2021-09-16
ご葬儀や法事・法要などの仏事では普段あまり聞き馴染みがない言葉も多くあります。法事・法要にあたって行う会食である「お斎(とき)」もその1つだと思います。故人様を供養する年忌法要を執り行う際によく使用する言葉ですので、しっかりと意味やマナーを理解して備えておきたいものです。
そこで今回は、お斎の意味やマナー、その際の挨拶などについてご紹介します。
「お斎(とき)」とは、法要の後に施主が法要に参列していただいた方々を招待して行う会食のことを指します。司式者や参列者に対して感謝の思いを示すための席であると同時に、故人様との思い出を語り合うことで故人様を偲ぶという目的もあります。
お斎で使用している「斎」という字は、「斎食(さいじき)」という仏教の用語が由来とされています。「斎食(さいじき)」は、正午や決まった時間にとる食事のことを指していますが、法要を執り行った際の食事という意味も含んでいます。
お斎で出す料理は、正式なものとしては豆腐や山菜の天ぷらといった「精進料理」になりますが、近年ではそのような形式へのこだわりはなくなり、仕出し弁当やホテルでの会食などのように参列していただいた方々に合わせたスタイルが増えてきました。
ただし、お斎の際には不向きとされている食材があるため、注意が必要です。以前よりかは厳しくはなくなりましたが、以下ではそれら不向きな食材に関してまとめましたので、ご参照ください。
本来は四十九日法要が執り行われるまでは殺生が禁じられているために、肉や魚を使用した料理は避けなくてはいけません。しかし、現在では肉や魚に関してはメインでなければお斎の料理として出しても問題ないとされています。ご心配な方は、事前にご親族の年長者に確認しておくとよいでしょう。
先に取り上げた肉や魚に関してはメインでなければ問題ないとされていますが、それらの中でも鯛や伊勢海老などのお祝いの席で出されるような華やかな印象を与える料理は、故人様を偲ぶお斎の料理としては適していません。そのため、ホテルや料亭などに料理を頼む際は注意しましょう。
お斎の席も、ご葬儀や法事・法要と同様に席次や席順を決めなくてはいけません。まず、お経をあげていただいた司式者は、上座の中でも最も故人様に近い席にお座りいただきます。施主は、お世話になった司式者と会話ができるように、司式者の隣に座ります。次の席以降に関しては、ご親族以外の参列者の方々にお座りいただき、ご親族に関しは末席にお座りいただきます。
お斎の席は、あくまでご参列いただいた方々をもてなす席ですので、司式者と施主以外については、故人様と関係が近い方であればあるほど下座にお座りいただくこととなります。なお、司式者がお斎に出席されない場合には、ご親族以外の席に特に決まりはありませんので、参列していただいた方々が話しやすいように配慮した上で座っていただきましょう。
お斎は、法事・法要の後に執り行われるため、その時の服装のままで参列されることがほとんどです。しかし、施主やご親族がそのままでは、参列していただいた方々も服装が崩しにくいため、施主やご親族が上着を脱いだり、きちんとした服装であれば平服に着替えても問題はないでしょう。お斎ではあくまで参列していただいた方々をもてなし、故人様の思い出を話しやすくしていただくために配慮するのが大切です。
お斎の席では、開始時と終了時に施主からの挨拶があります。以下では、お斎の開始時と終了時の挨拶の文例をまとめましので、ご参照ください。
故人の長男の○○でございます。
本日は皆様お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
おかげ様で、法要も滞りなく終えることができ、父も安心していることと存じます。
本日は、皆様と故人の思い出を語らいながら、冥福を祈りたいと思っております。
それでは、献杯のご唱和お願いいたします。献杯。
ありがとうございました。それではどうぞお食事をお召し上がりください。
皆様、この度はご多忙のところ、最後までおつき合いいただきましてありがとうございました。
以上をもちまして、お開きとさせていただきたいと存じます。
今後とも、どうか変わらぬご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
近年の社会的情勢もあり、法事・法要の後にお斎を執り行わないということも珍しくなくなりました。もし、ご家庭の状況や社会情勢を鑑みてお斎を執り行わない場合には、その旨を法要のお知らせと共にお伝えするようにしましょう。お斎は必ず執り行われると考えられている方もいらっしゃるため、丁寧に対応しなければいけません。
なお、お斎を執り行わない場合には、食事の代わりとして予算内で仕出し弁当や乾物などをお渡しするなどするとよいでしょう。
法事・法要の後に執り行われるお斎は、故人様を偲び、参列していただいた方々をもてなす大切な場になります。施主としてつつがなくお斎を執り行うためにも、事前にお斎に関して理解しておくとよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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