負担する費用の代表的な内訳について解説していきます。
入檀料とは、檀家になるときに必要になる費用です。入檀するには「檀家契約書」「墓地契約書」を取り交わし、入檀料を支払います。相場は100,000円〜300,000円といわれており、入檀するときの1回にだけ必要な費用です。
お布施とは、檀家が継続して菩提寺にお渡しする費用です。基本的には読経してもらったときにお渡しするものになります。相場は300,000円〜500,000円とされており、法要の場合の相場は30,000円〜50,000円程です。他にもお盆や彼岸、月命日などでもお布施が必要となる場合が多いです。
その他にも、彼岸会や盂蘭盆会(うらぼんえ)、施餓鬼会(せがきえ)などの菩提寺が開催する法要に参列した場合はお布施が必要になります。
寺院を維持するための寄付も檀家が負担する費用です。どのような場合に寄付が求められるのかというと、墓所の維持管理や寺院の修繕・改修・建替を行うときです。
他にも、維持管理費として年間5,000〜20,000円が必要になる場合もあります。維持管理費とは、お墓の清掃や墓地の管理のための費用です。金額は「2口2万円」「1口1万円」など、金額があらかじめ決まっている場合もあります。
檀家とは、墓地の管理や法事を優先的に行ってもらう代わりに、費用面で寺院をサポートする家を指します。さまざまなメリットを受けられる一方、費用的な面などで負担が発生するのが檀家制度です。
檀家は「家」単位で入るものであるため、自分の家が檀家であるかどうかを知らない方もいらっしゃいます。もちろん、檀家を辞めることも可能です。檀家になるには「入檀」と呼ばれる契約を結び、辞めるときには「離壇」することで契約を破棄できます。
現在の檀家制度では過去のような強制力はなく、各々の家庭が自由に選択することができます。檀家になるのか、続けるのか、辞めるのか、寺院との付き合い方はそれぞれの環境や今後のことをしっかりと考えて決めるようにしましょう。
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