2022-07-08
喪主は、ご葬儀を執り行う上で、とても重要な役割を担っています。
元来は故人様が遺言で指定した方か、指定がなければ配偶者、配偶者がいなければ長男や長女が喪主を務めるのが一般的でした。少子化の現代では、そのような風潮が薄れてきており、血縁者でなくても喪主を務める方が増えています。
そもそも、喪主が一体どのような役割を担っているのか知らない方が多いのも事実です。人の不幸というのはいつどのようなタイミングで起こるか分かりません。本記事では、いざというときに慌てることがないよう、喪主が行うべき事柄を時系列順で解説します。
故人様がご逝去されてからご葬儀までに喪主が行う事柄は、以下のとおりです。それぞれの詳細については次の項目で解説していきます。
①葬儀社を決める
②ご遺体を安置する
③葬儀社と打ち合わせる
④訃報を作成する
⑤ご遺体を清め納棺する
故人様がご逝去された後、初めに行わなければならないのが、ご葬儀を執り行う葬儀社を決めることです。事前に決めていれば一番いいのですが、そうでない方はできるだけ早めに選ぶようにしまよう。ご逝去後3時間以内が一番望ましいです。
葬儀社を選ぶときに留意したい点は、「見積もりの分かりやすさ」です。葬儀社の中には、お客様の意見を無視してどんどんプランを決めてしまう業者や、後から説明になかった追加費用を請求してくる業者が存在します。
料金説明の段階で、少しでも疑問や不安を感じたら、即決せずに家族で話し合うようにしましょう。事前に葬儀社を決めておくと、いざというときに慌てる必要がなくなりますし、あらかじめ予算を立てておけるなどのメリットが多いです。
葬儀社を決めたら、ご遺体を安置する場所を決めて、ご遺体の搬送を行います。病院などで亡くなった場合は、早めにご遺体を引き取って欲しいと言われることが多いです。ご遺体を葬儀社に預けるのか、ご自宅に安置するのかを決定し、早急にご遺体を搬送しましょう。
ご遺体を搬送するためには、医師が発行した「死亡診断書」が必要です。「死亡診断書」はご遺体の搬送以外にも、その後の手続きをするときに必要になることが多いので、大切に保管しておきましょう。
菩提寺がある方は、菩提寺の僧侶に訃報の連絡を行います。なぜなら、お通夜やご葬儀、その他の供養の段取りや日程について相談する必要があるからです。
故人様の訃報は、僧侶だけではなく、故人様と親しかった友人や勤務先などにも伝えましょう。その他の知人やご近所の方には、ご葬儀の日程が決まってから連絡すれば問題ありません。
ご遺体の安置が終了し、菩提寺へ訃報の連絡を行ったら、葬儀社との打ち合わせを行います。打ち合わせが必要な内容を以下にまとめました。
・宗派の確認
・お墓や仏壇の有無
・希望の葬儀会場の確認
・ご葬儀の規模と形式
・参列者の人数
・お通夜、ご葬儀の日程
・会食の有無
死亡届の提出と火葬許可証の受け取りは、基本的に葬儀社の方が代わりに行ってくれます。ただし、葬儀社が行ってくれるのはあくまで提出のみとなるため、書類の記載は喪主が行わなければなりません。
ご親戚や友人、知人、仕事関係もしくは学校関係の方に訃報を伝えます。訃報を連絡するときに記載する内容は、下記のとおりです。
・自分からみてどのような方が亡くなったのか
・亡くなった日時
・ご葬儀の日程
・喪主の名前
・供花、弔電の送り先
訃報の内容は葬儀社の方で定型文を用意しています。喪主が必ず書かなければいけないという決まりもないので、葬儀社にお願いしてしまっても問題はありません。最近ではメールやラインなどで訃報を知らせる方も増えてきているようです。
お通夜までのあいだに、ご遺体を湯灌(ゆかん)や清拭(せいしき)などで清め、納棺の儀式を行います。納棺は葬儀社の中でも専門の方が行ってくれます。
お通夜当日は、基本的に弔問者への対応が喪主の仕事となります。しかし、それだけがやるべきことではありません。喪主がお通夜で行うことの一覧が、以下の内容です。詳細は次の項目で解説していきます。
①会場を確認する
②僧侶へ挨拶し戒名を受け取る
③弔問を受ける
④通夜ぶるまいを行う
会場の設営は基本的に葬儀社が行ってくれますが、供花の配列や参列者の席順など、細かな部分は喪主が確認して指示をしなければなりません。喪主は開始の1~2時間ほど前に会場へ行き、以下の内容の確認を行います。
・供花の順番
供花の順番は血縁関係の濃い方から優先的に並べるのが一般的です。祭壇の両脇から外にかけて徐々に血縁関係が薄くなるように配置します。また、右→左の順で並べていくのがルールです。
・参列者の席順
