2021-05-07
大切なご家族を亡くされ深い悲しみの中にあったとしても、ご遺族にはやらなければいけない手続きや届け出がいくつもあります。中には期限が法的に定められているものもあるため、速やかに対応しなくては後々問題が生じてしまうことも。
そこで今回は、大切なご家族が亡くなられてしまった後にやらなければいけない各種手続きや届け出についてご紹介します。
・期 限:7日以内(国外で亡くなられた場合は3カ月以内)
・提出先:本籍地または死亡地、届出人の所在地のいずれかの市町村の役所
・提出するもの:死亡診断書または死体検案書と届出人の印鑑
死亡届は、市町村の役所に死亡の事実を届け出る行政手続きになります。死亡届が受理されると、公的な処理として戸籍から除籍や住民登録の抹消などが行われます。
死亡届は、死亡診断書または死体検案書が記入されている状態で市町村の役所に提出する必要があり、国内で亡くなられた場合は死亡の事実を知った日から7日以内、国外で亡くなられた場合は死亡の事実を知った日から3カ月以内に提出しなければいけません。
なお、死亡届の提出は、ご遺族が市町村の役所に提出することは最近では少なく、ご葬儀を依頼する葬儀社に代行してもらうのが多いようです。ただし、死亡届の記入自体はご遺族がされる必要があるのと、届出人に関してはご親族やご親族以外の同居人、後見人などがその対象となります。
・期 限:火葬する前
・提出先:死亡届を受理した市町村の役所
・提出するもの:火葬許可申請書
火葬許可証は、火葬を執り行う際やご遺骨をお墓に納める際に必要になる書類になります。市町村の役所に死亡届を提出すると火葬許可証が交付されます(自治体によっては「埋火葬許可証」というところもあります)。
死亡届と同様に、火葬許可証の受領のほか、火葬場の係員への提出もご葬儀を依頼する葬儀社に代行してもらうのが最近では多いのですが、その際には死亡届に押印している印鑑が必要になります。また、外国人の方の場合は「外国人登録証明書」の返還が必要になります。
火葬場の係員に提出された火葬許可証は、火葬が執り行われた後に火葬済みであることを証明する記載がされてご遺族のもとに戻されます。そして、お墓にご遺骨を納める際に火葬済みの記載がされた火葬許可証は墓地や霊園の管理者に提出することになります。
・期 限:14日以内
・提出先:市町村の役所(医療保険課)
・提出するもの:資格喪失届と保険証、死亡の事実が分かる資料
日本では「国民皆保険制度」を敷いているため、亡くなられた際には資格喪失の届け出と保険証の返還が必要になります。なお、健康保険高齢受給者証が交付されている方であればそちらも返還する必要があります。
自営業者や年金暮らしをされている方などが公民健康保険に加入されていた場合、届け出や返還を14日以内に行わなければなりません。なお、故人様が会社員の場合は、事業主が5日以内に資格喪失の連絡をしなくてはいけないため、死亡の事実を知ったら速やかに会社に通知しましょう。
なお、国民健康保険は世帯ごとに加入することになっているため、世帯主が亡くなられた際に同一世帯となっている方がいらっしゃれば、世帯主を変更し、健康保険の手続きを行いましょう。
・期 限:14日以内
・提出先:市町村の役所(年金課など)または年金事務所
・提出するもの:所定の資格喪失届、年金受給権者死亡届(報告書)、年金証書、死亡の事実が分かる資料など
年金の受給者が亡くなられた場合、当然のことながら年金の受給資格がなくなります。そのため、年金の受給権者が亡くなられたら、ご遺族は10日以内(国民年金は14日以内)に受給権者死亡届(報告書)の手続きをしなくてはいけません。
受給権者死亡届(報告書)には、年金証書や死亡の事実が分かる資料などを添付する必要があります。ただし、年金事務所にマイナンバーが登録されている場合は、この受給権者死亡届(報告書)の手続きが原則不要となっています。
なお、故人様が会社に勤めており厚生年金の受給権者の場合、事業主は5日以内に「厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出しなくてはいけません。
・期 限:14日以内
