2021-05-24
ご葬儀のあり方や考え方が時代と共に徐々に移り変わってきたのと同様に、法事・法要のあり方や考え方も変わってきました。その最たるものが「繰り上げ法要」になります。ご会葬者の都合などを配慮して執り行われますが、「繰り上げても大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、繰り上げ法要の意味やその流れ、繰り上げ法要を執り行う際の注意点などについてご紹介します。
繰り上げ法要は、簡単に言うと「法要を執り行う日程をずらして、本来よりも早いタイミングで執り行うこと」を言います。この場合の法要は特に断りがない限り、「初七日法要」を指すのが一般的です(なお、四十九日法要も繰り上げ法要で執り行うこともあります)。そのため、この記事において特に断りがない限りは「初七日法要=ご葬儀当日に初七日法要を執り行うこと」として使用していきます。
本来、故人様の命日を1日目とし、数えて7日目に法要を執り行われてきました。これを「初七日法要」と言います。しかし、近年では仕事が忙しくて休めなかったり、ご家族・ご親族が遠方に住んでいるなどの理由から何度も一堂に会することが難しいために、ご葬儀の日に繰り上げ法要を執り行われることが増えてきました。
繰り上げ法要には2種類あり、「式中初七日(繰り込み初七日)」と「戻り初七日(繰り上げ初七日)」になります。どちらもご葬儀の当日に執り行われますが、やり方やタイミングに違いがありますので、注意しましょう。
式中初七日は、ご葬儀の流れの中で法要を執り行う方法になります。繰り込み初七日とも呼ばれ、ご葬儀に続いて法要を執り行って、その後に出棺と火葬を執り行うという流れになります。
ご葬儀の流れの中で法要を執り行えば、改めて会場を押さえる必要がない上に、繰り上げ法要の流れも葬儀社に相談できるため、初七日法要を執り行いたくてもご遺族だけではてが回らないという場合には非常にありがたい法要になります。
なお、葬儀社や寺院によっては、火葬の前に初七日法要を執り行わない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
<式中初七日の流れ>
・ご葬儀
・初七日法要
・出棺
・火葬
・会食(精進落とし)
戻り初七日は、ご葬儀から火葬までは一般的な流れで執り行いますが、火葬を執り行ったらご遺骨と共に葬儀会場に戻って改めて法要を執り行う方法になります。繰り上げ初七日とも呼ばれ、繰り上げ法要とは一般的にこの戻り初七日を指します。故人様のご遺骨を迎えてから執り行うということからも、本来の初七日に近いものと言えます。
葬儀会場と火葬場を行き来しなくてはいけませんが、火葬を執り行っている間に法要や会食の準備を行えるため、ご遺族の負担が少なくなるほか、遠方にお住まい方も参列しやすいという点からも、戻り初七日を選ばれる方が増えています。
<戻り初七日>
・ご葬儀
・出棺
・火葬
・初七日法要
・会食(精進落とし)
近年、繰り上げ法要を執り行われる方が増えてきましたが、地域によってはまだ馴染みが薄いこともありますので注意しましょう。以下では、繰り上げ法要を執り行う際にどのようなことに注意すればよいのかについてまとめましたのでご参照ください。
繰り上げ法要を執り行われる方が近年増えてきているとは言え、まだ法要を繰り上げることに対して抵抗を覚える方ももちろんいらっしゃいます。そのため、繰り上げ法要を検討されている場合には、ご家族やご親族に事前に相談をされるのをおすすめします。
周囲の方の状況や理解も考慮した上で、お互いが納得いく形で話を進めていきましょう。
初七日法要は、仏教の教えに則った大切な法要になります。そのため、繰り上げ法要を執り行う場合には、必ず事前に司式者にお伺いを立てるようにしましょう。お伺いを立てずに決めてしまうと、寺院や司式者に受け入れてもらえないこともあります。まずは「繰り上げ法要を執り行いたい」とお伝えし、寺院や司式者の理解を得られた後に葬儀社に依頼しましょう。
繰り上げ法要は、ご葬儀を依頼した葬儀社によってその対応が異なることがあります。特に式中初七日を執り行う場合、一般的なご葬儀の流れとは違ったかたちで進めていかなくてはいけません。そのため、葬儀社の担当者とできるだけ細かく打ち合わせを行い、滞りなく繰り上げ法要を執り行えるように準備しましょう。
地域によっては、繰り上げ法要に対してあまりよいことと受け取られないこともありますので、お住いの地域の慣習を確認しておくとよいでしょう。その際、地域の習わしについても確認しておくと、地域の方々に失礼のない対応ができます。
繰り上げ法要は冒頭で触れたように、近年のご葬儀や法事・法要に対するあり方・考え方、ライフスタイルの変化などによって繰り上げ法要を執り行われる方が増えてきました。ご遺族にとっても参列される方にとってもメリットが大きいのですが、人や地域によって理解度が異なるほか、寺院や司式者よっては繰り上げ法要を受け入れられないこともあります。後悔なく故人様をお送りするためにも、事前に必ず関係する方々と相談をしてからどうするかを決めるようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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