2021-05-28
自動車は預貯金や不動産と同様に財産になります。そのため、自動車の所有者が亡くなられた場合、売却するにしろ、廃車にするにしろ、名義変更の手続きを行って相続する必要があります。しかし、その際には、どのように名義変更の手続きを進めていけばよいのか分からないという方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、故人様が所有されていた自動車の名義変更に関して、必要な書類やその流れについてご紹介します。
預貯金や不動産などは相続財産であるということはすぐに思い浮かぶと思いますが、故人様が所有されていた自動車も相続財産の1つになります。高級車だけでなく一般的な乗用車であっても相続財産であり、遺産分割協議の対象になります。それゆえ、自動車の所有者が亡くなられたら、どなたがその自動車を相続するかを決め、名義変更の手続きを行わなくてはいけません。
名義変更を行わなければ売却することも廃車にすることもできない上、その自動車を乗り続ける場合であっても、自動車保険の加入や自動車税の納付などの点からも名義変更が必要になります。
故人様が所有されていた自動車の名義変更には様々な書類が必要になります。以下では、「お一人で相続する場合」と「共同相続する場合」の必要書類についてまとめましたので、ご参照ください。
査定金額が100万円以上の普通自動車を特定の1人の方が相続する場合に必要になる書類には下記のようなものがあります。
・自動車検査証(有効期限内のもの)
・故人様の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本など
・遺産分割協議書(相続人全員の署名と捺印のあるもの)
・相続人全員の記載がある戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書
・新所有者以外の相続人全員の譲渡証明書(実印を押印したもの)
・新所有者の実印
・新所有者の印鑑証明書(発行後3ヵ月以内のもの)
・車庫証明書(40日以内のもの、保管場所が変わらない場合は不要になる場合有り)
・ナンバープレート(管轄の運輸局が変わる場合のみ)
※名義変更の手続きをディーラーなどの第三者に代行してもらう時には、上記の書類以外に新しい所有者の実印を押した委任状が必要になります。
なお、査定金額が100万円以下の普通自動車の場合、相続人全員の記載がある戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書と遺産分割協議書が不要になります。しかし、その場合、以下の書類が必要になります。
・新所有者が相続人であることを証明できる戸籍謄本
・遺産分割協議成立申立書(相続人の実印があるもの)
・査定の金額が100万円以下であることを証明する書類(業者作成の査定書など)
共同相続とは、遺産が分割されずに複数の相続人へ相続されることを言います。預貯金や現金などとは違い、自動車は売却しない限り分割することができません。そのため、お一人で相続しない場合、複数の相続人で自動車を共同所有することとなります。
なお、普通自動車を共同相続する場合には、以下のような書類が必要になります。
・自動車検査証(有効期限内のもの)
・故人様の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本など
・共同相続者の記載がある戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書
・共同相続者全員の実印
・共同相続者全員の印鑑証明(発行後3ケ月以内のもの)
・車庫証明書(保管場所が変わらない場合は不要になる場合有り)
・ナンバープレート(管轄の運輸局が変わる場合のみ)
相続における名義変更については法律上の義務ではない上、名義変更の期限も決められていません。しかし、自動車の安全性を確保してその適正な仕様を期するといったことを規定している「道路運送車両法」第12条には、所有者が変更した場合、15日以内に手続きを行わなければいけないとされており、名義変更を行っていないと、売却ができないなどの不都合が生じてしまいます。
名義変更の手続きのおおまかな流れは以下のようになっています。
1.名義変更に必要な書類を揃える
2.登録手数料を支払い、 運輸(支)局に書類を提出する(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)
3.名義変更された新しい車検証を受け取る
4.自動車税等の申告をする
なお、軽自動車検査協会や運輸(支)局によっては必要な書類や手続き方法が違う場合もあるため、事前に最寄りの軽自動車検査協会や運輸(支)局に確認しておくとよいでしょう。
故人様名義のまま放置してしまうと様々なトラブルに繋がってしまう可能性があります。そのため、自動車の相続が発生した際は、できるだけ早急に各種手続きを行って、名義変更をしましょう。
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