席順は祭壇を前にして左側が参列者、右側が遺族になります。また中央が上座、外側が下座となるため、席順を決める際は右上から左下にかけて血縁関係や故人様と親しかった順で決めましょう。
・弔電を読む順番
弔電は基本的に2~3通のみ読み上げます。基本的には故人様と親しかった方を優先的に読み上げますが、どなたの弔電を読んでいいか分からない場合は肩書きなどで判断すると間違いないでしょう。
準備が終わったら、ご遺族のうちどなたかが受付や案内の役割を分担します。役割分担は事前に決めておくと、当日スムーズに進みます。
僧侶へ「読経」や「戒名」に対する御礼、いわゆる「お布施」をお渡しします。お布施の内容は読経に対する御礼以外にも、「御車代」「御膳料」などが含まれます。金額の相場は、頂いた戒名や宗派、地方によってさまざまです。
お布施をお渡しするタイミングは、お通夜が始まる前が一番いいタイミングです。開始前にお渡しできなかった場合は、お通夜が終わった後でも問題ありません。
喪主の仕事のメインともいえるのが弔問者への対応です。故人様とどのような関係であったかに限らず、平等に御礼を伝えるようにしましょう。
通夜ぶるまいとは、お通夜の後に開催される食事の場です。故人様と親しかった方々や僧侶にお酒やお食事を提供します。
ご葬儀の場で、喪主の主たる仕事は弔問者への対応です。その他にやるべき事柄は以下のとおりです。詳細については次の項目で解説します。
①弔問を受ける
②喪主挨拶を行う
③火葬場で骨上げを行う
④お布施をお渡しする
弔問者への対応は、喪主が行うべき最も重要な仕事です。実務的なものは葬儀社の方々にお任せし、喪主は弔問者に丁寧な対応をしましょう。
喪主からの挨拶はご葬儀の後に行います。基本的には1分~3分程が目安の時間となっています。
ご葬儀が終わったら、火葬場へ移動して骨上げを行います。骨上げは基本的に「喪主」→「遺族」→「親族」の順で行い、骨壷を持ち帰るのも、喪主が一般的です。
納骨は一般的に四十九日法要が終わったタイミングで行うため、それまでの期間は喪主が供養を行います。ただし、必ず四十九日法要の後に納骨しなければならないわけではありません。一周忌や三回忌などの、自分のタイミングで納骨する方も多くいらっしゃいます。
ご葬儀に欠かせないのが「お布施」の存在です。ご葬儀におけるお布施の相場は150,000円~200,000円とされており、戒名代も入れるとプラス100,000~1,000,000円とされています。
渡すタイミングはご葬儀の前が一般的ですが、渡せなかった場合はご葬儀の後でも問題はありません。お布施と一緒に、「御車代」「御膳料」もお渡しするようにしましょう。
ご葬儀が終わったからといって、喪主の役目が終わるわけではありません。ご葬儀の後は葬儀費用の精算や死亡通知書を送るなど、やらなければならない事柄がたくさんあります。以下がその内容です。詳細については以下の項目で解説していきます。
①葬儀費用を精算する
②死亡通知書を出す
③香典返しの手配をする
④初七日法要を執り行う
⑤お墓の手配をする
ご葬儀の費用は後日葬儀社から送られてきます。精算は事前に決めていた方法で行いましょう。
ご葬儀が滞りなく終了した後は、ご葬儀が無事終了した旨を報告するための「死亡通知書」を、故人様と生前に交流のあった方や、遠方で連絡が途絶えていた方などに送ります。
近年は家族のみや近親者のみのご葬儀が増えてきたため、死亡通知書をもって生前の御礼をお伝えするケースも増えてきています。
香典返しを行うのも、喪主の大切な仕事です。ご葬儀でお世話になった方には初七日までに香典返しを用意しましょう。
本来はご逝去してから7日目に執り行うのが初七日法要です、しかし、近年ではご葬儀の規模が縮小されている傾向にあり、初七日法要もご葬儀の当日に併せて執り行うケースが増えてきました。
ご葬儀で喪主を務めた方は、以後の法要でも喪主を務めるのが一般的な流れとなっています。難しい場合は、都度ご遺族と話し合って決めても問題はありません。
お墓の用意も喪主の務めとなります。ただしお墓は注文から完成までに3ヶ月程の時間がかかるため、納骨をするのは一周忌の後になってしまう場合もあります。
喪主の仕事はご葬儀の準備段階からご葬儀の後まで多岐にわたります。大切な方の不幸に直面しながらも、喪主を務めるのはとても大変なことです。いざその立場になったときに、慌てずご葬儀が執り行えるよう、本記事を参考にしてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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