・提出先:市町村の役所(戸籍・住民登録窓口)
・提出するもの:住民異動届
亡くなられた方が世帯主であり、同一世帯に亡くなられた方を含めて3人以上の方が同居されていた場合、残られた方が今後も同世帯に居住されるようであれば世帯主の変更手続きが必要になります。
ただし、同一世帯に亡くなられた方を含めて2人で同居されており、残った1人が今後も同世帯に居住を続けられる場合、自動的に残った方が世帯主に変更されますので、世帯主変更の手続きは必要ないのが一般的です。しかし、自治体によっては異なることがありますので、お住いの市町村の役所に確認しておくとよいでしょう。
・期 限:死亡届出の提出後、必要な時期に
・提出先:市町村の役所(戸籍・住民登録窓口)
・提出するもの:役所の所定の申請書
亡くなられた方が住民基本台帳に記録されていた場合、その方の住民票を消除しなくてはいけません。消除すると言っても廃棄するわけではなく、「住民票の除票」という資料を保管します。
住民票の除票は死亡の事実を公的に証明するものですが、死亡の事実の証明であれば戸籍謄本にも亡くなられた年月日が記載されるため、戸籍謄本で事足りることが多いです。しかし、金融機関や保険会社などでは住民票の除票も提出することを求められる場合があります。
死亡保険金とは、死亡保障がついた生命保険に加入されている場合、被保険者が亡くなられた時に受取人に支給されるお金を指します。
よく死亡保険のことを指す際に生命保険という言葉が使用されることがあり、混同される方も多いと思いますが、正しくは死亡保険は生命保険の一種で、生命保険が「人の生死に関連してお金(保険金)が支払われる保険」に対し、死亡保険は「人が亡くなられたことによってお金(保険金)が支払われる保険」になります。
死亡保険金の請求は、亡くなられた時から3年以内と期限が法律で決められています(かんぽ生命のみ期限が5年)。死亡保険金は請求しないと受け取れず、相続にも関係してきますので、早めに手続きをしておきましょう。
故人様名義で電気・水道・ガスなどの提供事業者と契約をしていた場合、残されたご家族が引き続き同じ事業者を利用されるようであれば、各事業者で名義変更の手続きを行いましょう。
なお、故人様の預金口座から料金を振り替えていた場合、支払い口座を変更するために預金口座振替依頼書の手続きも行いましょう。
車検証の名義が故人様になっている場合、他の方が車両を相続して使用されるのであれば車検証の名義変更(所有者の変更)が必要になります。名義変更の手続き窓口については、普通自動車であれば運輸支局、軽自動車であれば軽自動車検査協会となります。
名義変更の手続きでは、死亡診断書などの死亡の事実を確認できる資料、遺産分割協議書、自動車検査証などの多くの書類を用意しなくてはならないほか、普通自動車か軽自動車かで必要な書類も異なります。そのため、事前に各窓口に確認しておくと安心です。
土地や家などの不動産を相続することになった場合、不動産の名義変更として「所有権の移転登記」をしなくてはいけません。
移転登記については地方法務局で行います。移転登記に関しては期限が設けられているわけではありませんが、抵当権や税金など不都合が生じてしまうことも考えられますので、相続が確定し次第、早めに名義変更するようにしましょう。
故人様が株式を所有されていた場合、証券会社に名義変更を依頼しましょう。株式の名義変更には期限はありませんが、名義変更を行っていないと株式の売却ができませんし、相続税の対応で手間がかかってしまうため、株式の相続が決まったらなるべく早急に手続きを行うようにしましょう。
なお、株式を受け継がれる方が証券口座を開設していない場合には、新しく口座開設の手続きが必要になります。また、故人様が所有されていた株式が非上場企業であった場合、株式の名簿管理会社またはそれぞれの会社で手続きを行います。
大切なご家族が亡くされた後に行う手続きや届け出は多岐にわたるため、全てをお一人で行うのは非常に大変です。そのため、時には専門家を頼ることも1つの選択肢にするのをおすすめします。
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