2021-05-14
2020年、65歳以上の高齢者が総人口の28.7%(3617万人)となり、超高齢化社会に突入している日本。医療の進歩と共に平均寿命が延びている今、増えてきているのが「老衰死」になります。ご高齢者ご本人やご高齢のご家族と生活されている方の中には、老衰死に備えて準備をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそも老衰死とはどういう状態なのか、事前に備えておきたいことなどについてご紹介します。
老衰死とは、加齢に伴う様々な心身の衰弱によって自然に亡くなることを言います。
年齢を経るにしたがって細胞は徐々に寿命を迎えていき、やがて細胞分裂による再生が次第に行われなくなっていきます。そして同時に、代謝機能の低下から異常なたんぱく質が作られるようになり、臓器や筋肉の働きに衰えや異状が増えていきます。また、特殊な免疫物質が老化した細胞から分泌されて周囲の細胞に働きかけることで、周辺の細胞の老化も促され、全身の細胞や臓器が炎症を起こしている状態になります。
上記のようなことが要因となり、日常生活において今まで当たり前にできていたことが難しくなるだけでなく、食事をしても栄養を吸収しにくくなるために、全身のあらゆる機能がさらに弱っていきます。そして次第に生命活動の維持ができなくなっていくことで死を迎えることになります。
厚生労働省は『死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル』において、死因としての老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ」と定義していますが、何歳以上の方が亡くなられた場合、老衰死というのかに関しては細かい定義はありません。
そのため、死因として何歳以上の方が亡くなられたら老衰死とされるのかについては、医師によって意見が分かれており、実際に医師を対象にした調査において「90歳以上を老衰とする」という回答が多くなったという結果もあるようです。
また、厚生労働省が発行した『令和元年簡易生命表』では、2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳となっています。そのため、平均寿命を超えた高齢者が病気をかかえていない状況で亡くなられた場合において老衰とする医師もいらっしゃるようです。
老衰の兆候がまずあらわれる症状としては、握力の低下・歩行速度の低下・転倒しやすくなるなどの筋力の低下が挙げられます。その他にも、内臓器官の機能も衰えていくため、循環器や呼吸器に関するトラブルが増えたり、食事をしても栄養が吸収されにくくなることで急激な体重の減少が見られることがあります。
老衰がさらに進行すると、それまでと同じ食事をとること自体が難しくなります。また、脳機能の低下などから意識を保つことが難しくなることもあります。そして次第に1日のほとんど寝て過ごすようになっていきます。
このように「体重の極端な減少」「食事の量の減少」「1日のほとんどを寝ている」などの状態が続くようであれば、近く老衰を迎えるという心構えや準備を整えるのがよいでしょう。
大切なご家族に老衰の前兆が見られた場合、最期を迎えるための備えをしましょう。備えを怠ってしまうと、いざという時に適切な行動がとれなくなってしまいます。そのため、感謝を表すためにも早めの準備が重要です。
以下では老衰死に備えて事前にやるべきことをまとめさせていただきましたので、ご参照ください。
老衰の進行度は人により様々ですが、食事をとられなくなってから1週間程度で死を迎えてしまうことが多いとされています。突然死と異なり、老衰死は最期を迎えるための時間が残されています。
しかし、いざ現実に直面してしまうとあっという間に時間が過ぎてしまうでしょう。そのため、本人の意識レベルが低下してしまう前に、感謝の気持ちや楽しかった思い出、わだかまりへの謝罪など、伝えたいことは早めに伝えましょう。
ご本人の体調が悪化してしまった場合、ご家族がご本人に代わって判断をしなくてはいけません。ご本人の意思を理解するためにも延命治療などに関しては事前に話し合っておきましょう。
そのため、老衰の予兆が見られたら、早い段階で延命治療などの考えを尋ねておきましょう。ご本人の意思をくみ取るための備えが大切です。
安心して最期を迎えるためには、ご本人の要望や意見の確認が大切です。ご本人がどのような最期を迎えたいのか、話し合いの機会を作るようにしましょう。
・最期を過ごす場所
・意思表明が難しい場合の判断方法
ご本人の意思を尊重したご葬儀にするためにも、事前に尋ねておくことが大切です。ご自身の体調や環境の変化などによってご本人のご希望が変化する場合もあります。そのため、1回だけでなく、定期的な話し合いの機会を設けましょう。ご本人が周囲にお願いしたいことを明確にしておけば最期の時間を穏やかに過ごすことができるでしょう。
医療の発達によって高齢化が進んだ現代では、どうやって安らかな最期を迎えるのかという関心は、より一層の高まりを見せています。大切なご家族のお見送りの形や費用などの悩みや疑問がありましたら、お気軽にセレモニーまでお問い合わせください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。