2021-03-05
葬儀費用の一部は、申請することで「埋葬料」として戻ってくる制度があります。ご葬儀や埋葬、法事・法要などで出費がかさむ中、一部であってもお金が戻ってくるようであればありがたいことですので、積極的に利用したい制度だと言えます。
そこで今回は、亡くなられた後に支払われる「埋葬料」について、葬祭費との違いや埋葬料の申請の仕方などについてご紹介します。
全国健康保険協会が運営している健康保険(協会けんぽ)の加入者が亡くなられた際に支給される給付金を「埋葬料」と言います。加入者以外が亡くなられた場合も支給され、加入者が養っていたご家族が亡くなられた場合には「家族埋葬料」という名目で支給されます。
注意点としては、自動的に支給されるものではない点です。埋葬料と家族埋葬料は、申請によってはじめて支給される上、期限内に申請しなければいけませんので注意しましょう。
支給される額については、埋葬料・家族埋葬料ともに、5万円を上限として定められています。なお、組合によっては独自に付加給付が行われる場合もあります。
埋葬料と家族埋葬料は、先にも述べたように申請しないと受け取れません。また、申請には「死亡日の翌日から2年以内」という期限があり、申請できる方も定められているため、該当する方は忘れずに期限内に手続きをするようにしましょう。
埋葬料を申請できる権利を持つのは、加入者が養っており埋葬を行った方になります(家族埋葬料の申請できる権利を持つのは加入者)。
埋葬料の申請をする際には一般的に以下のような書類が必要になります。
・健康保険埋葬料(費)支給申請書
・健康保険証
・埋葬許可証か死亡診断書(コピー可)
・葬儀費用の領収書など葬儀を行った事実と金額がわかるもの
上記の書類を添えて、健康保険組合または全国健康保険協会に申請をしましょう。なお、上記以外にも必要な書類があることもありますので、念のため、事前に問い合わせておくと安心です。
埋葬料と似たような意味を持っている言葉として「葬祭費」があります。葬祭費も埋葬料と同様に葬儀費用の一部が戻ってくる制度ですが、埋葬料が健康保険(協会けんぽ)の加入者やその扶養家族が亡くなられた際に支給されるのに対し、葬祭費は国民健康保険の加入者やその扶養家族にも支給されます。
つまり、故人様が会社員で健康保険に加入されている場合には「埋葬料」、故人様が個人事業主や自営業者の方で国民健康保険に加入されている場合には「葬祭費」となります。
また、埋葬料の支給額が5万円を上限とするのに対し、葬祭費の支給額は自治体によって異なっており1~7万円前後の支給額になります。
ご家族やご親族が亡くなり、財産を相続するとなると「相続税」について考えなくてはいけません。ただし、相続税を申告する準備をしている際に、相続財産に分類されるかどうかわからないものが出てくると思います。給付を受けたお金はその代表格と言えます。
今回ご紹介している埋葬料や葬祭費に関しては相続財産には含まれません。これは国民健康保険法や健康保険法で定められているように、保険給付として支給されたお金に関しては相続財産には該当しないため、相続税を申告する必要はなく、相続税の計算にあたって葬儀費用から控除をする必要もありません。
ご葬儀において葬儀費用の負担は大きく、一部でも費用が戻ってくる埋葬料はできるだけ活用したい制度になります。しかし、ご葬儀やその後の忙しさの中で意外と忘れてしまいがちですので、忘れないうちに申請を行っておくことをおすすめします。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
香典は、ご葬儀の場において故人様の御霊前へお供え物をする代わりに、ご遺族へお渡しする金銭です。「5,000円程度が香典の相場なのではないか」という意見も散見されますが、故人様との関係や地域によって金額のマナーは変わるため、注意が必要です。 そこで今回の記事では、香典の一般的な相場や香典袋の選び方、書き方、香典のマナーについて詳しくご紹介していきます。
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。
ご家族に不幸があった場合、玄関に「忌中」と書かれた札が掲げられます。この札は忌中札(きちゅうふだ)といって、日本の伝統的な様式です。目立つ位置に貼ることで近所の方々へ不幸を知らせるため、そして死の穢れを周りへ移さないようにするためという心遣いでもありました。 現代でも、各地域に忌中札の風習は残っています。そこで当記事では、この忌中札の意味や書き方、掲げる時期、掲げ方などを解説いたします。