2021-09-24
法事・法要を執り行った後に、お斎と呼ばれる会食を行うことが多いと思いますが、社会情勢や時間的な都合などによっては、お斎を執り行わないこともあります。しかし、法事・法要に参列していただいた方をもてなすお斎を執り行わなくても問題はないのでしょうか。また、実際に執り行わない場合にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
そこで今回は、お斎を執り行い場合のマナーやその際の代わりの方法などについてご紹介します。
法事・法要を執り行った後に、施主が設ける会食のことを「お斎(とき)」と言います。お斎は、法事・法要でお経をあげていただいた司式者や参列していただいた方々に食事を振る舞い、故人様との思い出を語らいながら故人様を偲ぶ大切な時間になります。また、司式者や参列していただいた方々へのお礼を形とした食事の場でもあります。
ただし、お斎に関しては、必ずしも執り行わなければいけないというものではなく、近年では社会情勢や時間的な都合、身内だけで法事・法要を執り行うといったことからお斎を執り行わないということもあります。
なお、お斎の意味やマナーなどについては以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。
オススメ関連記事
お斎とは何?お斎の意味やのほか、お出しする料理や席次・席順などのマナー
ご葬儀や法事・法要などの仏事では普段あまり聞き馴染みがない言葉も多くあります。法事・法要にあたって行う会食である「お...
ご葬儀や法事・法要などの仏事では普段あまり聞き...
続きを読むお斎は単なる食事ではなく、故人様を偲ぶために執り行う大切な儀式の1つです。時にはお斎を執り行わないという選択も必要になりますが、お斎を執り行わないことに対して疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。そのため、お斎を執り行わない場合であっても、気持ちよく法事・法要に参列していただけるように配慮するのが大切です。以下では、お斎を執り行わない場合のマナーをいくつかまとめましたので、ご参照ください。
お斎を執り行わないということは、法事・法要の日程をご案内する際にはすでに決まっていることがほとんどです。そのため、お斎を執り行わないということが決まっている場合には、案内状にその旨を明記しておきましょう。
もし、案内状を送った後に急遽お斎を執り行わないことが決まった場合には、電話や口頭、メールなどで参列者の方々にお伝えしましょう。
法事・法要では、施主が度々挨拶を行います。お斎を執り行わない場合には、法事・法要で最後に施主が挨拶する時に、その旨をお伝えするようにしましょう。以下では、その際の文例もご紹介します。なお、施主は挨拶の後、参列していただいた方々全員が会場を後にするまでお見送りをするようにしましょう。
本日は、ご多用中にも関わらず亡き父の○忌にお集まりいただき、誠にありがとうございました。
皆様のおかげで、無事に法要を執り行うことができました。
本来ならば、食事の席を設けるところではありますが、遠方よりお越しいただいている方も多くいらっしゃるため、ここでお開きとさせていただきます。
なお、返礼品と折詰をご用意しております。お忘れなきようお持ち帰りくださいませ。
この度はありがとうございました。
お斎を執り行わない場合、お斎でお出しする料理の代わりとして「持ち帰り用の仕出し弁当」を用意するのもよいでしょう。
仕出し弁当の予算については、香典を辞退しないようであればそちらの金額も考慮して、お斎を執り行う際と同程度の金額の弁当を用意するようにしましょう。なお、弁当を用意する場合の案内状には以下のように書いておくとよいでしょう。
なお、法要後の会食のお席は設けておりませんが、ささやかながら折詰をご用意しております。お持ち帰りいただければ幸いに存じます。
弁当のほかにも、返礼品をお渡しするのも1つです。通常の返礼品に加えて、もう一品添えることで、お斎の代わりとすることが列席していただいた方々に伝わるでしょう。
その際の品物としては、日持ちのする「うどん(乾麺)」や「パウンドケーキ」「洗剤」といった消え物がよいとされています。それ以外にも、受け取られた方が自由に品物を選べる「カタログギフト」もよいでしょう。
基本的に法事・法要における香典には、お斎の代金も含まれているとされています。そのため、お斎を執り行わない場合には香典を辞退することも考えておきましょう。もし、お斎を執り行わないために香典を辞退する場合には、案内状に以下のような文章を添えておくとよいでしょう。
なお、法要後の会食のお席は設けておりません。お香典のお気遣いはご辞退させていただきます。
列席していただく方々と同様に、司式者にもお斎を執り行わない旨を伝えなくてはいけません。なお、お斎を執り行わない場合には、「御膳料(おぜんりょう)」を司式者に包んでお渡しします(司式者がお斎に出席されなかった時にもお渡しします)。
御膳料の目安については、宗派や地域によって違ってきますが、大体5,000~10,000円とされています。心配な方は事前にご親族やお寺に確認しておくとよいでしょう。
また、御膳料を包む封筒については、郵便番号を記入する欄がない白無地の封筒を用いましょう。封筒の表面に「御膳料」と記載してその下に施主の名前、裏面の左下に住所と金額を書きましょう。二重封筒は不幸が重なることを連想させてしまうため、使用を避けます。
御膳料をお渡しするタイミングとしては、司式者がお帰りになる時が好ましいとされています。その際には、以下のような一言を添えてお渡しするとよいでしょう。
本日は、亡き父のためにご供養いただきありがとうございました。どうぞお納めくださいませ。
御膳料をお渡しする際は、お布施をお渡しする時と同様に袱紗や切手盆を用いて、手渡しするようことが無いようにしましょう。ちなみに、お布施をお渡しする際のマナーなどについては、以下の記事で詳しく取り上げておりますので、ご参照ください。
オススメ関連記事
お布施のマナーや注意点とは?包む袋や封筒についても解説
ご葬儀や法事・法要などの際に「お布施」を司式者に納める機会は、そう頻繁にあるものではありません。お布施を納める際に失...
ご葬儀や法事・法要などの際に「お布施」を司式者...
続きを読むお斎は故人様を偲ぶ大切な儀式の1つになります。お斎を執り行わないという決定をされても問題はありませんが、少人数でもできればお斎を執り行うのがよいでしょう。ご親族との付き合いは、法事・法要以降も長く続きます。お互い気持ちのよい関係を保つためにも大切な配慮と言えます。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
お彼岸の時期になると、お墓参りへ向かう方が多くなります。これは日本における古くからの習わしで、主な目的はご先祖様や故人様のご供養です。ただし、お彼岸での鎮魂方法はお墓参りだけに留まらず、僧侶を招いた法要が執り行われることもあります。 そこで当記事では、お彼岸の意味や法要に関する香典のマナーについてご紹介いたします。
日本には、ご先祖様や故人様の御霊を慰めるためのお彼岸という慣習があります。あの世とこの世が最も近づくと伝えられている日に、お仏壇を清めてお供えし、お墓参りに出向いて法要を執り行うことによって、御霊のご供養をする期間です。 ここでは、お彼岸に行われる法要の意味や種類、僧侶に対するお布施の相場とお渡しする際のマナー、参列時の服装についてお伝えいたします。
夏本番を迎えてお盆が過ぎると、次にやってくるのは秋のお彼岸です。お彼岸といえばあの世とこの世が最も近づく時期とされており、ご先祖様に対するご供養でお墓参りへ向かう方も多いです。 そのような中で、もしも彼岸会(ひがんえ)へ参列したり、自宅に僧侶を招き読経をお願いしたりする場合、お布施の総額はどのくらいになるのかと悩む方もいらっしゃるでしょう。当記事では、さまざまなお彼岸の迎え方やお布施のマナーを詳しく解説していきます。